米雇用統計後の一段高一服で調整安、4.30円台維持を試す
〇昨日のトルコ円、ドル円の148円割れと共に4.31へ下落
〇10/8午前序盤は、一時4.34まで戻してから4.31へ失速するなど上値重い
〇対ドル、10/7は概ね34.28から34.05の取引レンジ、徐々に8/28安値に迫る
〇4.34超えからは4.35、4.36を順次試す上昇を想定
〇4.30割れからはいったん下げに入るとみて4.29、4.28を順次試す下落を想定
【概況】
トルコリラ円の10月7日は概ね4.35円から4.32円の取引レンジ、8日早朝の終値は4.32円で先週末終値の4.34円からは0.02円の円高リラ安だった。
トルコリラ円は石破ショックによるドル円の急落により9月27日午後高値4.29円から30日午後安値4.14円へ急落したが、石破首相・植田日銀総裁会談と両者が追加利上げ否定姿勢を強調したことでショック安を解消して3日夜高値4.31円へ一段高とし、4日午後に4.26円までいったん下げたものの4日夜の米9月雇用統計をきっかけとしたドル円の急伸により5日未明に4.35円へ大幅上昇した。
週明けの7日朝へわずかに高値を伸ばしたが、ドル円が夜に148円割れへ失速したために4.31円へ下落し、8日午前序盤に一時4.34円まで戻してから4.31円へ失速するなど上値が重くなっている。
10月4日の米雇用統計が強気サプライズとなり、11月FOMC(11月6/7日開催)では0.50%の連続大幅利下げ期待は無くなり4日時点では0.25%の通常幅の利下げに留まるとの見方で衆目がほぼ一致していたが、7日は米長期債利回りが続騰したことで利下げ見送りの可能性も従来の0%から1割程度へ浮上している。
衆院解散総選挙もあるため日銀が年末にかけて追加利上げへ踏み込まないとの見方が優勢となる一方で米国の利下げペースが緩慢になるとの見方がドル円を支えてクロス円全般を押し上げてきたが、目先はドル円自身の大幅上昇一服と、ユーロやポンド、豪ドル等の下落によるクロス円の下落感が強まってきたことでドル円の上値も重くなっている印象だ。ただし、中勢としては9月16日の140円割れを起点とした上昇基調は継続してゆくと思われる。
トルコリラ円としては、ドル円と共に10月4日午後安値から底上げをして押し目形成とし、米長期債利回り上昇継続なら一段高を伺う流れとみて押し目買い有利の展開と考える。
【ドル/トルコリラは徐々に8月28日安値に迫る】
ドル/トルコリラの10月7日は概ね34.28リラから34.05リラの取引レンジ、8日早朝の終値は34.24リラで先週末終値34.25リラからは0.01リラのドル安リラ高だった。
10月4日の米雇用統計発表後のドル全面高により34.33リラへ下落して8月28日に付けた取引時間中の史上最安値34.41リラ以来の安値とし、終値ベースでは史上最安値を更新した。週明けは手掛かりに欠ける中でやや下げ渋り気味の推移だったが、高値では33リラ台へ届かずに9月16日高値33.58リラ以降の高値・安値切り下がり基調に入ってから初めて終日34リラ台での推移となった。
ベンダーによっては8月28日の最安値を34.47リラとし、7日終値を34.25リラとして終値ベースの史上最安値として7日安値を34.42リラとしているところもある。
イスタンブール100株価指数の10月7日は前日比0.85%安と下落に終わった。9月25日から10月3日まで7営業日続落として4月から7月にかけての上昇幅を解消し、8月2日から5日にかけての世界連鎖株安による急落後も復調できずにいたが、4日に2.37%高と戻したものの再び失速していること、7日の米国主要株価指数が総じて下落したことによりトルコ株価指数の下落基調も継続しやすい印象であり、トルコ株安が海外勢のトルコ投資意欲を後退させて、株安リラ安の流れを作り出している側面もあるようだ。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、9月30日午後安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りとしていたが、4日午後へ下げてから一段高したために7日朝時点では4日午後安値を直近のサイクルボトムとした新たな強気サイクル入りとして8日夜から10日夜にかけての間への上昇を想定し、急騰後の反動安も警戒されるとして4.31円割れからは弱気転換注意とした。
7日朝に高値を若干伸ばしてから8日早朝に4.31円まで下げているので7日朝高値を直近のサイクルトップとして弱気サイクル入りしている可能性がある。一時的な上昇ではなく連続的な上昇で4.34円を超えるところからは上昇継続として10日夜にかけての間への上昇を想定するが、4.30円割れからは弱気サイクル入りとして9日午後から11日午後にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では8日朝への下落で遅行スパンが悪化しているが先行スパンからの転落は回避している。先行スパンからの転落を回避しながら遅行スパンが好転する場合は上昇再開とみて高値試し優先とするが、先行スパンから転落する場合は7日朝高値を起点とした下落継続とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は4日夜の急伸で80ポイントへ迫ったものの3日早朝の上昇時とほぼフラットにとどまり8日朝には40ポイント台へ低下した。55ポイント超えからは上昇再開の可能性ありとし、60ポイント超えからは70ポイントへ迫る上昇を想定するが、40ポイント割れからは下落継続とみて20ポイント台への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.30円を下値支持線、4.34円を上値抵抗線とする。
(2)4.31円を上回るうちは上昇余地ありとし、4.34円超えからは4.35円、4.36円を順次試す上昇を想定する。4.35円以上は反落注意とするが、4.32円を上回っての推移なら9日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.31円割れを弱気転換注意とし、4.30円割れからはいったん下げに入るとみて4.29円、4.28円を順次試す下落を想定する。4.28円以下は買われやすいとみるが、4.30円を割り込んだ後も4.31円以下での推移が続く場合は9日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
10月10日
16:00 8月 鉱工業生産 前月比 (7月 0.4%)
16:00 8月 鉱工業生産 前年同月比 (7月 -3.9%)
16:00 8月 失業率 (7月 8.8%)
20:30 週次 外貨準備高 10月4日時点
20:30 週次 外貨準備高・グロス 10月4日時点 (9月27日時点 938.2億ドル)
20:30 週次 外貨準備高・ネット 10月4日時点 (9月27日時点 541.2億ドル)
10月11日
16:00 8月 経常収支 (7月 5.66億ドル)
16:00 8月 小売売上高 前月比 (7月 0.8%)
16:00 8月 小売売上高 前年同月比 (7月 5.4%)
16:00 トルコ中銀月次ビジネスサーベイ(年末CPI、金利、為替レート予想集計)
10月15日
17:00 9月 財政収支 (8月 -1296億リラ)
10月17日
20:00 トルコ中銀金融政策委員会 政策金利 (現行 50.0%)
注:ポイント要約は編集部
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