反発基調強まる地合いだが、景気減速懸念の高まりに警戒
【先週のトルコリラ】
先週のトルコリラは、中東情勢の緊迫化が高まるなか、日銀による早期の利上げ観測が後退し円が主要通貨に対して全面安となったことや、中国企業によるトルコでの設備投資計画などが材料視されて上昇基調が強まった。
週初は「石破ショック」に伴う日本株急落でリスク回避の円買いが強まって、4.13円台まで下落したが、石破首相が植田日銀総裁との会談において「(個人的な見解として)追加利上げの環境にない」と発言したことで、日銀による早期の利上げ観測が後退。円はドルのほか主要通貨に対して売り優勢となったことで、トルコリラも上昇した。
また、トルコ政府高官は中国の自動車大手、奇瑞汽車による投資を巡り、同社との協議が最終段階にあると明らかにした。合意の期限があるかどうかや投資の内容には言及しなかったが、9月28日、エルドアン大統領がイスタンブールで開催された投資イベントに合わせて、奇瑞国際の張貴兵社長と面会したと発表しており、政府による大型設備投資への期待感がトルコリラを押し上げ、9月2日以来の水準まで買われた。
トルコリラ・円(東京時間:9月30日―10月4日)
※Investing.comの日足を参照
始値:4.1614円
高値:4.3495円
安値:4.1318円
終値:4.3405円
【先週と今週の重要指標】
※時間は東京時間
10月1日
16時00分、9月製造業PMI、前回:47.8、結果:44.3
10月3日
15時00分、9月消費者物価指数(CPI)(前年比)、前回:51.97%、市場予想:48.20%、結果:49.38%
15時00分、9月生産者物価指数(PPI)(前年比)、前回:35.75%、結果:33.09%
10月10日
16時00分、8月失業率、前回:8.8%
16時00分、8月鉱工業生産指数(前月比)、前回:0.4%
10月11日
16時00分、8月経常収支、前回:5.7億ドル、市場予想:40.0億ドル
※予定は変更することがございます。
【今週の見通し】
今週のトルコリラは、戻りを試す展開を迎えているが、カラハン・トルコ中央銀行(トルコ中銀)総裁のタカ派発言で高い金利継続に伴う経済的な影響懸念が重しとなる可能性がある。
3日、カラハン氏は9月CPIの上昇率が前年同月比49.38%と8月の51.97%から低下したが、市場予想を上回ったことに対して、「前月比の上昇率は中銀が見込んだよりも高かった」と回答した。金融政策姿勢について「中銀は声明で「明確なガイダンス」を示しており、「非常に多くのデータ」に基づき判断を下している」とも語った。
同時に「トルコはインフレ期待と足元の物価上昇の抑制にまだしばらくかかる見通しだ」「月間のインフレが「恒久的かつ顕著に」減速することが求められる」と主張。「両方の基準について、まだ一定の距離があるというのがわれわれの判断だ。従って、金融引き締めの維持を継続する」と述べた。
先週の為替市場は、早期の利下げ観測後退を比較的ポジティブに捉えたが、今週発表される8月の失業率や鉱工業生産指数が前月比で悪化していた場合、高い金利継続に対する景気減速懸念が改めて意識されてトルコリラの売り材料となろう。また、中東情勢の緊迫化も大きな重しとなる。
テクニカルでは、雲への突入を試す展開を迎えている。遅行スパンは実線を上回っており、転換円は基準線を上抜くなど反発基調が強まっている様子。雲突入となれば、雲上限が位置する4.6円水準が意識されよう。良好なテクニカル環境のなか、景気減速懸念が改めて意識されるか注目したい。
トルコリラ円日足
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