ドル円の続騰で4.35円へ上昇、ドル/トルコリラは終値の史上最安値更新
〇トルコリラ円、10/5早朝終値4.34、週間では9/27終値4.16から0.18の円安リラ高
〇ドル円が上昇トレンド維持で、トルコリラ円の押し上げ効果が継続中
〇対ドル、10/4は概ね34.33から33.90の取引レンジ、終値の史上最安値更新
〇米雇用統計通過、急騰一巡による持ち高調整でドル円とトルコリラ円はいったん下げる可能性にも注意
〇4.32上回るうちは上昇余地あり、4.35超えからは4.36、4.37順次試す上昇想定
〇4.32割れを弱気転換注意、4.31割れからはいったん下げに入るとみて4.30、4.29順次試す下落想定
【概況】
トルコリラ円の10月4日は概ね4.35円から4.26円の取引レンジ、5日早朝の終値は4.34円で前日終値の4.31円から0.03円の円安リラ高で、週間では9月27日終値4.16円から0.18円の円安リラ高だった。
10月2日夕の石破首相・植田日銀総裁会談後に両者が共に当面の追加利上げに否定的な姿勢を示したことで9月27日の総裁選での石破氏逆転勝利を悲観した「石破ショック」による円高が解消し、ドル円が10月3日午前高値147.23円へ上昇した際にトルコリラ円は4.30円へ上昇し、4日午後にドル円が一時146円を割り込んだ際に4.26円まで下げたものの、4日夜の米雇用統計が予想より強かったことによるドル全面高でドル円が149円到達へ急伸したため、トルコリラ円は4.35円まで高値を伸ばした。
【ドル円は9月16日以降の上昇トレンドを維持、トルコリラ円への押し上げ効果も継続中】
ドル円は9月16日安値を起点とした上昇が二段目に入ってからさらに発展している。7月3日高値161.94円からの下落は二度の市場介入と7月31日の日銀追加利上げ、米国の利下げサイクルに入る中で日銀が年末にかけての追加利上げを伺う姿勢を維持していたことによるものだったが、日銀の追加利上げ見通しが後退したことと米国が9月に続く0.50%大幅利下げには至らずに通常ペースの利下げに留まるとの見方が強まったことでドル高がぶり返し、過度の円高への修正が優先されてきた。
石破ショックによる急落は市場介入時の急落規模だったものの、上昇途中のふるい落とし的な一時急落にとどまって一段高へ進んだことにより、当面は円安継続によりトルコリラ円を含めてクロス円全般が円安により押し上げられやすい状況に入っていると思われる。
米雇用統計を通過したことで急騰一巡による持ち高調整でドル円とトルコリラ円はいったん下げる可能性にも注意したいが、今週の米新規失業保険申請件数やCPI、FRB高官らの発言等をきっかけにドル円の上昇が勢いを増す可能性もあるとみて、トルコリラ円も押し目買い有利の展開で4.30円台後半を目指すのではないかと思われる。
【ドル/トルコリラは終値の史上最安値更新、3週連続でドル高リラ安】
ドル/トルコリラの10月4日は概ね34.33リラから33.90リラの取引レンジ、5日早朝の終値は34.25リラで前日終値の34.11リラから0.14リラのドル高リラ安となった。
10月3日のトルコ9月CPIが予想を上回り11月利下げ見通しが後退したとしていったんリラ高に振れたものの長続きせず、4日は米雇用統計が予想を上回る堅調さを示したことでドル全面高となった事も影響して34.33リラへ9月16日高値33.58リラ以降の安値を更新して8月28日に付けた取引時間中の史上最安値34.41リラ以来の安値水準とし、終値で10月1日終値34.21リラを超えて終値ベースの史上最安値を更新した。
週間では9月27日終値34.16リラから0.09リラのドル高リラ安で週足は3週連続のドル高リラ安だった。9月の月間は8月末終値34.07リラから9月30日終値34.16リラへ0.09リラのドル高リラ安、月末ベースでは5か月連続で最安値を更新するドル高リラ安だった。
トルコ金融政策正常化、中銀による高インフレ抑制のための大胆な引き締め、財政収支改善のための増税・緊縮財政、海外からの信用を高めるための外貨準備高増強、大手格付け機関による格付け引き上げやポジティブな見通しなどでトルコ投資を呼び込みたいところだが、実体景気は低調さを拭えておらず、年末にかけてのドル高リラ安が継続するとのコンセンサスも変わらない状況だ。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、9月30日午後へ続落してから4.20円超えへ反騰したために1日午前時点では30日午後安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして2日午後から4日午後にかけての間への上昇を想定した。
10月3日夜高値へ続伸してから4日午後へ下げたが、4日夜からの急伸で一段高したため、4日午後安値を直近のサイクルボトムとした新たな強気サイクル入りとして8日夜から10日夜にかけての間への上昇を想定する。急騰後の反動安も警戒されるので4.31円割れからは弱気転換注意とするが、4.30円を割り込んでも4日午後安値から底上げとなるうちは押し目形成から一段高へ向かう可能性もあるとみる。
60分足の一目均衡表では4日夜からの急伸で遅行スパンが好転し、先行スパン上限に突っ込んでから一段高しているため遅行スパン好転中は高値試し優先とする。遅行スパン悪化からはいったん下げるとみるが、先行スパンを上抜いた状況を維持するうちはその後に遅行スパンが好転するところから上昇再開とみる。
60分足の相対力指数は4日夜の急伸で80ポイントへ迫ったものの3日早朝の上昇時とほぼフラットにとどまっているため弱気逆行気配とし、60ポイント以上での推移中はもう一段高へ進む可能性ありとするが、60ポイント割れからは下向きとして50ポイント前後への低下を想定する。ただし50ポイント前後へ下げるところは買い拾われやすいとみる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.32円を下値支持線、4.35円を上値抵抗線とする。
(2)4.32円を上回るうちは上昇余地ありとし、4.35円超えからは4.36円、4.37円を順次試す上昇を想定する。4.36円以上は反落注意とするが、4.32円を上回っての推移なら8日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.32円割れを弱気転換注意とし、4.31円割れからはいったん下げに入るとみて4.30円、4.29円を順次試す下落を想定する。4.30円以下は買われやすいとみるが、4.32円以下での推移が続く場合は8日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
10月10日
16:00 8月 鉱工業生産 前月比 (7月 0.4%)
16:00 8月 鉱工業生産 前年同月比 (7月 -3.9%)
16:00 8月 失業率 (7月 8.8%)
20:30 週次 外貨準備高 10月4日時点
20:30 週次 外貨準備高・グロス 10月4日時点 (9月27日時点 938.2億ドル)
20:30 週次 外貨準備高・ネット 10月4日時点 (9月27日時点 541.2億ドル)
10月11日
16:00 8月 経常収支 (7月 5.66億ドル)
16:00 8月 小売売上高 前月比 (7月 0.8%)
16:00 8月 小売売上高 前年同月比 (7月 5.4%)
16:00 トルコ中銀月次ビジネスサーベイ(年末CPI、金利、為替レート予想集計)
10月15日
17:00 9月 財政収支 (8月 -1296億リラ)
10月17日
20:00 トルコ中銀金融政策委員会 政策金利 (現行 50.0%)
注:ポイント要約は編集部
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