『年内利下げ観測後退で約1カ月ぶり高値圏へと急上昇』
〇今週のトルコ円、週明けの4.13から週末にかけ高値4.34まで上昇
〇ドル円急伸、中国によるトルコへの投資報道、トルコCPIの予想を上回る上昇等が背景
〇テクニカルには主要テクニカルポイント上抜け、強い買いシグナルも成立、地合い好転
〇ファンダメンタルズもトルコへの資金流入期待、ドル円先高観、トルコ利下げ観測後退等がサポート
〇引き続き、トルコリラ円相場の続伸をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):4.20ー4.50
今週のレビュー(9/30−10/4)
今週のトルコリラ円相場は、週初4.16円で寄り付いた後、(1)石破ショックに端を発したリスク回避の円買い圧力(日経平均株価が大暴落→ドル円急落→トルコリラ円連れ安)が重石となり、週明け早々に、週間安値4.13円まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(2)石破首相による「現在は追加利上げをするような環境にはない」とのハト派的な発言(市場で燻る利上げ期待を牽制→ドル円急伸→トルコリラ円連れ高)や、(3)トルコ政府高官による「中国の自動車大手の奇瑞汽車による投資協議が最終段階にある」とのポジティブ発言(中国によるトルコ投資が今後一段と活発化するとの期待感。本年7月には中国のEV大手BYDからも10億ドルの投資発表あり)、
(4)トルコ9月消費者物価指数(結果+49.38%、予想+48.3%)および、同コア指数(結果+49.1%、予想+47.95%)の市場予想を上回る結果、(5)トルコ中銀カラハン総裁による「トルコのインフレ上昇リスクは明らか」「トルコのインフレ率は中銀予想を大幅に上回っている」とのタカ派的な発言、(6)上記4、5を背景としたトルコ中銀による早期利下げ観測後退、(7)米9月雇用統計の力強い結果(ドル円急伸→トルコリラ円連れ高)が支援材料となり、週末にかけて、週間高値4.34円(9/3以来の高値圏)まで上昇しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間10/5午前1時00分現在)では、4.33円前後で推移しております。尚、今週発表されたトルコ9月製造業PMI(結果44.3、前回47.8)は冴えない結果となりましたが、市場の反応は限られました。
来週の見通し(10/7−10/11)
トルコリラの対円相場は約1カ月ぶり高値圏へと急伸するなど、週を通して堅調推移が継続しました。日足ローソク足が主要テクニカルポイント(21日線、50日線、一目均衡表基準線、転換線、ボリンジャーミッドバンド)を上抜けした他、強い買いシグナルを示唆する「強気のバンドウォーク」も成立するなど、テクニカル的に見て、地合いの好転を強く印象づけるチャート形状となりつつあります。また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)外国人投資家による資金流入期待(政府・中銀による正常化政策を好感→大手格付会社が相次いで格上げ実施→運用会社がトルコアセットの積極組み入れ再開)や、(2)日銀による早期利上げ観測後退(円キャリートレード再開→ドル円上昇→トルコリラ円連れ高)、
(3)中国政府の更なる景気対策期待(トルコと中国は昨今関係性が深まっているため、中国経済の回復期待はトルコリラの上昇要因)、(4)トルコ中銀の年内利下げ観測後退(今週発表されたCPIは市場予想を上回る結果→トルコ中銀カラハン総裁が「トルコのインフレ上昇リスクは明らか」と発言→JPモルガンなど主要金融機関のアナリスがトルコ中銀の利下げ開始時期を当初予想の11月から来年1月に先送り)など、トルコリラ円相場の上昇を連想させる材料が増えつつあります。以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の続伸をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週はトルコ8月失業率や、トルコ8月鉱工業生産、トルコ8月経常収支、トルコ8月小売売上高などに注目が集まります。
来週の予想レンジ(TRYJPY):4.20ー4.50
注:ポイント要約は編集部
トルコリラ日足
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