トルコリラ円見通し 石破ショックによる急落幅を解消して9月27日高値を上抜く(2024/10/3)

トルコリラ円の10月2日は概ね4.28円から4.19円の取引レンジ、3日早朝の終値は4.28円で前日終値の4.20円から0.08円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し 石破ショックによる急落幅を解消して9月27日高値を上抜く(2024/10/3)

石破ショックによる急落幅を解消して9月27日高値を上抜く

〇トルコ円、昨夕からのドル円急騰追いかけ、本日午前序盤に4.29つける
〇米ISM、雇用統計後もドル円上昇継続の場合、トルコ円も9月からの下落幅解消していく可能性
〇対ドル、10/2は概ね34.24から33.85の取引レンジ、9/16以降の安値更新
〇トルコ9月貿易速報は51.2億ドルの貿易赤字
〇本日16時にトルコCPIの発表予定
〇4.29超えからは4.30、4.31を順次試す上昇を想定
〇4.25円れからは下向きとし、4.24割れからは反動安に入るとみる

【概況】

トルコリラ円の10月2日は概ね4.28円から4.19円の取引レンジ、3日早朝の終値は4.28円で前日終値の4.20円から0.08円の円安リラ高だった。
自民党総裁選での石破氏逆転勝利を「石破ショック」としてドル円が急落したために、トルコリラ円は9月27日午後高値4.29円から30日午後安値4.14円へ大幅下落したが、過剰反応に対する修正でドル円が戻したために1日午後高値4.23円へ切り返した。
2日の日中はドル円と共に反騰一服で小康状態だったが、夕刻に石破首相と植田日銀総裁が会談し、揃って早期の追加利下げ見通しを否定して金融緩和的な状況が継続するとの見通しを示したことでドル円が急騰しために3日早朝に4.28円を付けて9月27日午後高値に迫り、3日午前序盤には4.29円を付けて27日午後高値に並んだ。小数点下四桁では9月27日高値4.2860円を3日午前高値4.2875円でわずかに超えている。

ドル円は石破ショックにより9月27日午後高値146.47円から30日午後安値141.64円まで下げ幅4.83円の大幅下落に見舞われ、下落規模は市場介入時の急落に近いレベルとなったが、3日午前への上昇でショック安を解消して高値を更新したことにより、9月16日安値139.57円からの上昇が9月27日午後高値までを一段目とし、9月30日午後安値を起点として二段目に入った。
自民党新政権発足への事前の楽観と石破氏逆転勝利による悲観が乱高下を招いたが、振り返れば早期解散見通しを踏まえて市場の混乱を招く方針転換はあり得ず、市場も9月16日からの上昇基調継続へ持ち直したことにより、クロス円全般にとっては円安による押し上げが継続する可能性がやや優勢となった印象もある。
今夜は米ISM非製造業景況指数、明日夜には9月米雇用統計の発表があり、内容次第では波乱含みとなるが、米国の連続大幅利下げ期待が後退しているため、それらを通過してドル円の上昇が続くようならトルコリラ円も9月からの下落幅解消へ向かう可能性もあると注目したい。

【ドル/トルコリラは9月16日以降の安値更新、終値も最安値近辺に留まる】

ドル/トルコリラの10月2日は概ね34.24リラから33.85リラの取引レンジ、3日早朝の終値は34.18リラで前日終値の34.21リラからは0.03リラのドル安リラ高だった。
8月28日に34.41リラを付けて取引時間中の史上最安値とした後は34リラを挟んだ持ち合いだが、9月16日高値33.58リラを起点として日々の高安レンジを切り下げおり、終値ベースでは10月1日終値34.21リラで史上最安値を更新し、2日は終値ではやや上昇したものの9月16日以降の安値を34.24リラへ切り下げ、3日午前序盤には34.26リラを付けて徐々に8月28日安値へ迫る流れを継続している。

【9月貿易速報は51.2億億ドルの貿易赤字】

10月2日にトルコ貿易省が発表した9月貿易統計速報では、貿易赤字が51.2億ドルとなり8月の49億ドルから拡大した。輸出は220億ドルで8月の221億ドルから若干減少し、輸入は271億ドルで8月の270億ドルから若干増加した。
貿易省統計での貿易赤字は今年5月の99億ドルから改善傾向にあり、2023年2月の144億ドルを最大として中期的には縮小しているが構造的な赤字脱却には遠い。
リラ安は輸出促進要因だが、世界景気全般が低迷期に入っているために欧米が利下げに踏み切っており、中国も大規模な金融緩和政策が発表されたもののそれだけ状況が悪いことを示している。中東情勢悪化に伴う地政学的リスク拡大も軍需関連以外での物流には悪影響を及ぼすことも懸念される。

【10月3日16時、トルコCPIの発表あり】

3日16時にトルコ統計局の9月インフレ率の発表がある。
市場の事前予想では消費者物価指数全体の前月比は8月の2.47%から2.20%へ鈍化し、前年同月比も8月の51.97%から48.30%へ鈍化すると見込まれている。トルコ中銀が政策金利の週間レポレートを50%まで大幅に引き上げた後も6会合連続で据え置いて金融引き締めを継続してきたことでインフレも落ち着き始めているところだが、それにしても高インフレ・高金利状態の解消にはまだ遠い。
10月1日に発表されたイスタンブールの9月小売物価指数(RPI)は前月比3.9%上昇で8月の1.73%上昇から再加速し、前年同月比は59.18%上昇で8月の61.57%から低下したが、卸売物価指数(WPI)の前月比は4.67%上昇で8月の0.98%上昇から大幅に再加速し、前年同月比も47.89%上昇となり8月の46.87%を上回った。インフレ鈍化への道もまだ平坦とは言えないようだ。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、9月30日午後へ続落してから4.20円超えへ反騰したために1日午前時点では30日午後安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして2日午後から4日午後にかけての間への上昇を想定し、乱調な展開が続く可能性もあるため4.18円割れからは弱気転換注意とした。
1日午後へ続伸してから深夜安値4.18円まで反落したものの2日夜から急伸したためまだ上昇余地ありとするが、急騰後の反動安や乱高下も警戒されるので4.25円割れを弱気転換注意とし、4.24円割れからは弱気サイクル入りとして3日午後から7日午後にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では2日夕からの急伸で遅行スパンが好転して先行スパンも大きく上抜いたため遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、乱高下も警戒されるため遅行スパン悪化からは反動安に入るとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は3日早朝に80ポイントへ迫った後も70ポイント台を維持している。60ポイント台を維持する内は一段高余地ありとするが、相場が高値を更新する際に指数のピークが横ばいか切り下がる弱気逆行がみられる場合は反落注意とし、50ポイント割れからは下落期入りとみて30ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.25円を下値支持線、4.29円を上値抵抗線とする。
(2)4.25円を上回るうちは上昇余地ありとし、4.29円超えからは4.30円、4.31円を順次試す上昇を想定する。4.30円以上は反落注意とするが、4.26円を上回っての推移なら4日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.25円割れからは下向きとし、4.24円割れからは反動安に入るとみて4.23円、4.22円を順次試す下落を想定する。4.22円前後は反騰注意とするが、4.25円を割り込んでの推移なら4日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

10月3日
 16:00 9月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (8月 2.47%、予想 2.20%)
 16:00 9月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (8月 51.97%、予想 48.30%)
 16:00 9月 コアCPI(食品エネルギー等除く) 前月比 (8月 3.0%)
 16:00 9月 コアCPI(食品エネルギー等除く) 前年同月比 (8月 51.6%)
 16:00 9月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (8月 1.68%)
 16:00 9月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (8月 35.75%)
 20:30 週次 外貨準備高・グロス 9月27日時点 (9月20日時点 941.1億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高・ネット 9月27日時点 (9月20日時点 517.8億ドル)


注:ポイント要約は編集部

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