トルコリラ円見通し 石破ショックへの修正高一巡でドル円と共に失速気味、中東情勢悪化も影響(24/10/2)

トルコリラ円の10月1日は概ね4.23円から4.18円の取引レンジ、2日早朝の終値は4.20円で前日終値と変わらなかった。

トルコリラ円見通し 石破ショックへの修正高一巡でドル円と共に失速気味、中東情勢悪化も影響(24/10/2)

石破ショックへの修正高一巡でドル円と共に失速気味、中東情勢悪化も影響

〇昨日のトルコリラ円、ドル円の失速に合わせ一時4.18まで下げる
〇その後はやや持ち直し気味となり、10/2午前序盤4.20へ戻す
〇対ドル、10/1は概ね34.23から33.98の取引レンジ、終値の史上最安値を更新
〇イスタンブール100株価指数、5営業日続落
〇9月イスタンブール製造業PMIは予想を裏切る悪化で低迷、小売物価は再上昇
〇4.18上回るうちは上昇余地あり、4.23超えからは4.24、4.25を順次試す上昇を想定
〇4.18割れからは下落再開として4.16前後への下落を想定、4.16前後は反騰注意
〇ドル円急落の場合は、4.15や4.14を試す可能性もあるとみる

【概況】

トルコリラ円の10月1日は概ね4.23円から4.18円の取引レンジ、2日早朝の終値は4.20円で前日終値と変わらなかった。
自民党総裁選での石破氏逆転勝利を「石破ショック」としてドル円が急落したために、トルコリラ円は9月27日午後高値4.29円から28日早朝安値4.15円へ大幅下落し、ドル円の続落で30日午後に4.14円へ安値を切り下げたが、円買い一巡と過剰反応に対する修正でドル円が戻したために1日早朝に4.21円へ切り返し、1日午後には4.23円まで高値を伸ばした。
1日午後からドル円が買い戻し一巡で失速し、低調な米ISM製造業景況指数や中東情勢悪化による安全資産として米国債が買われて米長期債利回りが低下したために1日深夜に一時143円を割り込んだため、トルコリラ円も4.18円までいったん下げたが、その後はやや持ち直し気味となり2日午前序盤には4.20円へ戻している。

ドル円は石破ショックにより27日午後高値146.47円から30日午後安値141.64円まで下げ幅4.83円の大幅下落に見舞われたが、石破新政権が金融緩和継続を希望する姿勢を示したことや、1日午前に公表された9月日銀会合における主な意見で利上げを急がない姿勢が強調されたことで1日午後高値144.53円まで戻し、ショック安の下げ幅に対して凡そ6割を解消した。しかしイランが100発以上の弾道ミサイルでイスラエルを空爆したことでパレスチナ紛争の中東全域への拡大懸念が増したため、金融市場全般がリスク回避的な動きをとり、ドル円も30日午後からの上昇にブレーキがかかっている。
今週末の米雇用統計へ向け重要指標の発表が相次ぐことと中東情勢の行方及び石破新政権による早期解散への動きによりドル円も乱調な展開となりやすく、トルコリラ円としては慎重にドル円を追いかけることとなりそうだ。

【ドル/トルコリラは終値の最安値更新、リラのジリ安続く】

ドル/トルコリラの10月1日は概ね34.23リラから33.98リラの取引レンジ、2日早朝の終値は34.21リラで前日終値の34.16リラから0.05リラのドル高リラ安だった。
8月28日に34.41リラを付けて取引時間中の史上最安値とした後は34リラを挟んだ持ち合いで推移しているものの、9月16日高値33.58リラの後は徐々に日々の高安レンジを切り下げおり、終値ベースでは26日と27日に2営業日連続で史上最安値を更新して30日終値も同値水準とし、1日はさらに終値の史上最安値を更新し、9月16日以降の取引時間中安値も切り下げてリラのジリ安が続いている。

イスタンブール100株価指数は10月1日に前日比3.25%安と大幅下落して9月25日から5営業日続落となり、7月18日の年初来高値以降の最安値を更新した。8月2日から5日にかけての世界連鎖株安で暴落した後も急落幅解消に至らずに1000を超えるところを繰り返し売られてきたが、8月27日から9月12日、10月1日へと安値を切り下げている。中東情勢悪化による影響も大きく、イスラエルとの関係悪化、中東全域のリスク回避感による景気への悪影響も懸念されており、株安が海外勢によるトルコ投資への意欲を後退させてリラ安に影響している印象もある。

【イスタンブール製造業PMIは低迷、小売物価は再上昇】

10月1日に発表されたトルコの9月イスタンブール製造業PMIは44.3となり8月の47.8から悪化した。事前予想では若干の改善期待も見られたが、予想を裏切る悪化となり2020年7月以降の最低となった。高インフレ・高金利・増税と緊縮財政が景気を圧迫している。
10月1日に発表されたイスタンブールの9月小売物価指数(RPI)は前月比3.9%上昇で8月の1.73%上昇から再加速し、前年同月比は59.18%上昇で8月の61.57%から低下した。卸売物価指数(WPI)の前月比は4.67%上昇で8月の0.98%上昇から大幅に再加速し、前年同月比は47.89%上昇で8月の46.87%を上回った。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、9月27日の急落により午後高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとし、急落後の揺れ返しもあるため4.20円超えからは強気サイクル入りとしていたが、30日午後へ続落してから4.20円超えへ反騰したために1日午前時点では30日午後安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして2日午後から4日午後にかけての間への上昇を想定し、乱調な展開が続く可能性もあるため4.18円割れからは弱気転換注意とした。
1日午後へ続伸してから深夜安値4.18円まで反落したが、その後は持ち直しているのでまだ上昇余地ありとするが、次の4.18円割れからは弱気サイクル入りとして3日午後から7日午後にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では1日午後からの下落で遅行スパンが悪化しつつあり先行スパンに潜り込んでいるため、先行スパンを上抜き返すところからは上昇継続として遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパンから転落する場合は下落再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は1日午後に60ポイント台へ上昇してから50ポイントを割り込んだもののその後を50ポイントを挟んだ揉み合いとしているので、60ポイント超えからは上昇再開として70ポイントを目指す上昇を想定するが、40ポイント割れからは下落再開として20ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.18円を下値支持線、4.23円を上値抵抗線とする。
(2)4.18円を上回るうちは上昇余地ありとし、4.23円超えからは4.24円、4.25円を順次試す上昇を想定する。
(3)4.18円割れからは下落再開として4.16円前後への下落を想定する。4.16円前後は反騰注意とするが、ドル円が急落する場合は4.15円や4.14円を試す可能性もあるとみる。

【当面の主な予定】

10月3日
 16:00 9月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (8月 2.47%、予想 2.20%(2.00〜2.80%)
 16:00 9月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (8月 51.97%、予想 48.30%(47.80〜49.10%))
 16:00 9月 コアCPI(食品エネルギー等除く) 前月比 (8月 3.0%)
 16:00 9月 コアCPI(食品エネルギー等除く) 前年同月比 (8月 51.6%)
 16:00 9月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (8月 1.68%)
 16:00 9月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (8月 35.75%)
 20:30 週次 外貨準備高・グロス 9月27日時点 (9月20日時点 941.1億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高・ネット 9月27日時点 (9月20日時点 517.8億ドル)



注:ポイント要約は編集部

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