ドル円見通し 石破・植田会談後の急伸で石破ショック安を解消、9月16日からの上昇が二段目に(24/10/3)

ドル円は、144円前後だったところから3日早朝に27日午後高値を超え、7時台には146.88円まで高値を伸ばした。

ドル円見通し 石破・植田会談後の急伸で石破ショック安を解消、9月16日からの上昇が二段目に(24/10/3)

石破・植田会談後の急伸で石破ショック安を解消、9月16日からの上昇が二段目に

〇昨日のドル円、石破ショックの過剰反応修正で日中確り
〇本日早朝には9/27午後高値を超え、7時台に146.88まで高値伸ばす
〇石破首相と日銀総裁の金融緩和維持姿勢と、米ADP好調がドル円押し上げる
〇米長期債利回りは総じて反騰、NYダウも上昇
〇今週末の米雇用統計が重要、まだ暫くは乱調な展開に要注意
〇145.70を上回るうちは上昇余地ありとし、147円超えからは147.50前後への上昇を想定
〇145.70割れからは下向きとし、145.30割れからは急騰後の反動安期に入るとみる

【概況】

ドル円は9月27日の自民党総裁選における石破氏逆転勝利を弱気サプライズ=石破ショックとして直前高値146.47円から30日午後安値141.64円まで下げ幅4.83円となる大幅下落に見舞われ、10月1日午後にかけては過剰反応の修正で144.53円まで戻し、1日夜に143円を割り込んだところも買われて2日の日中を確りしていたが、2日夕に石破首相と植田日銀総裁が会談し、揃って当面の追加利上げを否定して金融緩和的状況を維持する姿勢を強く示したことで144円前後だったところから3日早朝に27日午後高値を超え、7時台には146.88円まで高値を伸ばした。
10月2日夜の米ADPによる9月全米雇用報告では非農業部門民間就業者数が前月比14万3000人増となり8月の10.3万人増及び市場予想の12.0万人増を上回ったため労働市場悪化への過度の警戒感が後退したことも米長期債利回り上昇とドル高となりドル円を押し上げた。

【逆石破ショック】

石破首相は2日夕に日銀の植田総裁と官邸で会談し、会談後に日銀の追加利上げについては「個人的に現在そのような環境にあるとは思っていない」とし、アベノミクスに否定的で利上げ支持姿勢と指摘されていることについては「そのようなことを考えているわけでは全くない」と述べた。
植田総裁は会談後に、「(利上げ判断を)見極めるための時間は十分にあり、丁寧に見ていきたいと申し上げた」、「首相には金融政策は極めて緩和的な状態で、わが国経済をしっかりと支えていく状態にある」と説明したとし、「経済・物価が見通し通りに動いていけば、金融緩和の度合いを調整していく(追加利上げを判断する)」と伝えたと述べた。

9月27日午後からの急落を石破ショックとすれば、昨夕からのドル円急伸は逆石破ショックとでもいうべき動きだったが、ドル円は9月27日高値を超えたことで9月16日安値139.57円からの上昇が9月30日安値を押し目として二段目に入った。日銀利上げと世界連鎖株安で急落した後の8月15日高値から9月3日高値へと戻り高値ラインを切り下げてきた流れから脱却しており、かえって円安に弾みがついた印象もある。
ただし、ドル円の年末にかけて方向性を決める上で今週末の米雇用統計が重要であり、まだ暫くは乱調な展開に注意したい。

【米長期債利回りは総じて反騰、NYダウも上昇】

10月2日の米長期債利回りはADP民間雇用が予想を上回ったことで11月FOMCでの連続大幅利下げは回避されるとの見通しが強まったと受け止め総じて上昇した。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.05%上昇の3.78%、30年債利回りは前日比0.06%上昇の4.13%、政策金利動向に敏感な2年債利回りは前日比0.04%上昇の3.65%となった。
2年債利回りは9月25日に3.51%へ低下して2023年10月に付けた5.26%以降の最低とした後は下げ渋り程度であり、大幅利下げ期待が後退しても年内2回の連続利下げと2026年にかけて利下げ基調で推移することを踏まえて低水準を維持した動きに留まっている。金利先物市場における次回FOMCでの0.50%利下げ期待度は先週6割程度へ上昇していたが2日のADP発表後に3割台前半へ低下している。
一方でNYダウは前日比39.55ドル高と上昇、ナスダック総合指数も同14.76ポイント高、S&P500指数は同0.79ポイント高とわずかに上昇した。月末までの上昇一服感もあり、今週末の米雇用統計と中東情勢を気にしながら様子見の動きに入っている印象だ。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は9月27日午後高値146.47円からの石破ショック安による急落幅を解消したため、現状は9月30日午後安値141.64円を起点とした上昇の継続中と思われる。目先の高値形成期は3日午前から4日午後にかけての間とし、乱高下がさらに続く可能性もあるため145.70円割れを弱気転換注意、145.30円割れからはいったん下げに入るとみて3日午後から7日午後にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では3日早朝への大上昇で遅行スパンが好転して先行スパンも大きく上抜いているため遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、急騰後の反動安にも注意がいるため9本転換線の上昇がストップして低下に転じるところを弱気転換注意として26本基準線前後への下落及び遅行スパン悪化を試す下落を想定する。

60分足の相対力指数は2日夜に80ポイントへ到達してからも80ポイントを挟んだ揉み合いだが、急騰後の反動安も警戒される。60ポイント台へ低下するところは買われやすいとみるが、60ポイント割れからはいったん下げに入るとみて40ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、145.70円を下値支持線、147.00円を上値抵抗線とする。
(2)145.70円を上回るうちは上昇余地ありとし、147円超えからは147.50円前後への上昇を想定する。147.50円以上は反落警戒とするが、146円を上回っての推移なら4日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)145.70円割れからは下向きとし、145.30円割れからは急騰後の反動安期に入るとみて144.50円前後への下落を想定する。144.50円以下は反騰注意とするが、145.30円以下での推移なら4日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の予定】

10/3(木)
休場 中国、韓国
10:30 (豪) 8月 貿易収支 (7月 60.09億豪ドル、予想 55.00億豪ドル)
10:30 (日) 野口日銀審議委員、懇談会出席、14:30〜記者会見
16:55 (独) 9月 HOCBサービス業PMI・改定値 (速報 50.6、予想 50.6)
17:00 (欧) 9月 HOCBサービス業PMI・改定値 (速報 50.5、予想 50.5)
17:30 (英) 9月 S&PGサービス業PMI・改定値 (速報 52.8、予想 52.8)
18:00 (欧) 8月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (7月 0.8%、予想 0.3%)
18:00 (欧) 8月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (7月 -2.1%、予想 -2.4%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.8万件、予想 22.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 183.4万人、予想 183.2万人)
22:45 (米) 9月 S&PGサービス業PMI・改定値 (速報 55.4、予想 55.4)
23:00 (米) 9月 ISMサービス業景況指数 (8月 51.5、予想 51.7)
23:00 (米) 8月 製造業新規受注 前月比 (7月 5.0%、予想 0.0%)
23:40 (米) カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁とボスティック・アトランタ連銀総裁が対談

10/4(金)
休場 中国
21:30 (米) 9月 非農業部門就業者数 前月比 (8月 14.2万人、予想 13.0万人)
21:30 (米) 9月 失業率 (8月 4.2%、予想 4.2%)
21:30 (米) 9月 平均時給 前月比 (8月 0.4%、予想 0.3%)
21:30 (米) 9月 平均時給 前年同月比 (8月 3.8%、予想 3.7%)


注:ポイント要約は編集部

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