『ドル円は約1カ月半ぶり高値を更新。心理的節目150.00が視野に』
〇今週のドル円、石破ショック発生に伴うリスク回避の円買い圧力に週明け141.65まで下落
〇売り一巡後は週末にかけ148.80まで急伸
〇本邦早期解散総選挙の方針、日銀植田総裁、石破首相のハト派的発言、パウエル議長のタカ派的発言、
〇中東情勢緊迫化、米9月雇用統計の予想外の良好な結果等が背景
〇ユーロドル、週初の1.12台から欧州指標不冴え、中東情勢緊迫化、米金利上昇等に週末1.09台に下落
〇ドル円、週間で7円超急騰、主要テクニカルポイント上抜け、強い買いシグナルも成立、地合い好転
〇ファンダメンタルズも日米金利差縮小観測後退がドル円をサポート
〇引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(USDJPY):146.50ー151.50、(EURUSD):1.0750−1.1050
今週のレビュー(9/30−10/4)
<ドル円相場>
今週のドル円相場は、週初142.24で寄り付いた後、(1)石破ショック発生に伴うリスク回避の円買い圧力(前週末金曜日の自民党総裁選・決選投票で緊縮財政+金融政策正常化を掲げる石破茂元幹事長が新総裁に選出→高市氏が破れたことでアベノミクス継承に対する期待感剥落→日経平均株価が大暴落)が重石となり、週明け早々に、週間安値141.65まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(2)石破首相による「10/27に解散総選挙を行いたい」との発言や、(3)米9月シカゴ購買部協会景気指数(結果46.6、予想46.0)の市場予想を上回る結果、(4)米9月ダラス連銀製造業活動指数(結果▲9.0、予想▲10.8)の市場予想を上回る結果、(5)パウエルFRB議長による「我々は利下げを急いでいるとは感じていない」「この先、経済がおおむね想定通りに進展すれば、政策は時間とともにより中立のスタンスへと移行するだろう」との早期大幅利下げに慎重な発言、
(6)日銀金融政策決定会合における主な意見(9/19ー9/20開催分)の「市場にサプライズを起こさぬようデータの変化を点検し改善に応じて金融政策を修正する」「追加的な利上げを行う局面では市場との対話を従来以上に丁寧に行う必要がある」との早期利上げに慎重な記述、(7)中東情勢緊迫化に伴う有事のドル買い(リスク回避の円買い圧力を有事のドル買いが上回る展開)、(8)植田日銀総裁による「経済物価が見通し通り動けば緩和の度合いを調整するが、本当にそうか見極める時間があるので丁寧にやる」とのハト派的な発言、(9)石破首相による「現在は追加利上げをするような環境にはない」との踏み込んだ牽制発言、(10)米9月ADP雇用統計(結果+14.3万人、予想+12.5万人)の市場予想を上回る結果、(11)米9月ISM非製造業景況指数(結果54.9、予想51.7)の市場予想を上回る結果(約1年半ぶり高水準)、
(12)米9月非農業部門雇用者数(結果+25.4万人、予想+14.0万人)の力強い結果、(13)米9月失業率(結果4.1%、予想4.2%)の良好な結果、(14)米9月平均時給(結果+4.0%、予想+3.8%)の市場予想を上回る結果、(15)米金利上昇に伴うドル買い圧力が支援材料となり、週末にかけて、週間高値148.80(8/16以来の高値圏)まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間10/5午前1時00分現在)では、148.70前後で推移しております。
<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場は、週初1.1159で寄り付いた後、早々に週間高値1.1209まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(1)9/25に記録した年初来高値1.1214を背にした戻り売り圧力や、(2)ドイツ9月消費者物価指数速報値(結果+1.6%、予想+1.7%)の市場予想を下回る結果、(3)ラガルドECB総裁による「最近の動向はインフレ率が速やかに目標に戻るというわれわれの自信を強めている」「10月の次回政策会合でそれを考慮に入れる」とのハト派的な発言、(4)フィンランド中銀レーン総裁による「10月会合での利下げの根拠が増した」とのハト派的な発言、(5)上記3、4を背景としたECBによる早期利下げ観測再燃、
(6)パウエルFRB議長による「我々は利下げを急いでいるとは感じていない」とのタカ派的な発言、(7)中東情勢緊迫化に伴うリスクオフ再開、(8)欧州株の冴えない動き、(9)米9月雇用統計の力強い結果、(10)上記9を背景とした米長期金利の急上昇が重石となり、週末にかけて、週間安値1.0955(8/15以来の安値圏)まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間10/5午前1時00分現在)では、1.0960前後で推移しております。
来週の見通し(10/7−10/11)
<ドル円相場>
ドル円は石破ショック発生後に記録した安値141.65をボトムに切り返すと、週末にかけて一時148.80まで急伸しました(7円超の急騰劇)。日足ローソク足が主要テクニカルポイント(21日線、50日線、一目均衡表転換線、基準線、雲下限、ボリンジャーミッドバンド)を上抜けした他、強い買いシグナルを示唆する「強気のバンドウォーク」も成立するなど、テクニカル的に見て、地合いの好転を強く印象づけるチャート形状となりつつあります。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)日銀による過度な利上げ期待の剥落(石破首相は今週「現在は追加利上げをするような環境にはない」と市場で燻る早期利上げ期待を牽制。植田日銀総裁や野口日銀審議委員からもハト派的な発言あり)や、(2)米FRBによる過度な利下げ期待の剥落(パウエルFRB議長は今週「我々が利下げを急いでいるとは感じていない」と市場で高まる早期利下げ期待を牽制。週末に発表された米9月雇用統計も文句なしの力強い結果)、(3)上記1、2を背景とした円キャリートレードの再開期待(日米金利差に着目したドル買い・円売り再開期待)など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が増えつつあります。
中東情勢緊迫化に端を発した地政学的リスクについても、「リスク回避の円買い」以上に「有事のドル買い」で反応し易くなっていることから、当方では引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします(8/15に記録した高値149.40や、心理的節目150.00を早期に試すシナリオを想定)。尚、来週は10/10に予定されている米9月消費者物価指数に注目が集まるものの、米FRBは現在、デュアル・マンデートの「物価の安定」と「雇用の最大化」の内、後者に軸足を置いているため、余程大きなサプライズ(市場予想を大幅に下回る結果)が見られない限り、ドル売りでの反応は限定的となりそうです。
来週の予想レンジ(USDJPY):146.50ー151.50
<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は9/25に記録した年初来高値1.1214をトップに反落に転じると、週末にかけて、一時1.0958(8/15以来の安値圏)まで急落しました。日足ローソク足が主要テクニカルポイント(21日線、50日線、一目均衡表転換線、基準線、雲上限、ボリンジャーミッドバンド)を下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する「弱気のバンドウォーク」も成立するなど、テクニカル的に見て、地合いの悪化を強く印象付けるチャート形状となりつつあります。また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)欧州経済を巡る先行き不安や、(2)ECBによる根強い利下げ観測(ラガルドECB総裁が「10月の次回政策会合でそれを考慮に入れる」と発言したことで、10/17に予定されているECB理事会での25bp利下げ観測が急浮上)、(3)米FRBによる過度な利下げ期待の剥落(パウエルFRB議長がタカ派的な発言を行った他、今週発表された米9月雇用統計は極めて力強い結果→米金利に上昇圧力)、
(4)上記2、3を背景とした構造的なユーロ売り・ドル買い圧力(欧米金融政策格差に着目したユーロ売り・ドル買い)、(5)中東情勢緊迫化に伴う地政学的リスク(リスク回避のユーロ売り+有事のドル買いの組み合わせ)など、ユーロドル相場の下落を連想させる材料が増えつつあります。心理的節目1.1000を下抜けしたことで、8/26高値1.1202と、9/25高値1.1214を天井とするダブルトップのネックライン割れも実現したため、ユーロドルの下落圧力は来週以降一段と強まりそうです。以上を踏まえ、当方では引き続き、ユーロドル相場の続落をメインシナリオとして予想いたします。
来週の予想レンジ(EURUSD):1.0750−1.1050
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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