トルコリラ円見通し ドル円の急伸一服で4.35円到達後は上値重い(24/10/9)

トルコリラ円の10月8日は概ね4.34円から4.30円の取引レンジ、9日早朝の終値は4.32円で前日終値と変わらなかった。

トルコリラ円見通し ドル円の急伸一服で4.35円到達後は上値重い(24/10/9)

ドル円の急伸一服で4.35円到達後は上値重い

〇トルコ円、10/8夕、ドル円下落に合わせ4.30へ下げてから4.33へ戻す、大幅高一服の様相で上値重い
〇対ドル、10/8は概ね34.30から34.00の取引レンジ、終値の最安値近辺を維持
〇イスタンブール100株価指数、小幅上昇するも下げ渋り程度にとどまる
〇トルコ実体景気は低迷続け先行き不透明感強まる、トルコ株安がリラ安へ波及している印象も
〇4.30上回るうちは上昇余地あり、4.34超えからは4.35、4.36順次試す上昇想定、4.35円以上は反落注意
〇4.30割れからは4.28前後への下落を想定、4.28以下は買われやすいとみる

【概況】

トルコリラ円の10月8日は概ね4.34円から4.30円の取引レンジ、9日早朝の終値は4.32円で前日終値と変わらなかった。
トルコリラ円は石破ショックによるドル円の急落により9月27日午後高値4.29円から30日午後安値4.14円へ急落したが、石破首相・植田日銀総裁会談後にドル円が急伸したことでショック安による下げ幅が解消され、4日夜の米9月雇用統計が予想以上に堅調だったことによるドル円の一段高で7日朝高値4.35円へ上昇した。
ドル円は7日朝に149.13円へ高値を伸ばしたが、重要イベント通過で持ち高調整により軟調推移に入り、8日夕刻に147.34円まで下げてから148円台序盤へ戻したものの上値の重い展開に留まっている。トルコリラ円もドル円が下落した8日夕刻に4.30円へ下げてから4.33円へ戻したが、大幅高一服の様相で上値が重くなっている。

11月の米FOMCにおける大幅利下げ期待がほぼなくなり、年内残り2回のFOMCで0.25%ずつの緩やかな利下げとなる可能性が優勢となる一方で、日銀の年内追加利上げの可能性が大幅に後退しているため、9月16日にかけての大幅な円高に対する修正的な円安基調が続きやすい状況にある。
10日3時のFOMC議事要旨や10日夜の米CPIと米新規失業保険申請件数等をきっかけとしてドル円が一段高へ進めば、トルコリラ円もドル円を追いかけて4.35円超えから4.40円を目指す流れへ進みやすくなるのではないかと思われるが、それらを円安のきっかけとできない場合は7日朝高値からの調整安が長引くことも警戒される。

【ドル/トルコリラは終値の最安値近辺を維持】

ドル/トルコリラの10月8日は概ね34.30リラから34.00リラの取引レンジ、9日早朝の終値は34.24リラで前日終値と変わらなかった。
8月28日に34.41リラを付けて取引時間中の史上最安値としてから9月16日高値33.56リラへ戻したが、その後は日々の高安レンジを徐々に切り下げるリラ安基調がぶり返し、10月4日には米雇用統計の堅調さでドル全面高となった事も反映して安値で34.33リラへ下落して8月28日以来の安値水準とし、終値34.25リラで終値ベースの史上最安値を更新した。
10月7日と8日はトルコ重要指標の発表もなく欧米も重要指標無しで手掛かり難の中、10月4日の高安レンジ内での揉み合いにとどまっているが、最安値更新へ徐々に距離を詰める流れは健在であり、リラの先安感が強まっている印象だ。

【トルコの株安によるリラ安への影響】

イスタンブール100株価指数の10月8日は前日比0.15%高と小幅上昇したが、9月25日から10月3日にかけての7営業日続落を含めて7月18日の年初来高値11252.11から10月4日安値8850.42まで21.3%下落しており、2020年以降では最大の下落規模となっている。NYダウが8月2日から5日にかけての世界連鎖株安による大幅下落を解消して史上最高値更新したのに対し、イスタンブール100指数は8月2日から5日にかけてギャップを開けて急落した後も10000超えを繰り返し売られながら安値を切り下げて10月4日安値へ一段安し、その後も下げ渋り程度にとどまっている。
トルコの金融政策正常化は続き高インフレに落ち着きも見られてきたが、依然として異常に高いインフレ率とそれを抑え込むための政策金利50%という高金利、財政改革のための増税と緊縮財政方針等によりトルコの実体景気は低迷を続けている。最近では景気回復と7月にかけての株高に貢献してきたシムシェキ財務相が辞任を申し出たとの噂もあり先行き不透明感が強まっている。トルコ株安がリラ安へ波及している印象もあると注意していきたい。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、10月4日午後へ下げてから一段高したために7日朝時点では4日午後安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして8日夜から10日夜にかけての間への上昇を想定し、急騰後の反動安も警戒されるとして4.31円割れからは弱気転換注意とした。
7日朝高値からジリ安に入り8日夕に4.30円までいったん下げてから戻しているところのため、4.34円超えからは上昇継続から一段高へ進む可能性ありとするが、8日夕安値割れからは弱気サイクル入りとして9日午後から11日午後にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では8日夕安値からの反発で遅行スパンが好転し、先行スパンから一時転落してから持ち直しているところのため、先行スパンを上抜くところからは上昇継続とみて遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、再び先行スパンから転落する場合は下落再開として遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は8日夕に40ポイントまで下げてから戻したものの60ポイント手前に抵抗感がみられるため、60ポイント超えからは上昇継続として70ポイントを目指す流れと考えるが、45ポイント割れからは30ポイント割れを試す下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.30円を下値支持線、4.34円を上値抵抗線とする。
(2)4.30円を上回るうちは上昇余地ありとし、4.34円超えからは4.35円、4.36円を順次試す上昇を想定する。4.35円以上は反落注意とするが、4.32円を上回っての推移なら10日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.30円割れからは4.28円前後への下落を想定する。4.28円以下は買われやすいとみるが、4.30円以下での推移が続く場合は10日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

10月10日
 16:00 8月 鉱工業生産 前月比 (7月 0.4%)
 16:00 8月 鉱工業生産 前年同月比 (7月 -3.9%)
 16:00 8月 失業率 (7月 8.8%)
 20:30 週次 外貨準備高 10月4日時点
 20:30 週次 外貨準備高・グロス 10月4日時点 (9月27日時点 938.2億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高・ネット 10月4日時点 (9月27日時点 541.2億ドル)
10月11日
 16:00 8月 経常収支 (7月 5.66億ドル)
 16:00 8月 小売売上高 前月比 (7月 0.8%)
 16:00 8月 小売売上高 前年同月比 (7月 5.4%)
 16:00 トルコ中銀月次ビジネスサーベイ(年末CPI、金利、為替レート予想集計)
10月15日
 17:00 9月 財政収支 (8月 -1296億リラ)
10月17日
 20:00 トルコ中銀金融政策委員会 政策金利 (現行 50.0%)


注:ポイント要約は編集部

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