先週からの大幅高一服だが、147円台で底固さ見せ騰勢を維持
〇ドル円、重要イベント通過による持ち高調整で、10/8夕に147.34まで安値切り下げるも148円台回復
〇FRB高官の0.25%利下げ支持姿勢相次ぎ、ドル円の底固さに寄与
〇金利先物市場、0.50%利下げ期待ほぼ解消、利下げ見送りの可能性が1割程度に上昇
〇米長期債利回りは大幅上昇一服で低下、米国主要株価指数は総じて上昇
〇147.34上回るうちは上昇余地あり、148.75超えからは10/7朝高値149.13試しを想定
〇147.34割れからはいったん下げに入るとみて10/3午後安値145.88を試すとみる
【概況】
ドル円は10月3日の石破首相・植田日銀総裁会談後に両者が追加利上げに否定姿勢を示したことで9月27日午後からの石破ショック安を解消し、4日夜の米雇用統計が予想よりも堅調だったことによるドル全面高で7日朝には149.13円まで高値を伸ばし、9月16日安値139.57円からの上昇幅を9.56円として8月15日高値149.38円からの下落幅をほぼ解消した。
10月7日は重要イベント通過による持ち高調整でジリ安の推移となり、8日夕刻には147.34円まで安値を切り下げたものの8日夜から148円台を回復して確りしている。
FRB高官らが9月の0.50%大幅利下げを支持した上で今後は0.25%ずつの通常ペースで緩やかな利下げへ向かうとの見通しを相次いで示したことがドル円の底固さに寄与した印象だ。日銀が年内追加利上げを見送る姿勢を示す中で米国の利下げペースが緩やかになる見通しが優勢となり一部には11月利下げ見送りの可能性も指摘されているため、ドル円としては7月3日から9月16日にかけての大幅な円高を修正するための円安基調を続けやすい状況と思われる。
今夜はFRB高官らの講演等での発言も相次ぎ、10日3時にはFOMC議事要旨公開がある。FOMCメンバーによる利下げペースへの姿勢や労働市場に対する認識に注目が集まる。
【FRB高官、0.25%利下げ支持姿勢相次ぐ】
NY連銀のウィリアムズ総裁は英FT紙のインタビュー記事(7日に実施、8日発行)において、年内0.5%の追加利下げが「基本的なシナリオになる」との見解を示し、9月会合での0.50%利下げは正しかったとした上で、0.50%利下げが「将来の行動ルールにはならない」として今後は緩やかな利下げペースが妥当とした。
ボストン連銀のコリンズ総裁は8日の講演で、「一段の政策スタンス調整(利下げ)が必要」とし、9月FOMCで示された年内残り2会合での計0.50%利下げ見通しについては「現在の望ましい経済状況を保つため需要を不必要に圧迫しないようスタンス調整(利下げ)が求められる」と支持姿勢を示した。
アトランタ連銀のボスティック総裁は8日の会合で、米労働市場は鈍化しているものの弱くないとの認識を示したが、「失業率が上昇し始めれば歯止めが効かなくなる傾向がある」と警戒感を示し、毎月の雇用増が10万人を下回れば、「FRBがより速いペースで利下げを実施すべきか検討する可能性がある」として労働市場の悪化次第では追加の大幅利下げを判断する可能性もあるとした。
金利先物市場における11月FOMCでの利下げについては、米雇用統計前段階で0.50%の連続大幅利下げと通常の0.25%利下げの可能性が五分五分だったが、雇用統計後は0.50%利下げ期待がほぼ解消し、逆に利下げを見送る可能性もほとんどなかったところから1割程度に上昇している。
【米長期債利回りは大幅上昇一服で低下、前日反落の米国主要株価指数は反発】
10月8日の米長期債利回りは前日までの大幅上昇一服で総じて低下した。FOMC議事要旨公開待ちで先週末からの大幅上昇に一服感がみられた。
長期金利指標の10年債利回りは、10月4日に前日比0.12%上昇、7日に0.06%上昇と連騰し、8日は一時4.06%へ続伸してから上げ幅を削って前日比0.02%低下の4.01%に終わった。
30年債利回りは4日の0.07%上昇から7日に0.06%上昇と連騰し、8日は一時4.34%へ続伸してから上昇幅を削って前日比0.01%低下の4.30%に終わった。
政策金利動向に敏感な2年債利回りは4日に前日比0.22%の大幅上昇とし、7日に0.07%上昇と続伸して8月23日以来の4%台に到達したが、7日は上げ渋りで前日比0.04%低下の3.96%にとどまった。
一方で米国主要株価指数は4日の雇用統計が堅調だったことを歓迎して上昇し、週明けの7日は米長期債利回り上昇を嫌って週末の上昇に対する反動で下落していたが、8日は再び楽観的強気優勢となり総じて上昇した。NYダウは前日比126.13ドル高、ナスダック総合指数は259.02ポイント高、S&P500指数は55.19ポイント高だった。
大幅利下げ期待は後退しても利下げサイクル入り=金融緩和期入りにより過去の世界的な金融緩和期に大上昇してきたことを意識して楽観的株高基調を維持している印象だが、米長期債利回りが9月後半から上昇したことと米国株高がドル円の上昇にも寄与している。
【60分足、サイクル・一目均衡表分析】
ドル円は4日午後安値145.88円から7日朝高値149.13円へ急伸した後はややジリ安の推移となりながらも147円台前半から持ち直して148円台前半に付けている。8日夕安値147.34円を上回るうちは上昇余地ありとし、7日朝高値超えからは9日午後から10日午前にかけての間への上昇を想定するが、8日夕安値割れからはいったん仕切り直しの下落期に入るとみて9日午後から11日午後にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では8日夕に先行スパンからわずかに転落しかけたものの持ち直し、遅行スパンも悪化していたところから9日午前序盤では再び好転している。148円を挟んだ揉み合いのため方向感に欠けるが、先行スパンを上回るうちは遅行スパン好転中の高値試し優先とし、先行スパンから転落する場合は下落継続とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は8日午前から8日夕へ若干相場が切り下がったところで指数のボトムが40ポイント近辺でほぼフラットとなり底固さを見せて50ポイント台へ戻している。60ポイント超えからは上昇が勢いを増すとみて70ポイント台を目指す流れとするが、50ポイント以下での推移中は下向きとし、45ポイント割れからはいったん下げに入るとみて30ポイント台前半への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、147.34円を下値支持線、148.75円を上値抵抗線とする。
(2)147.34円を上回るうちは上昇余地ありとし、148.75円超えからは10月7日朝高値149.13円試しを想定する。149円台は再び売られやすいと注意するが、148.50円以上での推移が続ければ10日の日中も高値試しへ向かいやすいとみる。7日朝高値を超えて急伸する場合は149円台後半へ上値目途を引き上げる。
(3)147.34円割れからはいったん下げに入るとみて3日午後安値145.88円を試すとみる。146.30円から145.90円台にかけては買い拾われやすい水準とするが、147.34円以下での推移が続く場合は10日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の予定】
10/9(水)
10:00 (NZ) ニュージーランド中銀 政策金利 (現行 5.25%、結果 4.75%)
15:00 (独) 8月 貿易収支 (7月 168億ユーロ、予想 184億ユーロ)
21:00 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、会合挨拶
22:15 (米) ローガン・ダラス連銀総裁、講演
23:00 (米) 8月 卸売売上高 前月比 (7月 1.1%、予想 0.5%)
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
23:30 (米) グールズビー・シカゴ連銀総裁、会合挨拶
25:30 (米) ジェファーソンFRB副議長、講演
26:00 (米) 財務省10年債入札
27:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC、9月17-18日分)議事要旨
10/10(木)
休場 台湾
06:00 (米) コリンズ・ボストン連銀総裁、講演
07:00 (米) デーリー・サンフランシスコ連銀総裁、講演
08:50 (日) 9月 国内企業物価指数 前月比 (8月 -0.2%、予想 -0.3%)
08:50 (日) 9月 国内企業物価指数 前年同月比 (8月 2.5%、予想 2.3%)
21:30 (米) 9月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (8月 0.2%、予想 0.1%)
21:30 (米) 9月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (8月 2.5%、予想 2.3%)
21:30 (米) 9月 コアCPI(食品エネルギー除く) 前月比 (8月 0.3%、予想 0.2%)
21:30 (米) 9月 コアCPI(食品エネルギー除く) 前年同月比 (8月 3.2%、予想 3.2%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 22.5万件、予想 22.9万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 182.6万人)
23:45 (米) バーキン・リッチモンド連銀総裁、懇談会に参加
24:00 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、会議で基調講演
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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