ドル円見通し 米雇用統計後の急騰一服で足場固め、米長期債利回り上昇が支え(24/10/8)

ドル円は、8日午前序盤は147.50円台へ下落するなど急騰後の修正安感が強まっている。

ドル円見通し 米雇用統計後の急騰一服で足場固め、米長期債利回り上昇が支え(24/10/8)

米雇用統計後の急騰一服で足場固め、米長期債利回り上昇が支え

〇昨日のドル円、米雇用統計後のドル高継続により、朝に149.13まで高値伸ばす
〇10/8午前序盤は147.50台へ下落するなど、急騰後の修正安感強まる
〇米長期債利回りは週明けも大幅上昇、米国主要株価指数は反落
〇148.50超えからは上昇再開とみて10/7朝高値149.13試しを想定
〇147円割れからは10/3午後安値145.88を試す流れとみる

【概況】

ドル円は10月4日夜の米雇用統計で非農業部門就業者数が前月比25万4000人増(8月15.9万人増、市場予想14万人増)となり過去6カ月で最大の増加となったこと、失業率が8月の4.2%から4.1%へ改善し、平均時給前年同月比が8月の3.9%から4.0%へ加速したため、11月FOMCでの大幅利下げは無いと受け止められて米長期債利回りが急伸してドル全面高となる中、発表前の146.60円近辺から149円到達へ急伸し、週明けの7日朝には149.13円まで高値を伸ばした。
7日夜にかけては米主要経済指標の発表がなく手掛かりに欠けたが、米雇用統計により11月FOMCでの連続利下げ見送りの可能性も浮上しているとして米長期債利回りが連騰し、ユーロドルは5日未明からの下げ渋りを続けたもののポンドドルと豪ドル米ドルが一段安となりドル高優勢の流れが続いた。しかしドル円は急伸後の持ち高調整を優先し、クロス円の下落を見てやや円高優勢の流れとなり、7日夜に147.85円まで下げてから8日早朝にかけて148円を挟んだ揉み合いで推移した。

8日午前序盤は147.50円台へ下落するなど急騰後の修正安感が強まっている。9月30日安値141.64円を起点として石破ショック安を解消して9月27日高値146.47円を超えて一段高してきたため、10月4日安値145.88円から底上げをした水準で押し目形成とすれば、7日朝高値149.13円を超えて150円を目指す可能性も浮上するのではないかと思われる。
ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は7日に、「米国の労働市場は依然として強く、この状態を維持したい」とし、前回FOMCにおける0.50%利下げは適切だったと述べ、自らは先行き3%へ政策金利が低下してゆくと予想している旨を述べたが、市場の反応は限定的だった。

【米長期債利回りは週明けも大幅上昇、米国主要株価指数は反落】

10月4日の米雇用統計が予想以上に強かったことで米長期債利回りが大幅上昇したが、週明けもこの流れを継続して続伸した。
長期金利指標の10年債利回りは10月4日の前日比0.12%上昇から7日も0.06%上昇と続伸して4.03%として8月1日以来の4%台を回復、2023年10月5.02%以降の最低である9月17日の3.60%以降の最高を週末に続いて更新した。30年債利回りも4日の0.07%上昇から7日に0.06%上昇の4.31%と続伸し、政策金利動向に敏感な2年債利回りは4日の0.22%上昇から7日も0.07%上昇の4.00%として8月23日以来の4%台に付け、9月25日に付けた昨年10月以降の最低である3.51%後の最高を更新した。
米雇用統計後に11月FOMCにおける0.50%利下げの期待はほぼなくなったが、7日の長期債利回り上昇は11月FOMCでの利下げ見送りもあり得るとの見方を反映しているという印象もある。またNY原油価格がハリケーンの影響や中東情勢の深刻化により7日に3.71%高と大幅続伸したこともインフレ再燃への懸念を強めて米長期債利回り上昇に寄与したようだ。

一方で米国主要株価指数は米長期債利回り上昇を嫌って総じて下落した。
NYダウは先週末比398.51ドル安と下落し、一時500ドル安を超える下落幅となり4日の341.16ドル高による上昇を解消した。ナスダック総合指数も先週末比213.95ポイント安となり4日の219.37ポイント高による上昇を解消、S&P500指数も先週末比55.13ポイント安で4日の51.13ポイント高による上昇を解消した。
米雇用統計発表後は大幅連続利下げはなくなったとしても利下げ継続とリセッション回避による先高期待を優先していたが、7日は長期債利回りの連騰による圧迫感が勝り始めた印象だ。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は4日午後の146円割れから米雇用統計発表後の急伸で149円台に到達したがその後は軟調な推移に入っている。急騰一服でいったん仕切り直しという印象であり、147円台を維持する内は10月4日午後安値145.88円を起点とした上昇期の継続とし、148.50円超えからは一段高へ進む可能性があると考える。ただし、147円を割り込んだ後も147.50円以下での推移か146円台前半へ続落する場合は9日午後から11日午後にかけての間へ安値試しを続けやすくなると注意する。

60分足の一目均衡表では7日朝高値から軟調推移に入ったために遅行スパンが悪化し、先行スパンからの転落を回避できるか試している。先行スパンから転落して安値切り下げに入る場合は急騰後の調整安継続とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とするが、先行スパンを上抜き返すところからは上昇再開の可能性ありとみて遅行スパン好転からの高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は4日夜から7日朝への高値切り上げに際して指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられて8日朝に40ポイントまで低下した。55ポイント以下に留まるうちは一段安余地ありとし、40ポイント割れからは30ポイント前後への低下を想定するが、30ポイント以下は買い拾われやすいとみる。55ポイント超えからは上昇再開とし、60ポイント超えからは70ポイント超えを試して行く流れと考える。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、147.00円を下値支持線、148.50円を上値抵抗線とする。
(2)147円を上回るうちは上昇余地ありとし、148.50円超えからは上昇再開とみて10月7日朝高値149.13円試しを想定する。149円台は再び売られやすいと注意するが、148.50円以上での推移に入れば9日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)147円割れからは3日午後安値145.88円を試す流れとみる。146円台中盤で下げ止り147.50円を超える場合は上昇再開とするが、146円台での推移が続く場合は下落継続の可能性ありとし、3日午後安値145.88円割れから145円台前半へ目先の下値目途を引き下げる。

【当面の予定】

10/8(火)
09:30 (豪) 豪中銀、金融政策会合議事要旨
14:00 (日) 9月 景気ウオッチャー現状判断DI (8月 49.0、予想 49.2)
14:00 (日) 9月 景気ウオッチャー先行き判断DI (8月 50.3、予想 50.5)
15:00 (独) 8月 鉱工業生産 前月比 (7月 -2.4%、予想 0.8%)
15:00 (独) 8月 鉱工業生産 前年同月比 (7月 -5.3%、予想 -3.8%)
16:00 (米) クーグラーFRB理事、講演
21:30 (米) 8月 貿易収支 (7月 -788億ドル、予想 -705億ドル)
25:45 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、講演
29:00 (米) コリンズ・ボストン連銀総裁、講演

10/9(水)
10:00 (NZ) ニュージーランド中銀 政策金利 (現行 5.25%、予想 4.75%)
15:00 (独) 8月 貿易収支 (7月 168億ユーロ、予想 189億ユーロ)
21:00 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、会合挨拶
22:15 (米) ローガン・ダラス連銀総裁、講演
23:00 (米) 8月 卸売売上高 前月比 (7月 1.1%)
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
23:30 (米) グールズビー・シカゴ連銀総裁、会合挨拶
27:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨9月17-18日分


注:ポイント要約は編集部

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