日銀総裁会見からの円安一服、ドル/トルコリラの終値最安値更新で上値重い
〇トルコリラ円、ドル円を追いかけて9/20午後安値4.16から深夜高値4.24へ上昇、9/16以降の高値更新
〇9/23午前4.24を再び付けてから失速気味、9/23日夜と9/24日未明に4.20を割り込み戻り一巡感
〇対ドル、9/20は概ね34.15から33.88の取引レンジ、9/23は概ね34.16から33.80の取引レンジ
〇34リラを挟んだ持ち合いを続けているが、終値ベースの最安値を連日更新
〇4.18を上回るうちは上昇余地ありとし、4.22超えからは4.24、4.25を順次試す上昇を想定する
〇4.18割れからは、9/16からの上昇一巡による下落期入りとみて4.15前後試しとする
【概況】
トルコリラ円の9月20日は概ね4.24円から4.16円の取引レンジ、21日早朝の終値は4.21円で前日終値の4.19円から0.02円の円安リラ高だった。週間では9月13日終値4.15円から0.07円の円安リラ高、9月20日時点の月間では8月30日終値4.29円から0.08円の円高リラ安だった。
9月23日は概ね4.23円から4.17円の取引レンジ、24日早朝の終値は4.20円で先週末終値からは0.01円の円高リラ安だった。
日銀が20日の金融政策決定会合で政策金利を現状維持とし、15時半からの植田総裁会見で年内の追加利上げに消極姿勢が示されたため、ドル円は総裁会見開始当初の安値141.73円から20日深夜高値144.48円へ急伸して9月16日安値139.57円以降の高値を更新した。トルコリラ円もドル円を追いかけて午後安値4.16円から深夜高値4.24円へ上昇して9月16日に付けた取引時間中の史上最安値4.11円以降の高値を更新し、その後はやや上げ幅を削ったものの19日から2連騰とした。
ドル円は23日夕刻に143.16円まで下げたところから戻したものの20日深夜高値超えには至らず、143円台序盤では底固いものの144円台前半で売られて上値が重くなり、トルコリラ円も23日午前に4.24円を再び付けてからは失速気味となり、23日夜と24日未明に4.20円を繰り返し割り込んで戻り一巡感がみられる。
日銀の年末年始へ向けた利上げ追及姿勢が緩んだことで9月16日にかけての過度な円高感は後退したものの、ポンド、豪ドル、南アランドなどが対ドルでFOMC通過後の高値を更新しており、ユーロに多少の波乱がみられるものの全般的にはドルストレートでのドル安感が強まっているため、ドル円も円売り一巡で上値が重くなっている可能性がある。
トルコリラ円はドル/トルコリラで終値ベースの最安値更新が続き始めていることを気にしつつ、ドル円が下落に転じる可能性に注意したいところだ。
【ドル/トルコリラは終値ベースの最安値更新続く】
ドル/トルコリラの9月20日は概ね34.15リラから33.88リラの取引レンジ、21日早朝の終値は34.09リラで前日終値の34.03リラから0.06リラのドル高リラ安だった。週間では9月13日終値33.88リラから0.21リラのドル高リラ安、9月20日時点の月間では8月30日終値34.07リラから0.02リラのドル高リラ安だった。
9月23日は概ね34.16リラから33.80リラの取引レンジ、24日早朝の終値は34.12リラで先週末終値から0.03リラのドル高リラ安だった。
8月28日に34.41リラを付けて取引時間中の史上最安値とした後は34リラを挟んだ持ち合いを続けているが、終値ベースの最安値としては8月30日終値34.07リラを9月17日終値34.08リラ、20日終値34.09リラ、23日終値34.12リラで連日更新しており、9月16日高値33.58リラを起点としてリラ売りが優勢となりつつある印象だ。
【今後のインフレ動向と中銀の利下げ開始見通し】
トルコ中銀は9月19日に政策金利の週間レポレートを50.0%として6会合連続で据え置いたが、インフレ低下傾向が顕著となりつつあるために引き締め政策継続姿勢を緩めたため、第4四半期のいずれかのタイミングで利下げに入るのではないかとの思惑が強まっている。
今後は10月3日に9月CPI、10月11日に中銀の月次ビジネスサーベイ(エコノミストや企業トップによる年末のCPIやドル/トルコリラの予想集計)、10月17日に次回中銀金融政策決定会合、10月31日に中銀の四半期インフレ報告、11月4日の10月CPIや11月15日の中銀ビジネスサーベイを通過して11月21日の中銀金融政策決定会合とスケジュールされており、10月31日の四半期インフレ報告を踏まえて11月21日の金融政策決定会合で利下げを判断するのではないかと思われる。
高インフレが落ち着き高金利も低下期に入ればトルコ経済への底上げとなり、海外からのトルコ投資姿勢も強まる可能性があるが、増税と緊縮財政の影響もあり、低成長から抜け出せないようだと利下げがリラ売り材料とされることも考えられる。
年末の為替レートについては1ドル37リラ台がコンセンサスであり、今年序盤の1ドル40リラからはかなり修正されてきているとはいえ、現状の34リラ台からさらにリラ安が進行するとの見方は変わらない。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラの概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、9月19日未明へ反落してから18日早朝高値を上抜いたため、19日午前時点では19日未明安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとしたが20日午後へ下落したところから一段高したため、直近のサイクルボトムを20日午後安値へ改める。4.18円を上回るうちは24日の日中から26日午前にかけての間への上昇余地ありとするが、4.18円割れからは弱気サイクル入りとして25日午後から27日午後にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では23日午前からの下落で遅行スパンが悪化して先行スパンへ潜り込んでいるため、先行スパンからの転落を回避する内は反騰余地ありとして遅行スパン好転から高値試し優先とするが、遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、先行スパン転落から続落の場合は下げ足が速まる可能性があると注意する。
60分足の相対力指数は9月18日早朝から19日午前への一段高に際して指数のピークがほぼフラットな弱気逆行を見せ、23日午前への上昇時も指数のピークが切り下がりを続けているため、強気転換は60ポイント超えからとし、50ポイント以下での推移中は下向きとして40ポイント割れからは20ポイント前後への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.18円を下値支持線、4.22円を上値抵抗線とする。
(2)4.18円を上回るうちは上昇余地ありとし、4.22円超えからは4.24円、4.25円を順次試す上昇を想定する。4.24円以上は反落警戒とするが、4.20円を上回っての推移なら25日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.18円割れからは9月16日からの上昇一巡による下落期入りとみて4.15円前後試しとする。4.15円前後は買い戻しも入りやすいとみるが、4.18円を割り込んでの推移なら25日も安値試しを続けやすいとみる。
【当面の主な予定】
9月24日
16:00 9月 製造業信頼感指数 (8月 98.5)
16:00 9月 設備稼働率 (8月 75.4%)
17:00 8月 海外観光客数 前年同月比 (7月 2.6%)
9月26日
20:30 週次 外貨準備高・グロス 9月20日時点 (9月13日時点 921.6億ドル)
20:30 週次 外貨準備高・ネット 9月20日時点 (9月13日時点 487.8億ドル)
9月27日
16:00 8月 貿易収支確報 (7月 -73億ドル)
16:00 9月 経済信頼感指数 (8月 93.1)
10月1日
16:00 9月 イスタンブール製造業PMI (8月 47.8)
10月3日
16:00 9月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (8月 2.47%)
16:00 9月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (8月 51.97%)
注:ポイント要約は編集部
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