ドル円見通し 日銀の追加利上げ消極姿勢で上昇したが144円台前半に抵抗感(24/9/24)

24日未明に143.24円へ下落し、24日午前序盤にかけては143円台中盤での小動きにとどまっている。

ドル円見通し 日銀の追加利上げ消極姿勢で上昇したが144円台前半に抵抗感(24/9/24)

ドル円見通し 日銀の追加利上げ消極姿勢で上昇したが144円台前半に抵抗感

〇ドル円、9/23夜143.16へ下落、その後一旦ドル高優勢となり深夜144.34へ戻したが高値更新に至らず
〇9/24未明に143.24へ下落、午前序盤にかけては143円台中盤での小動きにとどまる
〇日銀総裁、会合後の会見にて追加利上げを急がない姿勢示す
〇FOMC後の乱高下落ち着き、ドル安優勢の流れ
〇米長期債利回りはまちまちの動き、NYダウは取引時間中の最高値更新し終値ベースも3連騰
〇143円を上回るうちは上昇余地ありとし、144.48超えからは145円前後試しとする
〇143円割れから続落の場合は下落再開とみて142円前後への下落を想定する

【概況】

ドル円はFOMC後の乱高下で19日早朝に140.44円へ急落してから19日午前高値143.94円へ反騰し、その後は143円を挟んで前後凡そ1円規模の乱高下に入ったが、日銀金融政策決定会合が市場予想通りに政策金利の現状維持を決定した上で15時半からの植田総裁会見では年末にかけての追加利上げ姿勢が消極的だったため、会見開始直後の安値141.73円から143円台へ反騰し、20日深夜には144.48円へ続伸した。
23日は東京市場祝日だったが、欧州タイムからユーロドルが急落する波乱もあり、ドル円はユーロ円の下落に引きずられて夜に143.16円へ下落し、深夜にかけてはいったんドル高優勢となったことで144.34円まで戻したものの高値更新には至らず、FRB高官らの大幅利下げ支持姿勢等から24日未明に143.24円へ下落し、24日午前序盤にかけては143円台中盤での小動きにとどまっている。

【日銀は追加利上げにやや消極姿勢】

日銀は今年3月にマイナス金利を解除したのに続いて7月31日に政策金利を0.25%程度へ引き上げる追加利上げを決定し、今後も利上げしてゆく姿勢を示したのだが、急激な円高を招いたことと世界連鎖株安が重なったことで金融市場が動揺している時に利上げはしないとして市場の動揺を抑えた経緯がある。
日銀の植田総裁は9月20日の会見で「政策判断に時間的な余裕はある」、「物価上振れリスクは相応に減少している」と述べて追加利上げを急がない姿勢を示した。金融市場動向については「引き続き不安定な状況にある」とし、「当面は極めて高い緊張感を持って注視し、経済・物価の見通しに及ぼす影響をしっかりと見極める」と述べて当面の利上げを見送る状況が続いている認識を示した。「経済・物価の見通しが実現していくとすれば金融緩和の度合いを調整する」として条件が整えば利上げしたい姿勢を示す一方で、「直ちに見通しの確度が高まり、すぐに利上げということにはならない」とした。

【FOMC後の乱高下落ち着き、概ねドル安基調を継続】

9月19日早朝の米FOMCが0.50%の大幅利下げを決定して年内追加利下げ姿勢を示したものの次回会合での連続大幅利下げ期待は後退したとして為替市場は当初のドル安反応からドル高へ乱高下したのだが、ユーロドルが19日夕刻にはFOMC後の急落幅をほぼ解消し、ポンドドルと豪ドル米ドルが19日夜にFOMC後の高値を更新する一段高に入るなど乱高下が落ち着いた後はドル安優勢の流れとなった。
23日は独仏欧のPMI悪化傾向によりユーロドルが急落したものの、ポンドや豪ドル、南アランドは対ドルで23日深夜にFOMC通過後の高値を更新している。

9月23日にシカゴ連銀のグールズビー総裁が「向こう1年に、もっと多くの利下げがあることを意味する可能性が高い」と述べ、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁が「年内にもう一度50bpの利下げを支持する」姿勢を示し、アトランタ連銀のボスティック総裁も大幅利下げペースを確約するべきではないとしながらも「大幅な利下げで緩和サイクルを開始するのは金利を中立水準に近づける上で有益だ」と述べている。大幅利下げを含めて当面は連続利下げの可能性が高い印象を強めたことでドルストレートでのドル安感が再燃している印象だ。

【米長期債利回りはまちまち、米国株は小動き】

9月23日の米長期債利回りは強弱まちまちの小動きだった。
長期金利指標の10年債利回りは一時3.80%へ上昇して9月17日に付けた3.60%以降の高値としたがその後の失速で先週末比0.01%上昇の3.75%にとどまった。30年債利回りも一時4.13%をつけて9月17日に付けた3.90%以降の高値としたもののその後の失速で先週末比横ばいの4.09%で終了した。
政策金利動向に敏感な2年債利回りは終日小動きで先週末比0.01%低下の3.59%で終了した。9月16日に3.53%をつけて2023年10月の5.26%以降の最低としてからは下げ渋り程度の動きで、FOMC直後に3.72%まで反発した後は低下している。

一方でNYダウは一時42190.05ドルを付けて取引時間中の最高値を更新、終値ベースでも先週末比61.29ドル高で19日の前日比522.09ドル高から3連騰として最高値を更新した。ナスダック総合指数も先週末比25.95ポイント高と上昇したが9月19日に前日比440.68ポイント高の大幅上昇とした後は高値更新へ進めず18000を挟んだ揉み合いとしている。S&P500指数は先週末比16.02ポイント高と上昇して終値ベースの最高値を更新したが19日の取引時間中最高値更新には至らなかった。
総じて大幅利下げと今後の連続利下げへの期待感で米国株式市場は堅調だ。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は9月20日午後の142円割れから144円台へ急伸したため、20日午後安値を目先の底として上昇期に入ったが144円台前半では上値が重くなっている。143円台を維持する内は24日の日中から26日午前にかけての間への上昇を想定するが、143円割れから続落の場合は下落期入りと仮定して25日午後から27日夕にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では乱調な騰落が続いているため方向感に欠けるが、先行スパンからの転落を回避する内は上昇余地ありとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とし、先行スパンから転落する場合はいったん下げに入るとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は9月20日深夜への一段高では19日午前の上昇時と比較して指数のピークがほぼフラットとなり、18日早朝からは指数のピークが切り下がり基調で推移しているため、60ポイント超えからは一段高への上昇を想定するが、40ポイント割れからは下落期入りとみて20ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、143.00円を下値支持線、20日深夜高値144.48円を上値抵抗線とする。
(2)143円を上回るかわずかに割り込んでも早々に切り返すうちは上昇余地ありとし、144.48円超えからは145円前後試しとする。145円前後は反落注意とするが、144円以上を維持しての推移なら25日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)143円割れから続落の場合は下落再開とみて142円前後への下落を想定する。142円前後は買われやすいとみるが、急落商状の場合は141円台中盤へ下値目途を引き下げ、20日午後安値141.73円を割り込む場合は9月16日以降の上昇一巡による下落期入りと考える。

【当面の予定】

9/24(火)
休場 南ア
13:30 (豪) 豪中銀行 政策金利 (現行 4.35%、予想 4.35%)
17:00 (独) 9月 IFO企業景況感指数 (8月 86.6、予想 86.0)
22:00 (米) 7月 FHFA住宅価格指数 前月比 (6月 -0.1%、予想 0.2%)
22:00 (米) 7月 ケース・シラー住宅価格指数 前年同月比 (6月 6.5%、予想 5.9%)
23:00 (米) 9月 コンファレンス・ボード消費者信頼感指数 (8月 103.3、予想 104.0)
23:00 (米) 9月 リッチモンド連銀製造業指数 (8月 -19、予想 -12)

9/25(水)
08:50 (日) 8月 企業向けサービス価格指数 前年同月比 (7月 2.8%、予想 2.7%)
10:30 (豪) 8月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (7月 3.5%、予想 2.7%)
23:00 (米) 8月 新築住宅販売件数・年率換算 (7月 73.9万件、予想 69.6万件)
23:00 (米) 8月 新築住宅販売件数 前月比 (7月 10.6%、予想 -5.9%)
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計


注:ポイント要約は編集部

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