トルコリラ円見通し ドル高リラ安一服と円安継続で4連騰
〇トルコリラ円、ドル円の反騰継続に合わせ、8/28から9/2へ4連騰とする
〇対ドル、9/2は概ね34.09から33.62の取引レンジ、リラ売り一服感でリラ買い戻し優勢の流れ
〇トルコ4-6月GDPは予想を下回る結果、発表後のリラ売りはさほど見られず
〇4.31を上回るうちは上昇余地ありとし、4.34超えからは4.35、4.36を順次試す上昇を想定する
〇4.31割れからは下向きとし、4.30割れからは下落期入りとして4.28前後への下落を想定する
【概況】
トルコリラ円の9月2日は概ね4.34円から4.27円の取引レンジ、3日早朝の終値は4.34円で先週末終値の4.29円から0.05円の円安リラ高となった。
ドル/トルコリラが8月28日に取引時間中の史上最安値を34.41リラへ大幅更新したことでトルコリラ円は8月28日午前に一時4.16円(ベンダーによっては4.18円や4.05円等の極端な安値も見られた)を付けて取引時間中の史上最安値を更新したが、ドル円が8月26日からの反騰を継続して8月28日から9月2日にかけて4連騰としたためにトルコリラ円も8月28日から9月2日へ4連騰とした。
8月15日高値4.44円から8月28日安値4.16円までの下げ幅0.28円に対して9月3日早朝高値4.34円まで0.18円の上昇幅となり凡そ64%を戻している。
ドル円は8月26日安値143.45円から持ち直しに入っている。今夜の米ISM製造業景況指数や明日のJOLTS求人件数から週末の米8月雇用統計へ重要指標の発表が相次ぐため、内容次第では円高ドル安がぶり返す可能性があるが、それらに円高再燃をもたらさなければ7月以降のやや過剰だった円高ドル安に対する修正的な動きを続ける可能性もあるとみる。トルコリラ円も引き続きドル円の動きを追いかける展開と思われる。
【ドル/トルコリラはリラ安一服で1ドル34リラを割り込む】
ドル/トルコリラの9月2日は概ね34.09リラから33.62リラの取引レンジ、3日早朝の終値は33.88リラで先週末終値の34.07リラから0.19リラのドル安リラ高だった。
8月23日に初めて1ドル34リラ台に到達して8月28日には34.41リラへ取引時間中の最安値を大幅に更新し、その後は取引時間中の最安値更新を回避したものの終値ベースでは8月27日から30日まで1ドル34リラ台で推移して8月30日終値34.07リラを終値としての最安値としたが、週明けはGDPが予想を下回ったものの貿易統計速報での貿易赤字減少やイスタンブール小売価格指数の低下、低下が続いてきた製造業PMIが前月から若干上昇したこと等によるリラ売り一服感でリラ買い戻し優勢の流れとなった。
【トルコ4-6月GDPは予想を下回る】
9月2日にトルコ統計庁が発表した4-6月期GDPは前年同期比2.5%増となり市場予想の3.2%増を下回り1-3月期の5.3%(速報の5.7%増から下方修正)から大幅に減速した。前期比も0.1%増で1-3月期の1.4%増から大幅に減速した。高金利・高インフレ・リラ安・増税の影響を反映したと思われる。
前年同期比は2021年4-6月期に2020年のパンデミックショックに対する揺れ返しで22.3%増と突出した以外は2021年1-3月期から2022年4-6月期まで7%増を超える高成長を示していたが、その後は2023年7-9月期の6.1%増を除いて3%台から5%台で低迷してきたが、2024年4-6月期はこの間の最低となり、前期比も2023年1-3月期以来の低水準となった。
前年同期比の内訳では消費支出が前期の6.8%から1.6%増へ、政府支出が5.4%増から0.7%増へ、総固定資本形成が9.3%増から0.5%増へ、輸出が4.3%増から0.04%増へ、輸入が3.0%減から5.7%減へといずれも大幅に鈍化した。
ただ、2023年通年のGDPは従来の4.5%増から5.1%増へ上方修正されており、4-6月期GDPが予想も下回ったもののある程度の鈍化は予想されていたことで発表後のリラ売りはさほど見られず、目先の売り材料消化感で逆にリラ買い戻し優勢の動きを見せた。
8月のイスタンブール製造業PMIは47.8となり7月の47.2から改善した。2024年2月の50.2から5か月連続で低下していた流れがひとまず落ち着いた印象もある、
9月2日にトルコ貿易省が発表した8月貿易統計速報では貿易赤字が49億ドルとなり7月の72億ドルから縮小した。輸出は221億ドルで7月の225億ドルから若干減少し、輸入は270億ドルで7月の297億ドルから減少した。
【9月3日16時よりトルコCPI発表】
8月のイスタンブールRPI(小売物価指数)は前月比1.73%上昇となり7月の4.21%上昇から減速し、前年同月比は61.57%で7月の72.8%上昇から減速した。8月のWPI(卸売物価指数)は前月比0.98%上昇で7月の1.04%から若干鈍化して前年同月比は46.87%上昇となり7月の55.12%から鈍化した。
9月3日16時からは8月のトルコCPI(消費者物価指数)の発表があり、事前予想では全体の前年同月比が7月の61.78%から50%台へ低下すると見込まれている。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラの概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、8月26日午前と28日午前に一時的な急落で4.16円を付けてから8月29日夜高値へ切り返したために30日午前時点では28日午前安値を起点とした強気サイクルとして30日の日中から9月3日への上昇を想定した。
9月3日早朝へ一段高しているためまだ上昇余地ありとするが、連騰後の反動安も警戒される胃ので4.30円割れからは弱気サイクル入りとして3日の日中から4日午前にかけての間への下落を想定する。ただし、9月2日午前安値を起点としてすでに新たな強気サイクル入りしている可能性もあると注意する。
60分足の一目均衡表では8月29日夜への上昇で遅行スパンの好転と先行スパンを上回る状況を維持し、その後も両スパン揃っての好転を維持しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とする。遅行スパン悪化からはいったん下げに入るとみて安値試し優先とするが、先行スパンを上回る状況を維持する内は遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところから上昇再開として一段高へ進む可能性があると考える。
60分足の相対力指数は9月2日午前から3日早朝へ一段高した際に指数のピークがほぼフラットとなる弱気逆行気配がみられるため60ポイント以上での推移中は上昇余地ありとするが、60ポイント割れからは下向きとして50ポイント割れを試す低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.30円を下値支持線、4.34円を上値抵抗線とする。
(2)4.31円を上回るうちは上昇余地ありとし、4.34円超えからは4.35円、4.36円を順次試す上昇を想定する。4.35円以上は反落注意とするが、4.32円を上回っての推移なら4日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.31円割れからは下向きとし、4.30円割れからは下落期入りとして4.28円前後への下落を想定する。4.28円前後は反騰注意とするが、4.30円を下回っての推移なら4日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
9月3日
16:00 8月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (7月 3.23%)
16:00 8月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (7月 61.78%)
16:00 8月 コアCPI(食品エネルギー等除く) 前月比 (7月 2.4%)
16:00 8月 コアCPI(食品エネルギー等除く) 前年同月比 (7月 60.2%)
16:00 8月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (7月 1.94%)
16:00 8月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (7月 41.37%)
9月5日
20:30 週次 外貨準備高 8月30日時点 グロス (8月23日時点 907.2億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 8月30日時点 ネット (8月23日時点 436.9億ドル)
注:ポイント要約は編集部
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