ドル円見通し 一時147円台到達、やや過剰だった円高バイアスに対する修正続く(24/9/3)

9月2日の米国市場はレーバーデーのため休場だったが、ドル円は8月26日安値143.45円を起点とした反騰を継続した。

ドル円見通し 一時147円台到達、やや過剰だった円高バイアスに対する修正続く(24/9/3)

ドル円見通し 一時147円台到達、やや過剰だった円高バイアスに対する修正続く

〇ドル円、9/2は午前に146.59へ高値を伸ばし、一旦145.77へ反落するも146円割れはしっかり買われる
〇午前高値を上抜き9/2夜147.16へ一段高、9/3早朝にかけては146.70以上を維持して確り
〇8/5安値141.69に対して8/26安値143.45を押し目底とした上昇期入りの期待を持たせる動き
〇8/5から8/15までのレンジを上下いずれへ抜けるか、秋冬へ向けた方向性を決める重要な週になるか
〇146円台後半を維持する内は、147.16超えから147円台中盤への上昇を想定する
〇146.50割れからは下向きとし、146.20割れからは下落継続とみて145.77を試す下落を想定する

【概況】

9月2日の米国市場はレーバーデーのため休場だったが、ドル円は8月26日安値143.45円を起点とした反騰を継続した。8月29日の米4-6月期GDP上方修正をきっかけとして29日夜に145.54円へ上昇し、その後の145円割れを買われて30日の米経済指標発表を通過して146円台序盤へ続伸して先週を終えていたが、週明けの9月2日は午前に146.59円へ高値を伸ばしてからいったん145.77円へ反落したものの146円割れをしっかり買われて午前高値を上抜いたところから勢い付いて2日夜に147.16円へ一段高した。3日早朝にかけては147円を若干割り込んでいるものの146.70円以上を維持して確りしている。

先週末にNYダウが史上最高値を更新したことを好感して日経平均は一時39080.64円へ上昇して7月31日の日銀利上げをきっかけとした円高と同調した下落幅をほぼ解消して円安を助長した。
米10年債利回りは8月26日に3.77%まで低下したところから8月30日まで小幅ずつ5連騰としたが、9月3日付け時間外取引では一時3.94%をつけてこの間の高値を更新した。8月5日の3.67%から8月8日の4.02%へ戻した後はこの高安レンジ内に留まっている。政策金利動向に敏感な2年債利回りは先週末へ小幅ずつ2連騰したがまだ低水準にとどまっているが、指標の10年債利回り上昇がドル円の上昇継続に寄与している。

【8月5日から8月15日までのレンジを上下いずれへ抜けるか、年後半の方向性を左右する週に】

7月11日と12日の政府・日銀による市場介入、7月31日の日銀追加利上げ、8月1日早朝の米FOMCにおける9月利下げ開始示唆、8月2日夜の米7月雇用統計の悪化から世界連鎖株安の発生と円高ドル売り材料が続いたことでドル円は7月3日高値161.94円から8月5日安値141.69円まで下げ幅20.25円の大幅下落に見舞われ、世界連鎖株安が落ち着いて株高へ風向きが変わったことで8月16日早朝の15日付け高値149.38円まで上昇幅7.69円の反騰となった。しかし8月23日の衆参閉会中審査での日銀植田総裁国会答弁やジャクソンホール会合でのパウエルFRB議長講演で日米金融政策姿勢の差が再認識されて8月26日安値143.45円まで反落し、8月27日終値143.92円で8月5日終値144.13円を割り込んで終値ベースでは7月以降の最安値を更新していた。しかし8月28日から9月2日にかけて4連騰としたことで、8月5日安値に対して8月26日安値を押し目底とした上昇期入りの期待を持たせる動きを見せている。

8月15日高値149.38円を超えないうちは下値支持線が切り上がる三角持ち合いの範囲に留まり8月26日安値割れから持ち合い下放れに入って7月3日高値を起点とした下落が二段下げに発展する可能性があり、今週末の米雇用統計へ向けて米国の景況感や労働市場の悪化が顕著になれば円高がぶり返して行くことも考えられる。逆に米国の9月利下げ開始が0.25%の通常ペースに落ち着くとの見方が濃厚となり米景況感も確りして労働市場の悪化への過度の懸念が後退する場合には7月からの円高がやや過剰だったとして8月15日高値超えへ進む可能性も浮上すると思われる。
今週は秋冬へ向けた方向性を決める重要な週になりそうだ。今夜はISM製造業景況指数、明日は米JOLTS求人件数、5日にADP民間雇用者増減、6日に8月米雇用統計と続く。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は8月26日午前安値143.45円から27日夕高値145.17円までの高安レンジ内で三角持ち合いを形成し、8月29日夜に27日夕高値を超えて三角持ち合いから上放れし、30日午前に反落したところからさらに一段高へ進んでいるため、現状は8月30日午前安値を起点とした上昇期と思われる。目先の高値形成期は8月29日夜高値を基準として9月3日夜から5日夜にかけての間と想定するが、連騰後の反動安も警戒されるので146.50円割れを弱気転換注意とし、146.20円割れからはいったん下落期に入るとみて9月4日午前から6日午前にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では8月29日夜の上昇から遅行スパンの好転と先行スパンを上回る状況を継続しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、遅行スパン悪化からはいったん仕切り直しの下落期に入るとみて先行スパンの上限を試す下落を想定する。ただし、先行スパンを上回る状況を維持する内は遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところからは上昇再開とする。

60分足の相対力指数は9月2日午前高値から2日夜高値へ一段高した際に指数のピークが切り下がる弱気逆行気配がみられるため60ポイント以上を維持する内は一段高余地ありとするが、60ポイント割れから下向きとして50ポイント前後への低下を想定する。50ポイント前後は買われやすいとみるが、50ポイント前後へ低下した後も60ポイント台回復へ戻せない場合は続落しやすい状況と注意する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、146.50円を下値支持線、9月2日夜高値147.16円を上値抵抗線とする。
(2)146円台後半を維持する内は147.16円超えから147円台中盤(147.35円から147.65円)への上昇を想定する。147.50円以上は反落注意としるが、146.50円を上回っての推移なら4日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)146.50円割れからは下向きとし、146.20円割れからは下落継続とみて9月2日午後安値145.77円を試す下落を想定する。146.20円以下での推移が続く場合は4日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の予定】

9/2(月)
休場 米国、カナダ、ベトナム
08:50 (日) 4-6月期 全産業設備投資額 前年同期比 (1-3月 6.8%)
10:30 (豪) 7月 住宅建設許可件数 前月比 (6月 -6.5%、予想 2.0%)
10:45 (中) 8月 財新製造業PMI (7月 49.8)
16:55 (独) 8月 HOCB製造業PMI改定値 (速報 42.1、予想 42.1)
17:00 (欧) 8月 HOCB製造業PMI改定値 (速報 45.6、予想 45.6)
17:30 (英) 8月 S&PG製造業PMI改定値 (速報 52.5、予想 52.5)

9/3(火)
東方経済フォーラム(9月6日まで、ロシア・ウラジオストク)
休場 ベトナム
10:30 (豪) 4-6月期 経常収支 (1-3月 -49億豪ドル、予想 -59億豪ドル)
22:45 (米) 8月 S&PG製造業PMI改定値 (速報 48.0、予想 48.1)
23:00 (米) 8月 ISM製造業景況指数 (7月 46.8、予想 47.5)
23:00 (米) 7月 建設支出 前月比 (6月 -0.3%、予想 -0.1%)

9/4(水)
10:30 (豪) 4-6月期 GDP 前期比 (1-3月 0.1%、予想 0.2%)
10:30 (豪) 4-6月期 GDP 前年同期比 (1-3月 1.1%、予想 0.9%)
10:45 (中) 8月 財新サービス業PMI (7月 52.1、予想 52.1)
16:55 (独) 8月 HOCBサービス業PMI改定値 (速報 51.4、予想 51.4)
17:00 (欧) 8月 HOCBサービス業PMI改定値 (速報 53.3、予想 53.3)
17:30 (英) 8月 S&PGサービス業PMI改定値 (速報 53.3、予想 53.3)
18:00 (欧) 7月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (6月 0.5%、予想 0.3%)
18:00 (欧) 7月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (6月 -3.2%、予想 -2.5%)

21:30 (米) 7月 貿易収支 (6月 -731億ドル、予想 -789億ドル)
22:45 (加) カナダ中銀 政策金利 (現行 4.50%、予想 4.25%)
23:00 (米) 7月 製造業新規受注 前月比 (6月 -3.3%、予想 4.7%)
23:00 (米) 7月 JOLTS(雇用動態調査)求人件数 (6月 818.4万件、予想 810.0万件)
27:00 (米) 米地区連銀経済報告(ベージュブック)



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