史上最安値水準からの反発を試す展開、GDPやCPIなどを見極め
【先週のトルコリラ】
先週のトルコリラは、弱い経済指標や地政学リスクの高まりなどを背景に史上最安値を更新。4.1856円まで下落した。
26日の8月設備稼働率は前月とほぼ同じ水準だったが、7月貿易収支が市場予想を上回る赤字幅拡大となったことで、トルコ経済の先行き不透明感が台頭。引き続きエルドアン大統領が親ハマス路線を明確化したことによる欧米諸国との関係悪化が意識されて、トルコリラは週央に4.1856円まで下落した。
一方、国際通貨基金(IMF)が、トルコについて、昨年の経済政策の転換で危機のリスクが大幅に低下したと指摘。インフレ率は依然高いものの、鈍化が始まっているとの認識をIMFが示したことが材料視されて、トルコリラは下げ止まり、4.28円台まで値を戻した。
トルコリラ・円(東京時間:8月26日―8月30日)※Investing.comの日足を参照
始値:4.2477円
高値:4.2941円
安値:4.1856円
終値:4.2875円
【先週と今週の重要指標】
※時間は東京時間
8月26日
16時00分、8月設備稼働率、前回:75.9%、結果:75.4%
8月28日
16時00分、7月貿易収支、前回:−58.9億ドル、市場予想:−70.0億ドル、結果:−72.9億ドル
9月2日
16時00分、8月製造業PMI、前回:47.2
16時00分、第2四半期実質GDP(前年比)、前回:5.7%、市場予想:3.1%
9月3日
16時00分、8月消費者物価指数(前月比)、前回:3.23%、市場予想:2.40%
16時00分、8月消費者物価指数(前年比)、前回:61.78%、市場予想:52.00%
16時00分、8月生産者物価指数(前月比)、前回:1.94%
16時00分、8月生産者物価指数(前年比)、前回:41.37%
※予定は変更することがございます。
【今週の見通し】
今週のトルコリラは、8月製造業PMIや第2四半期GDP、8月消費者物価指数(CPI)、生産者物価指数(PPI)など重要経済指標に関心が集まる。地政学リスクの高まりで史上最安値を更新しているが、堅調な経済指標をきっかけに反発に転じる可能性はある。
8月CPIは前年比52.0%上昇と鈍化が見込まれており、年内インフレ率43%前後というディスインフレの流れは既定路線で進んでいる。エネルギー価格高騰などのリスクは存在するが、インフレ率の安定化はトルコ経済には好材料だ。
先週、IMFが対トルコ第4条協議の暫定結果で明らかにした内容でも、2023年半ば以降の金融政策の転換を受けて、政策ミックス全体が引き締められ「危機のリスクが大幅に低下し、信認が高まった」と指摘。積極的な利上げと一部の財政引き締め措置が、経常赤字の抑制、準備の再建、市場心理の改善につながったとの見方を示している。
エルドアン大統領という地政学リスクが早期に解消することは難しいが、金融、財政政策の安定化が進めば、トルコ経済は持ち直し、トルコリラの評価は自ずと高まると考える。
テクニカルでは、史上最安値を更新していることで、下値模索の弱い状況と言えよう。ただ、8月28日に短いながらも下影(下ヒゲ)を残し、日足の一目均衡表の転換線水準を回復。20日移動平均線が迫っていることから、反発が強まる可能性もある。経済指標次第といった状況ではあるが、内容次第ではトルコリラの買戻しが一気に進むと見る。
トルコリラ円日足
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