トルコリラ円見通し ドル円と共に3連騰したがドル高リラ安は継続中(24/9/2)

トルコリラ円の8月30日は概ね4.29円から4.24円の取引レンジ、31日早朝の終値は4.29円で前日終値の4.25円から0.04円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し ドル円と共に3連騰したがドル高リラ安は継続中(24/9/2)

ドル円と共に3連騰したがドル高リラ安は継続中

〇トルコ円、ドル円146円台到達を追いかけ、8/31未明4.29まで高値を伸ばす
〇ドル高リラ安基調とドル円下落再開に注意
〇対ドル、8/30は概ね34.09から33.95の取引レンジ、終値の史上最安値を連日更新
〇9/2にトルコ2QGDP、9/3に8月CPI発表予定
〇4.26を上回るうちは上昇余地ありとし、4.30超えからは4.32前後への上昇を想定
〇4.26割れからは下向きとして4.24前後への下落を想定

【概況】

トルコリラ円の8月30日は概ね4.29円から4.24円の取引レンジ、31日早朝の終値は4.29円で前日終値の4.25円から0.04円の円安リラ高だった。
ドル円が8月15日高値149.38円から8月26日安値143.45円への大幅下落一巡で買い戻し優勢の流れとなり、8月29日の米GDP改定値の上方修正により145.54円へ上昇し、30日の米7月PCE統計等をきっかけとして31日未明に146.24円まで上昇したため、トルコリラ円は28日午前の一時的急落で4.16円(ベンダーによっては4.18円や4.05円等の極端な安値も見られた)を付けて史上最安値を更新したもののドル円の反騰継続により29日夜に4.27円へ切り返し、31日未明にはドル円の146円台到達を追いかけて4.29円まで高値を伸ばした。
週間では8月23日終値4.25円から0.04円の円安リラ高だったが、月間では7月31日終値4.53円から0.24円の円高リラ安だった。

ドル円は8月16日早朝の8月15日高値以降の下落基調から抜け出して徐々に底上げをしつつ高値を切り上げており、8月26日午前にかけてのやや過剰だったドル安感が後退して買い戻し優先となっているが、今週は9月6日の米雇用統計へ向けて重要指標の発表も相次ぐため、米国の景況感や労働指標が悪化する場合は9月利下げにおける0.50%利下げ期待が再燃してドル安が再開する可能性もあると注意したい。
トルコリラ円はドル高リラ安基調が続いていることを気にしつつ、目先はドル円を追いかける展開だが、米国の利下げ開始見通しと日銀の追加利上げを模索する中で円安再開に入ったとまでは言えない状況のため、ドル円が下落に転じる可能性に注意したい。

【ドル/トルコリラは終値の史上最安値を連日更新】

ドル/トルコリラの8月30日は概ね34.09リラから33.95リラの取引レンジ、31日早朝の終値は34.07リラで小数点下四桁では34.0711リラとなり前日終値34.0694リラを超えて終値ベースの史上最安値を更新した。
8月6日安値33.77リラを8月16日安値33.84リラで超えてからは連日のように取引時間中及び終値ベースの史上最安値更新を繰り返し、8月23日に初めて1ドル34リラ台に到達して8月28日には34.41リラへ取引時間中の最安値を大幅に更新した。その後は取引時間中の最安値更新を回避しているものの終値ベースでの最安値更新を続けている。
週間では8月23日終値33.96リラから0.11リラのドル高リラ安で7月後半から6週連続のドル高リラ安で5週連続の最安値更新となり、月間では7月31日終値33.14リラから0.93リラのドル高リラ安で3か月連続で最安値を更新した。

トルコの金融政策正常化が継続して高インフレ対策としてトルコ中銀が5会合連続で政策金利を50%で据え置いて引き締め姿勢を示し、年末にはインフレが顕著に鈍化する見通しであることや、中銀の外貨準備高増強と財務省の増税・緊縮財政による財政改革の動き、ムーディーズ等大手格付け機関によるトルコへの格付け引き上げ等が中長期的なトルコへの投資意欲を回復させようとしてきたが、トルコ景気の実体は冴えない状況に留まっている。
年末のドル/トルコリラ見通しについては8月16日に中銀が公表した月次ビジネスサーベイで1ドル37.2760リラとされて年初の1ドル40リラからは低下してきているものの現状は1ドル34リラに到達したばかりで先安感が拭えない。
トルコ中銀は8月29日に銀行のリラ預金に対する必要準備金を調整してリラ建て預金拡大を促進する方針を示した。中銀は個人のリラ預金比率が45〜50%の銀行に対しては月間準備金増加目標を0.8%へ引き上げ、60%以上の銀行については目標を撤廃した。外貨預金からリラ預金への誘導であり、8月28日にドル/トルコリラが史上最安値を大幅に更新したことを意識した政策と思われる。

今週は9月2日にトルコ4-6月期GDPの発表があり、事前予想の前年同期比は1-3月期の5.7%増から3.2%増へ減速するとみられている。予想レンジは1.6%から4.2%と幅広いがいずれにしても減速する見込みだ。2021年4-6月期に2020年のパンデミックショックに対する揺れ返しで22.3%増と突出した以外は2021年1-3月期から2022年4-6月期まで7%増を超える高成長を示していたが、その後は2023年7-9月期の6.1%増を除いて3%台から5%台で低迷している。
9月2日にはイスタンブール製造業PMIの発表があるが、2024年2月の50.2から7月の47.2まで5か月連続で低下しており8月もさらに低下が見込まれている。
9月3日発表予定の8月CPIは全体の前年同月比が7月の61.78%から50%台へ低下が見込まれているがそれでもまだ異常な高インフレ状態のままといえる。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラの概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、8月26日午前と28日午前に一時的な急落で4.16円を付けてから8月29日夜高値へ切り返したために30日午前時点では28日午前安値を起点とした強気サイクルとして30日の日中から9月3日への上昇を想定した。
8月31日未明へ一段高しているため引き続きトップ形成中とみるが、4.26円割れを弱気転換注意とし、4.24円割れからは弱気サイクル入りとして2日午前から4日午前にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では8月29日夜への上昇で遅行スパンの好転と先行スパンを上回る状況を維持し、31日未明への続伸により両スパン揃っての好転を維持しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、26本基準線割れを弱気転換注意とし、遅行スパン悪化からは下落期入りとみて安値試し優先とし、先行スパンから転落する場合は8月28日からの戻り一巡による下落期入りを疑う。

60分足の相対力指数は8月31日未明に70ポイント台後半へ上昇したため、60ポイント以上を維持するか一時的に割り込んでも回復する内は上昇余地ありとするが、相場が高値を更新する際に指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられる場合は反落警戒とし、50ポイント割れからは下落限として40ポイント、30ポイントを順次試して行く流れとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.26円を下値支持線、4.30円を上値抵抗線とする。
(2)4.26円を上回るうちは上昇余地ありとし、4.30円超えからは4.32円前後への上昇を想定する。4.32円以上は反落注意とするが、4.26円を上回っての推移なら3日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.26円割れからは下向きとして4.24円前後への下落を想定する。4.24円前後は買われやすいとみるが、4.26円以下での推移なら3日も安値試しへ向かいやすいとみる。下げ足が速まる場合は4.22円前後へ下値目途を引き下げる。

【当面の主な予定】

9月2日
 16:00 4-6月 GDP 前期比 (1-3月 2.4%)
 16:00 4-6月 GDP 前年同期比 (1-3月 5.7%、予想 3.2% 予想レンジ 1.6%〜4.2%)
 16:00 8月 イスタンブール製造業PMI (7月 47.2)
9月3日
 16:00 8月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (7月 3.23%)
 16:00 8月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (7月 61.78%)
 16:00 8月 コアCPI(食品エネルギー等除く) 前月比 (7月 2.4%)
 16:00 8月 コアCPI(食品エネルギー等除く) 前年同月比 (7月 60.2%)
 16:00 8月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (7月 1.94%)
 16:00 8月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (7月 41.37%)
9月5日
 20:30 週次 外貨準備高 8月30日時点 グロス (8月23日時点 907.2億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 8月30日時点 ネット (8月23日時点 436.9億ドル)


注:ポイント要約は編集部

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