ドル円 今週も米重要指標の発表多い、予断許さず(週報9月第1週)

先週のドル/円相場はドルが小高い。週末には1週間ぶりとなる146円台を回復し、そのまま高値圏で引けている。

ドル円 今週も米重要指標の発表多い、予断許さず(週報9月第1週)

今週も米重要指標の発表多い、予断許さず

〇先週のドル円、週末にかけて上値広げ1週間ぶりとなる146円台回復、高値圏で引け
〇良好なGDP統計改定値や新規失業保険申請件数、週末PCEデフレーター後にドル買い戻しの動き
〇市場は「FRBの下げ幅は0.25%に留まるのか否か」「年内利下げは2回か3回か」に注目
〇今週、8月ISM製造業景況指数や雇用統計などの米重要指標の発表に注意
〇ドル高円安方向、21日線巡る攻防、149.40起点の半値戻し146.40-45、61.8%戻し147.10-15に注目
〇ドル安円高方向、目先のサポートは145円レベル、下回れば144円台を割り込む展開も否定できない
〇今週のドル円予想レンジ:144.50-148.00

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場はドルが小高い。週末には1週間ぶりとなる146円台を回復し、そのまま高値圏で引けている。

前週末は、停戦協議中にもかかわらず、ヒズボラによるイスラエル攻撃が伝えられ憶測を呼ぶ格好に。
一方、南シナ海を舞台に中国とフィリピンが再び鍔迫り合い。中国海警局船がフィリピンの漁業水産資源局船に衝突したことが明らかとなっていた。
そうした状況下、ドル/円は144.25円レベルで寄り付いたものの、明確な方向性はうかがえず。早い段階に示現した週間安値143.45円を割り込むことは出来ず底堅かったものの、上値も重く145円前後からは上げ渋り様相だった。しかし、週末にかけて上値を広げると1週間ぶりに146円台を回復。紆余曲折あったが、結局そのまま高値圏をキープし、週末NYは146円台で取引を終えている。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「米金融政策」と「中国情勢」について。
前者は、8月23日のジャクソンホール会合でパウエルFRB議長が「主要政策金利を引き下げる時がきた」と述べ、9月の利下げを事実上明言したことに続き、週明けには日経新聞はインタビューに応じたフィラデルフィア連銀総裁が「FRBは9月から年内に2-3回の利下げを実施するとの見通しを示した」と報道。米金利に対して弱気な見方が週間を通してもドルの弱材料となったが、先週発表された米経済指標は逆に総じて好数字。たとえば、4-6月期のGDP統計改定値や週間ベースの新規失業保険申請件数は良好な内容となったうえ、週末の7月PCEデフレーターはほぼ予想通りの内容に。また、アトランタ連銀総裁から「9月利下げを支持するためにはさらなるデータを見たい」などとした、やや弱めのトーンの発言が聞かれたことも加わると、むしろ週末に掛けてはドルの買い戻しに繋がっていたようだ。

対して後者のうち日中に関しては、中国軍機が日本の長崎県男女群島沖で領空侵犯。これについて、日本から強めの抗議が入ったことに対し、中国外務省は「いかなる国の領空も犯す意図はない」と恣意的行動との見方を否定した。しかし、そうしたなか今度は、尖閣諸島沖で中国海警局の「海警」2隻が日本の領海に侵入したことが判明するなど、両国関係にやや不穏な雰囲気も。一方、米国はサリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)が27-29日の日程で訪中。そのなかで習国家主席とも会談し、対立回避に向けた早期の米中首脳の電話会談実施が現実味を帯びていたという。なお、それとは別にサリバン氏は王外相との会談で、先の中国軍機による日本領空侵犯の問題を提起した、とロイターが報じていた。

<< 今週の見通し >>

ドル/円相場は、先週末に掛けドルが再び戻り歩調。8月26日の143.45円で目先底値を付け、週末には146円台まで実際に値を戻している。ドルの下値不安が幾分なりとも後退した感は否めないが、それでも上値は重そうといった声も少なくない。右肩上がりに150円に接近するような展開は見込みにくい状況と言えよう。移動平均でいえば、急下降してきた21日線が先週末にかけ146円前後まで急低下。今週は同ラインをめぐる攻防も注視されている。
先で指摘したように、ジャクソンホール会合でパウエルFRB議長は事実上の「9月米利下げ」を明言。それを受け、市場はFRBによる次の一手、つまり「下げ幅は0.25%にとどまるのか否か」、あるいは「年内利下げは何回あるのか2回or3回実施されるのか」−−といった憶測が飛び交っている。それらを見極めるうえでも、今週発表される重要な米経済指標の内容には大いに注意を払いたい。またそれとは別に、出馬表明により候補がほぼ出揃う自民党総裁選の行方への関心も高いものがあるようだ。

テクニカルに見た場合、ドル/円相場は7月半ばに下回って以降、一度も超えていない移動平均の21日線を上抜きかかってきた。これには21日線が急下降をたどり、足もと146円前後まで値を下げてきたということも大きい。いずれにしろ、しっかりと超え、そして今後はサポートとなるようだと、ドルはさらなる戻りを否定できないだろう。
ただ逆に21日線が今回も抵抗となり、ドルの上値を抑制すれば、先週安値143.45円を再び視界内に入れた値動きも。

そうしたなか今週は、8月のISM製造業景況指数や同雇用統計など、重要とされる米経済指標の発表が相次ぐ予定だ。先で取り上げたように、先週発表された米経済指標はこぞって好数字。ドルの買い要因となったが、今週は果たして。ただ、やや悲観的な見通しを抱く向きが事前段階ではいくぶん優勢であるのかもしれない。

そんな今週のドル/円予想レンジは、144.50-148.00円。ドル高・円安については、21日線をめぐる攻防にまずは注目。また、高値149.40円を起点とした下げ幅の半値戻しは146.40-45円、61.8%戻しは147.10-15円となる。
対してドル安・円高方向は、目先のサポートは145円レベル。下回れば目立った下値メドのない144円台を割り込む展開も否定できないようだ。

今週も米重要指標の発表多い、予断許さず

ドル円日足


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