『史上最安値圏まで下落するなど冴えない動きが継続中。続落リスクに要警戒』
〇今週のトルコ円、週末にかけ週間安値4.25円まで下落
〇エルドアン大統領による親パレスチナ・ハマスの姿勢明確化、トルコ経済の先行き不透明感等が重石
〇トルコ中銀会合では、主要政策金利を5ヵ月連続で50.0%に据え置き、引き締め継続を強調
〇トルコ円、テクニカルには主要テクニカルポイント下抜け、売りシグナルも成立、地合い弱い
〇ファンダメンタルズも地政学リスクを嫌気した資金流出圧力が、トルコリラの重石に
〇トルコリラ円相場の見通しを「ブル」から「ベア」へと変更
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):4.10ー4.35
今週のトルコリラ円相場は、週初4.38円で寄り付いた後、早々に週間高値4.39円まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(1)エルドアン大統領による親パレスチナ・親ハマスの姿勢明確化に端を発した西側諸国との関係悪化懸念(中東情勢緊迫化に伴う地政学的リスク)や、(2)トルコ経済の先行き不透明感、(3)上記1、2を背景としたトルコから国外への資金流出圧力(トルコ株の急落→対ドル相場の史上最安値更新→トルコリラ円連れ安)、(4)ドル円相場の冴えない動き(ドル円下落→トルコリラ円連れ安)が重石となり、週末にかけて、週間安値4.25円まで下落しました。
引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間8/24午前2時45分現在)では、4.26円前後で推移しております。尚、今週開催されたトルコ中銀会合では、主要政策金利を5ヵ月連続で50.0%に据え置くことが決定されると共に、声明文においても「インフレリスクに対して高度に注意を払い続けることを再確認」「物価安定という主要な目的に向けて利用可能なあらゆる手段を断固として講じる構え」「金融引き締め政策はインフレ期待が予測範囲内に収束するまで維持する見通し」など、金融引き締め姿勢の継続を強調する内容となりました。
来週の見通し(8/26−8/30)
トルコリラの対円相場は、史上最安値圏へと下落するなど、冴えない動きが続いています。日足ローソク足が主要テクニカルポイントを軒並み下抜けしていることや、強い売りシグナルを示唆する「弱気のパーフェクトオーダー」「一目均衡表三役逆転」が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは弱いと判断できます。また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)エルドアン大統領の親パレスチナ・新ハマス路線に端を発した西側諸国との関係悪化懸念や、(2)上記1を嫌気した外国人投資家による資金流出圧力など、トルコリラ円相場の下落を連想させる材料が揃っています。
特に上記2に関しては、トルコ政府・トルコ中銀による正常化政策を好感する形で、昨年来資金流入期待(格付け各社による格上げ決定や、大手資産運用会社によるトルコアセットの積極保有方針へのシフトなど)が高まっていただけに、やや残念な形となっています。事実、トルコリラ(対ドル相場)を巡っては、米FRBによる利下げ観測が高まっているにも係わらず(米金利低下を背景に新興国通貨が上昇し易い環境にも係わらず)、史上最安値を更新するなど、外国人投資家によるリラの失望売りが進んでいます。また、トルコ中銀が今月初に発表したインフレ見通し(2024年末38.0%、2025年末14.0%、2026年末9.0%)についても、実態とかけ離れている(家計部門のインフレ見通しと、トルコ中銀のインフレ見通しに大きな乖離あり)との見方が根強く、トルコ経済に対する先行き不透明感を高める要因となっております。以上を踏まえ、当方では、トルコリラ円相場の見通しを「ブル」から「ベア」へと変更いたします(目先は8/5に記録した史上最安値4.24円を割り込むシナリオを想定)。
来週の予想レンジ(TRYJPY):4.10ー4.35
注:ポイント要約は編集部
トルコリラ円日足
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