トルコリラ円見通し 円高と対ドルでのリラ史上最安値更新で3日続落、終値の最安値更新(24/8/21)

トルコリラ円の8月20日は概ね4.36円から4.28円の取引レンジ、21日早朝の終値は4.28円で前日終値の4.34円から0.06円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し 円高と対ドルでのリラ史上最安値更新で3日続落、終値の最安値更新(24/8/21)

円高と対ドルでのリラ史上最安値更新で3日続落、終値の最安値更新

〇トルコリラ円、8/21早朝終値4.28、終値ベースで8/6の終値4.29を割り込み史上最安値更新
〇クロス円は総じて下落、トルコリラ円に対する円高圧力も続きやすい状況
〇対ドル、8/20は概ね33.95から33.55の取引レンジ、取引時間中及び終値の史上最安値更新
〇トルコ中銀、5会合連続で政策金利を据え置いて引き締め姿勢継続
〇ロイター予想調査、早ければ10月の利下げ開始、遅くとも来年初めには利下げに入ると示される
〇4.30から4.32にかけては戻り売りにつかまりやすいとみる
〇4.30以下での推移中は4.25前後への下落想定し、下げ足が速まる場合4.23から4.20の水準試す下落想定

【概況】

トルコリラ円の8月20日は概ね4.36円から4.28円の取引レンジ、21日早朝の終値は4.28円で前日終値の4.34円から0.06円の円高リラ安だった。
ドル円が8月16日早朝高値149.38円から19日午後安値145.18円まで4円を超える急落となり、20日午後に147.34円までいったん戻してからの下落再開で21日早朝に一時145円を割り込み8月16日高値からの下落が二段目に入った。
トルコリラ円は8月15日夜に4.44円まで高値を伸ばした後は伸びずにドル円の下落を見て19日午後に4.30円へ下落し、20日午後に4.36円までいったん戻したもののドル円の一段安に合わせて21日早朝に4.28円へ下落した。
8月5日に付けた取引時間中の史上最安値4.24円割れには至らなかったが、日足は3日連続陰線=三羽烏で下落して終値ベースでは8月6日終値4.29円を割り込んで史上最安値を更新した。

ドル円は米国の9月利下げ開始と年内合計3回利下げを見込んだドル安に加え、世界連鎖株安が落ち着いたことにより年末にかけて日銀が追加利上げに踏み切るのではないかとの思惑から円高優勢となっている。ユーロ、ポンド等が上昇してドルストレートではドル安だが、クロス円は総じて下落しておりドル安よりも円高が勝っている印象であり、トルコリラ円に対する円高圧力もまだ続きやすい状況と思われる。
今夜は米労働省による雇用統計の年次改定があり大幅な下方修正を懸念する声もある。FRBはインフレ鎮静化とともに雇用拡大を重要視しているため、利下げを急がないことによる労働市場の悪化リスクを意識して利下げ期に入るのではないかと思われる。年次改定の内容次第ではドル円の急落もあり得ると注意したい。

【ドル/トルコリラは取引時間中及び終値の史上最安値更新】

ドル/トルコリラの8月20日は概ね33.95リラから33.55リラの取引レンジ、21日早朝の終値は33.86リラで前日終値の33.77リラから0.09リラのドル高リラ安だった。
8月6日に33.77リラへ当時の取引時間中史上最安値を更新してから下げ渋っていたものの、8月13日から16日へ4営業日続落して16日安値33.84リラで取引時間中の史上最安値を更新し、その後は最安値更新を回避したものの終値ベースでは8月19日まで4営業日連続で史上最安値を更新してきた。
8月20日はトルコ中銀が5会合連続で政策金利を据え置いて引き締め姿勢を継続したもののリラ買いにはつながらず、8月21日早朝に33.95リラを付けて取引時間中の最安値を更新し、終値ベースでも5営業日連続で史上最安値を更新した。8月21日午前も33.71リラへ小反発してから再び売られて33.93リラ近辺へ下落して最安値更新を伺っている。

【トルコ中銀、5会合連続で政策金利据え置き】

8月20日にトルコ中銀は政策金利の週間レポレートを50.0%として5会合連続で据え置いた。翌日物貸出金利は53.0%、翌日物借入金利は47.0%、後期流動性貸出金利は56.0%でいずれも据え置いた。
トルコ中銀は「第3四半期に関する指標では内需が引き続き鈍化しインフレの影響が弱まっていることを示唆している」とし、緩和のタイミングについては「インフレ期待と中銀のディスインフレ予測との整合性に一層注目している」としたが、具体的な利下げ時期等についての言及はなかった。

トルコ中銀が8月8日に発表した中銀によるインフレ見通しは2024年末を38%、2025年末を9%だったが、トルコ中銀が8月16日に発表した月次ビジネスサーベイにおけるエコノミストらの予想では、2024年末のCPI前年比が43.31%、2024年GDPをプラス3.4%、年末の為替レートを1ドル37.2760リラ、週間レポレートは3か月先で48.10%、1年先で33.30%とされた。
ロイター通信社による予想調査では早ければ10月の利下げ開始、遅くとも来年初めには利下げに入るとの予想が示されている。
8月20日にドル/トルコリラが史上最安値を更新したことは、トルコ経済が低成長のままインフレ鈍化を見込んで利下げを急ぐようだとリラ安の歯止めにならずリラ安基調が続くとの市場心理を反映していると思われる。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、8月17日早朝への下落で4.38円まで下げたために19日午前時点では15日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして20日午後から22日夕にかけての間への下落を想定した。
19日午後へ続落してから戻したものの21日午前へ一段安しているので引き続きボトム形成中とするが、19日午後安値を基準としてボトム形成期が22日午後から26日午後にかけての間へ延びる可能性もあると注意する。
4.32円超えからはいったん強気サイクル入りしたとみて21日の日中から23日午前にかけての間への上昇を想定するが、戻り一巡後に8月16日以降の安値を更新するところからは新たな弱気サイクル入りとする。

60分足の一目均衡表では8月21日早朝への下落で一時好転していた遅行スパンが悪化し、先行スパンからの転落も続いている。遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、先行スパンからの転落状態が続く内は遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下落再開とする。

60分足の相対力指数は8月19日午後に20ポイントを割り込んでから20日午後に50ポイント台後半へ上昇したものの21日早朝への下落で20ポイント台へ低下している。40ポイントから50ポイント前後にかけては戻り売りにつかまりやすいところとし、10ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.25円を下値支持線、4.32円を上値抵抗線とする。
(2)4.30円から4.32円にかけては戻り売りにつかまりやすいとみる。
(3)4.30円以下での推移中は4.25円前後への下落を想定するが、下げ足が速まる場合は4.23円から4.20円にかけての水準を試す下落を想定する。

【当面の主な予定】

8月22日
 16:00 8月 消費者信頼感指数 (7月 75.9)
 20:30 週次 外貨準備高 8月16日時点
8月23日
 17:00 7月 海外観光客数 前年同月比 (6月 4.95%)
8月26日
 16:00 8月 製造業信頼感指数 (7月 100.3)
 16:00 8月 設備稼働率 (7月 75.9%)
8月28日
 16:00 7月 貿易収支確報 (6月 -59.0億ドル)



注:ポイント要約は編集部

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