ドル円見通し 8月19日安値を割り込み8月16日早朝からの下落は二段目に(24/8/21)

ドル円は、21日早朝に145円を付けて19日午後安値を割り込み21日午前序盤に繰り返し145円を割り込んでいる。

ドル円見通し 8月19日安値を割り込み8月16日早朝からの下落は二段目に(24/8/21)

8月19日安値を割り込み8月16日早朝からの下落は二段目に

〇ドル円、8/21午前序盤に繰り返し145円割り込む
〇日経平均大幅下落等による円高圧力、ユーロやポンドの一段高と米長期債利回り低下によるドル安が背景
〇米雇用統計年次改定は大幅下方修正の懸念も、ドル円の急落もあり得るところと注意
〇8/23ジャクソンホール、インフレ鈍化と労働市場の悪化についてパウエル議長の認識に注目集る
〇8/23閉会中審議で植田総裁答弁、世界連鎖株安が落ち着いたこと踏まえ年内追加利上げ再検討の見方も
〇米長期債利回り続落、米国主要株価指数は利益確定売りに圧され下落
〇145.50以下での推移中は下向き、144.80割れからは144.00、143.50順次試して行く下落想定
〇145.50から146円手前にかけては戻り売り有利、146円超えからは146円台中盤への上昇想定

【概況】

ドル円は7月30日高値155.21円から8月5日安値141.69円まで下げ幅13.52円となる大幅下落後の買い戻しで8月16日早朝高値149.38円まで7.69円の上昇幅としたが、戻り一巡の下落再開で8月19日午後安値145.18円まで4円を超える下落幅となり、いったん落ち着いて20日午後高値147.34円まで戻したものの21日早朝に145円を付けて19日午後安値を割り込み21日午前序盤に繰り返し145円を割り込んでいる。
8月20日夜は主要経済指標の発表はなく手掛かり難だったが、NYダウが6日ぶりに反落、大証日経先物が1%を超える反落、米10年債利回りが3営業日連続低下したことで下落した。
8月16日早朝高値からの下落は二段目に入っており、19日の下落はセブンアイに対するカナダ資本の買収案報道や日経平均の大幅下落等による円高圧力が主体となり、20日午後からの下落はユーロやポンド等の一段高と米長期債利回り低下による全般的なドル安を背景としたもののユーロ円やポンド円、豪ドル円などクロス円全般が円高により下落しており、ドル安よりも円高圧力が勝っている印象だ。

8月21日は米労働省による雇用統計の年次改定があり直近のデータが大幅下方修正されるのではないかとの懸念がもたれており、8月23日のジャクソンホール会合におけるパウエルFRB議長講演ではインフレ鈍化と共に労働市場の悪化についての認識が注目される。市場は9月から0.25%ずつ3回連続の利下げを想定しており、雇用統計の年次改定次第ではドル円の急落もあり得るところと注意したい。
日銀の植田総裁も8月23日に参院での閉会中審議で答弁するが、世界連鎖株安が落ち着いたことを踏まえて日銀が年内追加利上げを再検討するのではないかとの見方も増えてきた印象だ。これらを踏まえてドル円の当面は下振れへの警戒感を強めておきたい。

【米長期債利回り低下続き、NYダウ6日ぶり反落】

8月20日の米長期債利回りは総じて低下してドル円の下落に寄与した。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.06%低下の3.81%となり8月16日から3営業日続落した。8月5日に3.67%まで大幅低下して2023年10月に付けた2020年3月以降のピークである5.02%以降の最低としてから8月8日に4.02%まで反発したものの、その後は戻り一巡で低下傾向にある。
30年債利回りは前日比0.06%低下の4.06%となり10年債と同様に16日から3営業日連続低下した。8月5日に4.00%へ低下して4月25日に付けた年初来ピークである4.85%以降の最低とし、8月8日に4.31%まで反発してからは戻り一巡で低下基調にある。
政策金利動向に敏感な2年債利回りは前日比0.08%低下の3.99%となった。8月2日に3.85%へ低下して2023年10月に付けた2021年2月以降のピークである5.26%以降の最低とした後はやや持ち直し気味に推移してきたが、8月15日の4.12%以降は戻り一巡で低下に転じつつある印象だ。

一方で8月19日まで大上昇してきた米国主要株価指数は21日の雇用統計年次改定や23日のジャクソンホール会合でのパウエル議長講演が近づいてきたことで利益確定売りに圧され総じて下落した。NYダウは8月13日から19日へ5連騰してきたが20日は前日比61.56ドル安と小反落し、ナスダック総合指数は8月8日から19日まで8連騰してきたが20日は前日比59.83ポイント安と下落し、S&P500指数も11.13ポイント安で9日ぶりの反落となった。目先は利食いを消化しつつ一段高を伺う動きと思われるが、米雇用統計年次改定次第では8月2日の7月雇用統計から世界連鎖株安に見舞われたことを再認識して波乱含みとなる可能性もあると注意したい。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は8月14日昼安値146.07円からの戻りが16日早朝高値149.38円まで一巡して下落に転じ、19日午後安値145.18円で目先の底を付けて戻していたものの21日午前への下落で底割れしたために20日午後高値を起点として二段目の下落期に入ったと思われる。当面の安値形成期は22日の日中から26日午後にかけての間と想定されるのでまだ一段安余地ありとする。146円超えからは強気転換注意として146円台中盤への上昇を想定するが20日午後高値を超えずに一段安へ進むのではないかと考える。

60分足の一目均衡表で20日午後への上昇時は先行スパン上限に上値を抑えられて失速し、21日早朝への下落で遅行スパンが悪化したため遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。遅行スパン好転からはいったん高値を試すとみるが先行スパンの下限が抵抗となりその後に遅行スパンが悪化することろから下げ再開とする。

60分足の相対力指数は8月20日午後に60ポイントへ到達してから下落に転じて30ポイントを割り込んでいるためまだ安値試しを続けやすいとみて10ポイント台への低下を想定する。40ポイント台前半へ反発するところは戻り売りにつかまりやすいとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、144.80を下値支持線、146.00円を上値抵抗線とする。
(2)145.50円以下での推移中は下向きとし、144.80円割れからは144.00円、143.50円を順次試して行く下落を想定する。急落商状に陥る場合は143円前後へ下値目途を引き下げる。
(3)145.50円から146円手前にかけては戻り売り有利とみる。146円超えからは146円台中盤への上昇を想定するがその後に145.50円を割り込むところから下げ再開として一段安へ向かう流れとみる。

【当面の予定】

8/21(水)
23:00 (米) 雇用統計年次基準改定
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
26:00 (米) 財務省20年債入札
27:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨・7月30-31日分

8/22(木)
16:30 (独) 8月 HOCB製造業PMI速報値 (7月 43.2、予想 43.5)
16:30 (独) 8月 HOCBサービス業PMI速報値 (7月 52.5、予想 52.3)
17:00 (欧) 8月 HOCB製造業PMI速報値 (7月 45.8、予想 45.8)
17:00 (欧) 8月 HOCBサービス業PMI速報値 (7月 51.9、予想 51.7)
17:30 (英) 8月 S&PG製造業PMI速報値 (7月 52.1、予想 52.1)
17:30 (英) 8月 S&PGサービス業PMI速報値 (7月 52.5、予想 52.8)
20:30 (欧) 欧州中銀(ECB)理事会議事要旨・7月18日分

21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 22.7万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 186.4万人)
22:45 (米) 8月 S&PG製造業購PMI速報値 (7月 49.6)
22:45 (米) 8月 S&PGサービス業PMI速報値 (7月 55.0)
23:00 (欧) 8月 消費者信頼感速報値 (7月 -13.0、予想 -12.6)
23:00 (米) 7月 中古住宅販売件数・年率換算 (6月 389万件、予想 390万件)
23:00 (米) 7月 中古住宅販売件数 前月比 (6月 -5.4%、予想 0.3%)
26:00 (米) 財務省30年債入札



注:ポイント要約は編集部

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