不安定な値動きが継続中。本日は米雇用統計の年次下方修正幅に注目
〇ドル円、7&I 買収案件の先行き懸念、日経平均の堅調推移等に海外序盤に147.35まで急伸
〇買い一巡後は伸び悩み、米国時間午後にかけ145.35まで急落、145円台前半での推移
〇重要イベント前のポジション調整、米金利低下、株価の不冴え等が重石に
〇ユーロドル、米金利低下、欧州指標の好調等に米国時間に一時年初来高値1.1119まで上昇
〇ドル円、本日米雇用統計の年次改定での下方修正懸念強まる
〇非農業部門雇用者数の下方修正が50.5満員程度であればドル円持ち直しの可能性も
〇本日の予想レンジ:144.00ー147.00
海外時間のレビュー
20日(火)のドル円相場は急伸後に急反落。(1)一部メディアによる「カナダのコンビニエンスストア大手アリマンタシォン・クシュタール社によるセブン&アイ・ホールディングス買収計画に対して米当局が異議を唱える可能性あり」との観測報道や、(2)上記1を背景とした対カナダドルでの円売り再開(カナダドル円上昇→ドル円連れ高)、(3)日経平均株価の堅調推移(リスク選好の円売り圧力)が支援材料となり、日本時間15時過ぎに、高値147.35まで急伸しました。
しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(4)一目均衡表転換線を背にした戻り売り圧力や、(5)重要イベント(8/21に公表される米労働省労働統計局による米雇用統計の年次改定・暫定値)を控えたポジション調整(2023年4月から2024年3月までの1年間の非農業部門雇用者数が大幅に下方修正されるのではないかとの思惑)、(6)米金利低下に伴うドル売り圧力、(7)日経平均先物の冴えない動き、(8)短期筋のロスカットが重石となり、米国時間午後にかけて、安値145.35まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間8/21午前3時00分現在)では、145.45前後で推移しております。
20日(火)のユーロドル相場は堅調な値動き。欧州時間朝方にかけて、安値1.1072まで軟化するも、一巡後に下げ渋ると、(1)重要イベント(米労働省労働統計局による米雇用統計の年次改定・暫定値)を控えた警戒感や、(2)米金利低下に伴うドル売り圧力、(3)ユーロ圏6月経常収支(結果505億ユーロ黒字、前回376億ユーロ黒字)の黒字幅拡大、(4)ドイツ第2四半期全国妥結賃金(賞与やインフレ手当てなど一時金を除くベース)の伸び率加速(結果+4.2%、前回+3.0%)、(5)直近高値突破に伴う仕掛け的なユーロ買い・ドル売りが支援材料となり、米国時間午後にかけて、年初来高値1.1119(昨年12/28以来の高値圏)まで上昇しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間8/21午前3時00分現在)では、1.1110前後で推移しております。尚、昨日発表されたユーロ圏7月消費者物価指数改定値(結果+2.6%、予想+2.6%)および、同コアCPI改定値(結果+2.9%、予想+2.9%)はいずれも市場予想通りの結果となりました。
本日の見通し
ドル円は一時147.35まで急伸するも、米国勢参入後に145円台前半まで値を崩す冴えない動きとなりました。本日23時に予定されている米労働省労働統計局による米雇用統計の年次改定・暫定値で、2023年4月から2024年3月までの1年間の非農業部門雇用者数が大幅に下方修正されるのではないかとの不安感や、それに伴って今週末に予定されているジャクソンホール会議でパウエルFRB議長がハト派色を強めるのではないかとの警戒感が、こうした動きの背景にあると考えられます。
事実、米国の大手金融機関は相次いで悲観的な予測を発表しており、特にゴールドマンサックスについては、100万人規模の下方修正もあり得るとの大胆な見解を示しています。もし仮に100万人規模の下方修正がなされる場合には、米経済を巡るハードランディング懸念再燃→米FRBによる大幅利下げ観測再燃→米金利急低下の経路でドル円に強い下押し圧力が加わるシナリオが想定されます。一方、下方修正が予測の範囲内に留まる場合(2020年2月に記録した50.5万人の下方修正幅に届かない場合)には、米経済を巡る過度な悲観論後退→米FRBによる大幅利下げ観測後退→米金利上昇の経路で、ドル円は急速に持ち直すシナリオが想定されます。当方は後者のシナリオを想定しているため、ドル円相場が一巡後に持ち直す展開をメインシナリオとして予測いたします。
本日の予想レンジ:144.00ー147.00
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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