リスク回避の円買いと地政学リスクが意識されて史上最安値更新、反発は厳しい地合い
【先週のトルコリラ】
先週のトルコリラは、円が主要通貨に対して全面高となったことから下落基調を強め、3月13日の史上最安値4.5227円を下回る展開となった。
7月31日に日本銀行が開催していた金融政策決定会合にて、国債買い入れ額の減額スケジュールと利上げ実施を発表した。事前に伝わっていた内容だったものの、その後の記者会見で植田日銀総裁からタカ派な発言が出たことで、日米金利差縮小が強く意識されて投機筋による円売りポジションの解消は加速。円は全面高の展開となり、ドル・円は146円台、ユーロ・円は159円台と6月もしくは7月ピーク時よりも1割円高が進んだ。トルコリラもこの流れを受けて、3月13日の史上最安値を更新した。
また、エルドアン大統領が28日、イスラエルに軍事介入すると警告したことに対して、イスラエルのカッツ外相は、トルコの北大西洋条約機構(NATO)からの除名を要求した。カッツ外相は、「トルコはイスラム組織ハマスやイエメンの武装組織フーシ派とともに親イラン枢軸のメンバーとなりつつある」と強く非難したことで、地政学リスクの高まりもトルコリラの売り材料となった。
トルコリラ・円(東京時間:7月29日―8月2日)
※Investing.comの日足を参照
始値:4.6685円
高値:4.7041円
安値:4.3957円
終値:4.4135円
【先週と今週の重要指標】
※時間は東京時間
7月31日
16時00分、6月貿易収支、前回:−64.9億ドル、結果:−58.7億ドル
8月1日
16時00分、7月製造業PMI、前回:47.9、結果:47.2
8月5日
16時00分、7月消費者物価指数(前月比)、前回:1.64%、市場予想:3.50%
16時00分、7月消費者物価指数(前年比)、前回:71.60%、市場予想:62.00%
16時00分、7月生産者物価指数(前月比)、前回:1.38%
16時00分、7月生産者物価指数(前年比)、前回:50.09%
8月9日
16時00分、6月鉱工業生産指数(前月比)、前回:1.7%
16時00分、6月鉱工業生産指数(前年比)、前回:−0.1%
※予定は変更することがございます。
【今週の見通し】
今週のトルコリラは、重要な国内経済発表が予定されているなか、世界的なリスク回避の円買いの流れに翻弄されそうだ。格付け会社による格上げなどトルコ経済へのポジティブな材料はあるが、需給優勢の地合いとなっている。
米景気減速懸念の高まりから米国金利が低下しており、ドル売り圧力が強まっているほか、日本株の急落で投機筋の円売りポジション解消のほか、リスク回避の円買いなども入るなど、為替市場、株式市場は波乱が続いている。トルコリラなど新興国通貨は、市場の落着きを確認する必要があり動きにくい。5日に予定されている消費者物価指数や生産者物価指数など重要経済指標の発表は、本来重要な売買材料だが、今週は世界的なリスク回避の流れが落ち着くまで評価しにくい状況となろう。
テクニカルでは、売り圧力が強く「落ちるナイフ」と化しており、棒下げとなっている。リバウンドを狙いたいところだが、史上最安値更新できっかけが掴めない状況だ。日足チャートで長い下影を確認したいところだが、需給面悪化を考慮すると、5日のトルコ経済指標でトルコリラ反発は期待しにくい。市場の落着きを確認したいところだ。
トルコリラ円日足
関連記事
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:田代 昌之
2024.11.22
東京市場のドルは154円台後半で推移、日銀による追加利上げ観測が円安のブレーキ役に(24/11/22)
東京時間(日本時間8時から15時)のドル・円は、日本株のしっかりとした推移を材料にじり高の展開となり154円台後半で推移した。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:斎藤登美夫
2024.11.22
ドル円 値動きそのものは激しいが、結果レンジ内か(11/22夕)
東京市場はドルが小高い。やや激しめの乱高下をたどるなか、最終的にドルは高値引け。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:編集人K
2024.11.22
ドル円154円台前半、本邦CPI高止まり等で一時154円割れ (11/22午前)
22日午前の東京市場でドル円は「往って来い」。
-
トルコリラ(TRY)の記事
Edited by:上村 和弘
2024.08.06
トルコリラ円見通し 円高で史上最安値更新、6日午前へ反騰したが波乱継続を警戒(24/8/6)
トルコリラ円の8月5日は概ね4.41円から4.24円の取引レンジ、6日早朝の終値は4.32円で先週末終値の4.41円から0.09円の円高リラ安だった。
-
トルコリラ(TRY)の記事
Edited by:上村 和弘
2024.08.05
トルコリラ円見通し 円高収まらず対ドルでのリラ安も重なり9営業日続落で史上最安値更新(24/8/5)
トルコリラ円の8月2日は概ね4.51円から4.40円の取引レンジ、3日早朝の終値は4.41円で前日終値の4.51円から0.10円の円高リラ安だった。
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。