トルコリラ円見通し 円高収まらず対ドルでのリラ安も重なり9営業日続落で史上最安値更新(24/8/5)

トルコリラ円の8月2日は概ね4.51円から4.40円の取引レンジ、3日早朝の終値は4.41円で前日終値の4.51円から0.10円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し 円高収まらず対ドルでのリラ安も重なり9営業日続落で史上最安値更新(24/8/5)

円高収まらず対ドルでのリラ安も重なり9営業日続落で史上最安値更新

〇トルコリラ円、ドル円の大幅下落追いかけ9営業日続落で史上最安値更新、週間で0.25の円高リラ安
〇円高がいつどの水準で落ち着くのか見定められないうちは安値試しを続けてゆきやすい
〇対ドル、8/2は概ね33.33から32.93の取引レンジ、史上最安値更新
〇8/5トルコ7月CPI事前予想、前年同月比は6月の71.60%から62.10%へ鈍化の見込み
〇4.43から4.45手前は売られやすいところとし、4.45超えからは4.58前後への上昇とその後の反落を想定
〇4.37割れからは4.35、4.33を順次試してゆく下落を想定

【概況】

トルコリラ円の8月2日は概ね4.51円から4.40円の取引レンジ、3日早朝の終値は4.41円で前日終値の4.51円から0.10円の円高リラ安だった。週間では7月26日終値4.66円から0.25円の円高リラ安、7月の月間は6月28日終値4.90円から7月31日終値4.53円まで0.37円の円高リラ安だった。
8月2日夜に発表された米7月雇用統計が予想以上に弱かったことで米国の9月利下げが確実視されて米長期債利回りが大幅に低下して為替市場はドル全面安の様相となりドル円は146.41円まで安値を切り下げて週を終えたが、週明けの5日早朝には一時145.98円まで安値を切り下げた。
トルコリラ円はドル円の大幅下落を追いかけて前日まで8営業日続落してきたが、8月2日はドル/トルコリラが史上最安値を更新する中でドル円の一段安を追いかけて4.40円まで史上最安値を更新し、週明けの8月5日朝には一時4.38円まで安値を切り下げた。

ドル円の7月3日高値161.94円から8月5日早朝安値145.98円までの下げ幅は15.96円となり、昨年11月13日高値151.90円から12月28日安値140.24円までの下げ幅11.66円を超え2022年10月21日高値151.94円から2023年1月16日安値127.22円への下げ幅24.72円に匹敵する動きとなりつつあるが、トルコリラ円は2022年10月21日高値8.17円から2023年1月16日安値6.74円までドル円と同調した下落を続けた経緯がある。
日経平均の大幅下落も影響して7月序盤までの株高円安から株安円高へと逆流が生じていること、米国が利下げ期に入る一方で日銀が利上げを継続する可能性があること、中東情勢悪化や米大統領選情勢の混迷によるリスク回避感が円高継続の背景であり、トルコリラ円としては円高がいつどの水準で落ち着くのか見定められないうちは安値試しを続けてゆきやすいと思われる。

【対ドルで史上最安値更新、年末へのリラ安継続感強まる】

ドル/トルコリラの8月2日は概ね33.33リラから32.93リラの取引レンジ、3日早朝の終値は33.17リラで前日終値の33.09リラから0.08リラのドル高リラ安だった。
8月2日の米雇用統計が予想よりも弱かったことでドル全面安の様相となったもののトルコリラの反応は限定的で3日早朝に33.33リラを付けて7月31日安値33.26リラを超え取引時間中の史上最安値を更新し、終値ベースでも7月31日終値33.14リラを超えて最安値を更新した。
週間では7月26日終値32.90リラから0.27リラのドル高リラ安。7月の月間は6月28日終値32.65リラから7月31日終値33.14リラまで0.49リラのドル高リラ安となり6月に続いて2か月連続で史上最安値を更新して8月もすでに3か月連続の史上最安値更新に入っている。
8月2日にトルコ貿易省が発表した7月の貿易統計速報では貿易赤字が72.0億ドルとなり6月の59.0億ドル(64.3億ドルから改定)から拡大して構造的な赤字体質の改善兆候は見られない。

【トルコCPIに注目しつつ、中東情勢と欧米中の株安動向を懸念】

8月5日のトルコ7月CPI(消費者物価指数)に注目が集まるが、事前予想では前月比が6月の1.64%から3.45%へ加速するものの前年同月比は6月の71.60%から62.10%へ鈍化すると見込まれている。中銀や財務省等は年末にインフレ率は40%台へ低下すると見込んでおり、欧米のインフレ鈍化傾向や中国のデフレ的景気低迷を踏まえればトルコのインフレも落ち着いてしかるべきだが、リラ安による通貨インフレ圧力が続く内は高止まりしかねず、市場のコンセンサスでは年末に1ドル37リラ台へリラ安が進行すると見込まれている。

イラン滞在中のハマス高官がイスラエルによる攻撃で殺害されたことやイスラエルとヒズボラの攻防が激化していることに加え、エルドアン大統領がリビア等への軍事介入等を引き合いに出してイスラエルとの対決姿勢を強調していることによる中東全般の地政学的リスク拡大もリラ売りを助長している。
8月2日は米国の主要株価指数が大幅下落したが、トルコのイスタンブール100株価指数も7月22日高値をピークとして下落に転じており8月2日は前日比3%安でこの間の安値を更新している。欧米や中国の株安が世界連鎖株安を招いて世界規模の景気後退感が増すようだと新興国投資が細ることでリラ安要因になると注意したい。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、7月26日夜高値をサイクルトップとし30日夕から8月1日夜にかけての間への下落を想定してきたが、8月1日午前安値へ一段安してから1日夜へ反騰して再び反落したため、8月2日午前時点では8月1日午前安値を直近のサイクルボトムとして戻したもののすでに8月1日夜高値を直近のサイクルトップとして弱気サイクル入りしている可能性が高いとした。
8月2日午後に1日午前安値を割り込み3日早朝へ一段安したため1日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして6日午前から8日午前にかけての間への下落を想定する。4.45円超えからは強気転換注意とするが、2日夜からの急落幅に対して過半を解消する勢いの反騰がみられないうちは安値更新が続きやすいとみる。

60分足の一目均衡表では8月1日夜の反発時に遅行スパンが一時好転してから再び悪化し、先行スパンの下限に届かず失速してたが、3日早朝への一段安により両スパン揃っての悪化が続いているので遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。26本基準線を超えて続伸する場合は遅行スパンの好転を試すとみるが、先行スパンへ潜り込めないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下げ再開とする。

60分足の相対力指数は8月2日夜の下落で30ポイントを割り込み、その後も反騰できずにいるので40ポイント以下での推移中は一段安余地ありとする。40ポイント超えからは反騰入りの可能性ありとみて50ポイント前後への上昇を想定するが50ポイント手前から反落しやすいと注意する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.37円を下値支持線、4.45円を上値抵抗線とする。
(2)4.43円から4.45円手前は売られやすいところとし、4.45円超えからは4.58円前後への上昇とその後の反落を想定する。
(3)4.37円割れからは4.35円、4.33円を順次試してゆく下落を想定する。4.33円以下は反騰注意とするが、直前安値から0.50円を超える反騰から続伸するような勢いがみられないうちは6日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

8月5日
 16:00 7月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (6月 1.64%、予想 3.45%)
 16:00 7月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (6月 71.60%、予想 62.10%)
 16:00 7月 コアCPI(食品エネルギー等除く) 前月比 (6月 1.64%)
 16:00 7月 コアCPI(食品エネルギー等除く) 前年同月比 (6月 71.4%)
 16:00 7月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (6月 1.38%)
 16:00 7月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (6月 50.09%)
8月7日
 23:30 7月 財務省現金残 (6月 4309.48億リラ)

8月8日
 16:00 4-6月期インフレ見通し
 20:30 週次 外貨準備高 8月2日時点
8月9日
 16:00 6月 鉱工業生産 前月比 (5月 1.7%)
 16:00 6月 鉱工業生産 前年同月比 (5月 −0.1%)
8月12日
 16:00 6月 失業率 (5月 8.4%)
 16:00 6月 小売売上高 前月比 (5月 -0.2%)
 16:00 6月 小売売上高 前年同月比 (5月 5.8%)



注:ポイント要約は編集部

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