1ヵ月で15円超のドル安、行き過ぎだが・・・
〇先週のドル円、サポートだった152円レベルを下回るとそのままドル安・円高が進行
〇週末には146円台へ、週末NYは146円半ばで取引を終え越週
〇週間を通した変動は8.8円に。日経平均は週末2日で2000円以上の下落(終値ベース)
〇BOJ政策発表前日の利上げ報道が一連のドル売り・円買いのトリガーに
〇植田総裁の「予想よりもハト派」的な一連のコメントにより、さらに円高へ傾斜
〇FOMCの9月利下げ観測、米雇用統計不冴えを受けた米長期金利低下、ドル急落要因に
〇今週は米7月ISM非製造業景況指数、中国インフレ指標、豪政策発表に要注目
〇ドル高・円安方向、147円台を超えると148円台をスルーし、149円近くまで一気に値を上げる可能性も
〇ドル安・円高方向、3月安値とほぼ合致する先週安値146.40レベルが最初のサポート
〇今週の予想レンジ:144.50-149.50
<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場はドルが大幅続落。前週も週高値から5円を大きく超える下落を観測したが、先週はそれを大きく上回る下げだった。
オリンピックの開催当日に、フランス高速鉄道(TGV)を狙ったテロと思しき動きもあったが、パリオリンピックはなんとか無事に開幕。そして連日熱戦が繰り広げられている。
そうした状況下、ドル/円は153.70-75円で寄り付いたのち、しばらくは底堅さもうかがわせる値動き。しかし、週の半ばにサポートだった152円レベルを下回ると、その後はなし崩し的なドル安・円高が進行している。150円を下回っても下げ止まらず、週末には146円台へ。週間を通した変動は実に8.8円にも及ぶ。週末NYはそのままドルの安値圏、146円半ばで取引を終え越週となった。
なお、日経平均株価も冴えない。とくに週末2日間は大きく下げ、実際2日は終値ベースで2000円以上も下落、「ブラックマンデー以来の下げ幅」を記録していた。
一方、週間を通して注視されていた材料は、「日本の金融政策」と「米金融政策」について。
前者は、7月31日に予定されていた日銀による金融政策発表について、前日のNY時間、事前リークともされる「日銀は31日に追加利上げ検討、量的引き締めも決定へ」との内容を日経新聞が報道。これが一連のドル売り・円買いのトリガーとなった。そののち、日銀は実際の会合結果として予想外の「0.25%利上げ」を発表。また、夕方の会見で植田総裁は「予想よりもハト派」とされるコメントを連発し、為替市場はさらに円高へと傾斜している。なお、そうした植田総裁の発言や姿勢を総称して、ブルームバーグでは「早くも年内追加利上げの見方が浮上」と指摘。具体的には10月実施説などが取り沙汰されていると伝えていたようだ。
それに対して後者は、開催された現地7月31日の米FOMCの結果として、ほぼ事前予想通りの「7月は利下げを見送ったうえで、9月の利下げを示唆」が発表された。「雇用とインフレという2大責務の両面のリスクに留意する」などとしつつ、「早ければ次回9月の会合で政策金利の引き下げが選択肢となり得る」と結論付けていた。しかし、市場はこれで終わらず。週末2日に発表された注目の米雇用統計が予想を大きく裏切る悪化を示し、米長期金利も低下。FOMCが終了したばかりにもかかわらず、米景気後退への懸念が高まるなか、年内大幅利下げ観測も台頭していたという。ドル/円相場が、前述したように3月半ば以来の146円台を示現する主因となっていたことは間違いない。
<< 今週の見通し >>
ドル/円相場は先週だけで8.8円もの価格変動。これは2022年11月7-11日週の変動幅9.08円(138.47円-147.55円)以来の大変動になる。そして、7月3日の161.96円を目先高値に、1ヵ月で15円を超えるドル安・円高が進行で、明らかに「過度な変動」に当たるだろう。そのため、一時的な戻りを見込む向きも少なくないが、相場トレンドは間違いなく円高方向にバイアス。昨年12月安値140.26円を起点とした上昇に対するフィボナッチでは、61.8%押しもすでに下回っており、145.40円レベルが最後の砦(76.4%戻し)。下回れば、理論上は100%戻しも否定できない。
市場で注目されている日米金融政策の観点からすれば、確かに日米金利差は先週わずかに縮小し、今後も縮小傾向にあることは確かだが、為替の実勢市場とは整合性がとれていない。やり過ぎと言っても良さそうだ。仮に発表される米指標などが好数字となった場合には調整の動きがかさむ可能性もある。しかし、気になるのが日米の株価。持ち直しの兆しをうかがわせないようなら、為替市場でリスク回避と思しき円高がさらに進行しても不思議はない。また、それ以外では近く民主党のハリス氏が米副大統領候補を発表すると目されている米大統領選に関するニュースも場合によっては、相場の波乱要因に。
テクニカルに見た場合、ドル/円相場は先週ついに移動平均の200日線(151.60-65円)を下回ったばかりか、前述したフィボナッチ61.8%押し(148.50-55円)なども次々に割り込む。基調は間違いなくドル安方向にバイアスか。しかし、先週末に下げ止まった146円半ばは今年3月安値にもほぼ合致するレベル。目先下げ止まり、一時的にせよ底堅さを醸すか否かに注目だ。
なお、ドルが調整の動きから反発に転じるとなると、少し遠い気もするがそれでも150円近くまで戻しても不思議はなさそうだ。
そうしたなか今週は、7月のISM非製造業景況指数といった重要な米経済指標の発表が予定されている。また今週は中国インフレ指標などの発表も予定されているほか、豪中銀の政策金利発表も実施される見込みだ。それらも一応要注意。
そんな今週のドル/円予想レンジは、144.50-149.50円。ドル高・円安については、147円台を超えていくのに多少時間を要しそうだが、超えてしまうと148円台はスルーし149円近くまで一気に値を上げても不思議はなさそうだ。
対してドル安・円高方向は、3月安値ともほぼ合致する先週安値146.40円レベルが最初のサポート。下回ると145円を目指す展開で、ドル売りが再燃しかねない。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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