『約3カ月半ぶり安値圏へと大幅下落。地合いの悪化が鮮明に』
〇今週の南ア円、週末にかけて一時週間安値7.99円(4/19以来の安値圏)まで急落
〇ドル円急落、中東での地政学的リスクの高まり、南ア財政収支の悪化、株式市場のクラッシュ等が背景
〇テクニカルには日足の主要テクニカルポイント下抜け、強い買いシグナルも点灯、地合い極めて弱い
〇ファンダメンタルズは日本南ア間の金利差縮小観測、世界的なリスクオフ再開等が重石に
〇当面の間は南アランド円相場が続落する展開をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):7.90ー8.30
今週のレビュー(7/29−8/2)
今週の南アフリカランド円相場(ZARJPY)は、週初8.39円で寄り付いた後、翌7/30にかけて、週間高値8.46円まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(1)中東紛争拡大を巡る地政学的リスクの高まり(イスラエルが占領するゴラン高原へのロケット弾攻撃)や、(2)南ア6月財政収支(結果386億ZAR黒字、予想401億ZAR黒字)の市場予想を下回る結果、(3)日銀金融政策決定会合のタカ派的な結果(国債買い入れ額を現状の月6兆円程度から2026年1ー3月に月3兆円程度まで減らす方針が示されると共に追加利上げも決定。更に植田日銀総裁は記者会見で予想以上にタカ派的なスタンスを強調)、(4)上記3を背景とした円キャリートレードの巻き戻し、(5)株式市場の世界的なクラッシュ(リスクオフの新興国通貨売り)が重石となり、週末にかけて、週間安値7.99円(4/19以来の安値圏)まで急落しました。
引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間8/3午前1時00分現在)では、8.06円前後で推移しております。尚、今週発表された南ア7月製造業PMI(結果52.4、予想48.0、前回45.7)や、南ア7月Naamsa自動車販売(結果+1.5%、予想▲9.4%、前回▲14.0%)は市場予想を上回る力強い結果を示しましたが、市場の反応は限定的となりました。
来週の見通し(8/5−8/9)
南アランドの対円相場(ZARJPY)は、7/11に記録した高値8.98円をトップに反落に転じると、今週末にかけて、約3カ月半ぶり安値となる7.99円まで急落しました。日足ローソク足が主要テクニカルポイントを軒並み下抜けしたことや、強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」「弱気のバンドウォーク」が成立したこと、6/7安値8.18円を下抜けしたことでダウ理論の上昇トレンドが崩壊したこと等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは「極めて弱い」と判断できます。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)日銀による追加利上げ観測の高まり(植田日銀総裁は更なる追加利上げを示唆)や、(2)南ア中銀による追加利下げ観測の高まり(南アフリカの消費者物価指数やコアCPIが鈍化していることに加えて、米FRBも次回9月会合での利下げ開始を示唆→南ア中銀の早期利下げ観測が再燃)、(3)上記1、2を背景とした円キャリートレードの巻き戻し懸念、(4)株安に端を発した世界的なリスクオフ再開など、南アランド円相場の下落を連想させる材料が揃っています。
南ア経済の復調期待(今週発表された南ア7月製造業PMIや南ア7月Naamsa自動車販売は良好な結果)や、南ア政治の安定化期待(政治イベント通過に伴う外国人投資家による資金流入期待)など、南アランドにとってのポジティブ要因も複数見られるものの、少なくとも当面の間は、上記1ー4の材料を背景に、南アランド円相場が続落する展開をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は8/8に予定されている南ア6月製造業生産以外に目立った南ア経済イベントが予定されていないため、今週同様、米ドル相場や円相場、株式市場の動向に振らされる神経質な値動きが続きそうです。
来週の予想レンジ(ZARJPY):7.90ー8.30
注:ポイント要約は編集部
南アフリカランド円日足
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