対ドルは夏枯れ相場が続くが、ユーロ円は続落の可能性大
〇先週のユーロドル、ドル円が大きく動く中、動意薄の状態続く、週間レンジはわずか74pipsにとどまる
〇オリンピックでフランス政局は夏休み状態、夏枯れ相場からしばらく抜け出せないか
〇今週もドル円の下げがメインテーマか、その場合ユーロ円も下げ、ユーロドルも上値が重くなる可能性
〇短期的には、1.08レベルの買いと1.09レベルの売りに挟まれて動きにくい流れが、今週も続きそう
〇1.0810レベルをサポートに1.0910レベルをレジスタンスとする週を見る
今週の週間見通しと予想レンジ
先週もユーロはドル円が大きく動く中動意薄の状態が続き、週間レンジもわずか74pipsにとどまりました。ユーロ円がドル円とともに円の動きをしたことでユーロ円の週間レンジが7円を超えていることと比べると異様とも言える狭い値動きに収まりました。ドルの動きと円の動きとで相殺されたと言ってしまえばそれまでですが、ECB理事会は一足先に終わり、パリ・オリンピックでフランス政局も夏休み状態となり、夏枯れ相場からしばらく抜け出せそうもありません。
今週31日の日米金融政策会合では日銀の利上げ思惑が高まっていることで円買い要因、FOMCは現状維持ではあるものの9月利下げのヒントが掴める可能性もということでドル売り要因と考えている市場参加者が多く、引き続きドル円の下げが今週もメインテーマになってくると考えられます。その場合、ユーロ円も下げる方向に動くでしょうから、そうなるとその動きを見てユーロドルも上値が重くなる可能性がありそうだという程度です。
それにしても今年はユーロの動きが鈍く1月以降の平均週間レンジも116pipsに過ぎません。先週、先々週は75pips程度となっていることを考えると、ほとんど蚊帳の外状態であることがわかります。フランスでオリンピックが開催されているということで、欧州勢は皆オリンピックを見ているのでしょうか。欧州でのサッカー・ワールドカップ開催時にはトレーダーは皆そちらに関心が移るということはありますが、オリンピックではあまりそうした印象は無いのですが、今年に関してはそうとしか思えないという感じもします。
今週も目立った材料もありませんので、テクニカルに見てみましょう。いつもの日足チャートをご覧ください。
ユーロドルの中期的な三角もちあい(青)のレジスタンスライン側は引き直し、新たに上昇チャンネル(ピンク)のラインも追加してみました。今後の米国の緩和の動きを考えると上昇チャンネルの中での緩やかなユーロ高相場という見方が妥当に思えますが、短期的には7月高値も強いレジスタンスとなってきそうです。さらに短期的には1.08レベルの買いと1.09レベルの売りに挟まれて動きにくい流れが今週も続きそうです。
今週は1.0810レベルをサポートに1.0910レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。
今週のコラム
今週もユーロ円を見ておきましょう。
ついに昨年12月安値からの上昇チャンネルを下抜けました。ユーロスタート後の史上最高値を更新し、これで今年の高値を見たという感じになってきたように見えます。
ターゲットとしては昨年12月安値と史上最高値との半値押し164.31が当面のサポート兼ターゲットとして意識される流れです。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
7月29日(月)
(特になし)
7月30日(火)
14:30 フランス4〜6月期GDP速報値 ☆
14:30 フランス6月消費支出
17:00 ドイツ4〜6月期GDP速報値 ☆
18:00 ユーロ圏4〜6月期GDP速報値 ☆
18:00 ユーロ圏7月消費者信頼感
21:00 ドイツ7月CPI速報値 ☆
7月31日(水)
12:00頃 日銀会合結果公表 ☆
15:30 植田日銀総裁会見 ☆
15:45 フランス7月CPI速報値 ☆、6月PPI
16:55 ドイツ7月失業率
18:00 ユーロ圏7月CPI速報値 ☆
27:00 FOMC結果発表 ☆
27:30 パウエルFRB議長会見 ☆
8月1日(木)
16:50 フランス7月製造業PMI
16:55 ドイツ7月製造業PMI
17:00 ユーロ圏7月製造業PMI
17:30 英国7月製造業PMI
18:00 ユーロ圏6月失業率
20:00 英中銀MPC結果発表 ☆
20:30 英中銀総裁会見 ☆
8月2日(金)
15:45 フランス6月鉱工業生産
21:30 米国7月雇用統計 ☆
前週のユーロレンジ
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
7月22日(月)
週明けのドル円は東京昼過ぎまでは動きが鈍かったものの、後場に入りバイデン大統領が大統領選から撤退しハリス副大統領が候補になるとのニュースから為替市場では大統領選が不透明になってきたとの見方でドル売りとなり、一時156.28レベルの安値をつけました。その後は156円台後半まで買い戻されてもみあいを続けていましたが、NY市場では米金利が上昇した動きもあり157円を回復して引けました。
ユーロドルは相変わらず狭いレンジでのもみあい、1.08台後半で30pipsレンジでの取引に終始しました。
7月23日(火)
ドル円は終日じりじりとドルが売られる展開となりました。自民総裁選候補のひとりである茂木幹事長が日銀への利上げ催促とも取れる発言をしたことが来週の日銀会合を控えて下げ圧力となったようです。先週はトランプ前大統領と河野デジタル相の発言、今週はバイデン大統領の撤退、茂木幹事長発言とイベントや発言が全て円高方向への動きにつながっていて、着実に上値が重たい動きになってきました。
ユーロドルは東京後場からNY朝方までじり安の展開が続きました。ドル円とともにユーロ円が下げていたことに加え、デギンドスECB副総裁が9月利下げを予想させる発言をしたことで、ユーロの下げに繋がった面が大きかったと言えます。ただ値幅は53pipsにとどまりユーロ円の動きが目立っていました。
7月24日(水)
日銀の利上げ思惑が強まる中、利上げと大規模な国債購入減額スケジュールの提示といった観測記事が円一段高の動きにつながりました。自民茂木幹事長が円高を支持する発言をしたことも円買い材料となり、NY前場には153.10レベルの水準まで円高が進んだ後、154円近辺で引けました。
ユーロドルはユーロ円の売りもあり、一時1.0826レベルまで水準を下げましたが、引けにかけては1.08台半ばへと戻しました。寝幅は伴わずユーロドルは連日静かな取引が続いています。
7月25日(木)
ドル円は前日までの流れを受け、日銀の利上げ思惑と株安を材料にNY市場まで円買い戻しが続きました。一時151.94レベルとゴールデンウィーク介入後の安値に迫る動きとなりましたが、予想よりも強かった米国GDPに反応して買い戻され、154.32レベルの高値をつけたあと、153円台後半での引けとなりました。
ユーロドルは相変わらずの小動き、上下しながらも前日安値を目先の底に1.0870レベルまで買われた後に1.08台半ばで引けました。
7月26日(金)
ドル円は東京市場ではもみあいが続きましたが欧州市場に入り日経先物が上昇に転じる動きとともに円売りが目立ち、NY市場早朝に一時154.74レベルまで上値を切り上げました。しかしNY市場に入りPCEデフレーターが予想通りだったことを見て米金利が低下、ドル円も153.09レベルの安値をつけた後に153円台後半へと戻して引けました。
ユーロドルは終日ほとんど動かず、欧州勢はパリオリンピックを前に完全に夏休みモードになっている様子でした。終日レンジはわずか26pipsと動意薄の一日でしたが、ユーロ円はドル円とともに動いたことでドル円とほぼ同じレンジの167pipsの動きとなっていました。
注:ポイント要約は編集部
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