ドル円 大きな流れは円高へと変化、短期は151円がターゲット(週報7月第5週)

今週のイベントは、日銀会合、FOMC、米国雇用統計となりますが、その中でももっとも注目されるのが日銀会合です。

ドル円 大きな流れは円高へと変化、短期は151円がターゲット(週報7月第5週)

大きな流れは円高へと変化、短期は151円がターゲット

〇先週のドル円、一時151.94レベルとGW介入後の安値に迫る動き、週末は153円台後半で引け
〇今後のターゲットは昨年12月安値と年初来高値の半値押し151.09レベル
〇日銀会合の結果次第で今年の円最安値は161.95レベルという流れに
〇FOMCは現状維持確定で、最近の経済指標から考えると9月利下げが現実的
〇米雇用統計、弱めの数字なら米金利低下につながりドル安への材料
〇強い数字でもドルが買われた場面では着実にカウンターで戻り売りが入るか
〇今週は151.00レベルをサポート、154.50レベルをレジスタンスとする週を見る

今週の週間見通し

先週のドル円は、今週の日銀会合を前に次期総裁候補と目される自民上層部の発言、そして利上げ観測記事と日銀の動向を気にした円買い戻しが続き、木曜には一時151.94レベルとゴールデンウィーク介入後の安値に迫る動きとなりましたが抜け切れず、週末に向けては短期筋による円買いポジションの調整も見られ153円台後半での引けとなりました。

今週のイベントは、日銀会合、FOMC、米国雇用統計となりますが、その中でももっとも注目されるのが日銀会合です。先月の会合で植田日銀総裁が国債購入の減額は相応の規模という発言を行いましたが、先週の観測記事では今後数年間で半減とかなりの規模の減額が予想されています。現在月額6兆円程度を3兆円程度まで数年で減らすとなると毎年1兆円程度減らしていくこととなりますが、現在の購入額が巨額過ぎるということを考えると、正常化に向けた動きであり、先月の総裁発言と合わせると納得がいく数字です。

来月から5000億減らすではインパクトがあまり強く無い印象もありますし、いくら減らすと明確に提示するよりも今後数年かけて毎年1兆円程度減らすとか、あるいは当面1年程度で1兆円減らすといった内容になるのかもしれません。いずれにしても、1年以内に1兆円以上の数字が出て来ないと市場参加者には失望感が出てくる可能性がありそうです。

また追加利上げの有無は意見がわかれるところですが、為替とも結びつけた発言が自民党上層部から続いていることを考えると財務省としてやるべきことはやっているので、日銀も利上げで援護射撃をして欲しいというところでしょうが、現在0〜0.1%を幅を拡大して、0〜0.25%でも追加利上げには違いありませんので、刻むよりは金利上限を引き上げる動きがあるかもしれません。それでも今回多少でも利上げがあれば年内もう一度という催促相場に繋がる可能性はあり、日銀会合の結果次第で今年の円最安値は161.95レベルで既に見たという流れになって行くように思います。

FOMCは現状維持確定でしょうが、最近の経済指標から考えると9月利下げが現実的になっていて、市場参加者も9月から利下げがコンセンサスとなっています。FOMCあるいは議長会見で9月利下げにつながる何らかの発言があるかどうか、この点だけがFOMCの注目材料となりますが、可能性は高いのではないかと思います。そうなると、昼と夜とどちらも改めて円高に動くという展開は考えられます。

そして雇用統計は出てみないと、という感じですが、弱めの数字が出てくれば来週以降の米金利低下につながり、ドル安への材料ということになっていくでしょう。逆に強い数字でもドルが買われた場面では着実にカウンターで戻り売りが入ると見られます。

テクニカルにはいつもの日足チャートをご覧ください。

既に6月安値を抜け、これまでの節目となった安値と年初来高値とのフィボナッチ・リトレースメントのうち想定していたターゲットは全て達成してきました。今後のターゲットとしては昨年12月安値と年初来高値の半値押し151.09レベルがターゲットとなってきます。また上値は155円は遠くなってきましたが、振れも大きいので154円台半ばは考えておいてもよいでしょう。

今週は151.00レベルをサポートに、154.50レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

大きな流れは円高へと変化、短期は151円がターゲット

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。
また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2024年FOMCメンバー(ニューヨーク、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

7月29日(月)
(特になし)

7月30日(火)
08:30 本邦6月失業率・有効求人倍率
14:30 フランス4〜6月期GDP速報値 ☆
14:30 フランス6月消費支出
17:00 ドイツ4〜6月期GDP速報値 ☆
18:00 ユーロ圏4〜6月期GDP速報値 ☆
18:00 ユーロ圏7月消費者信頼感
21:00 ドイツ7月CPI速報値 ☆
22:00 米国5月住宅価格、ケースシラー住宅価格
23:00 米国6月JOLTS求人件数 ☆
23:00 米国7月消費者信頼感

7月31日(水)
10:30 中国7月製造業PMI
12:00頃 日銀会合結果公表 ☆
15:30 植田日銀総裁会見 ☆
15:45 フランス7月CPI速報値 ☆、6月PPI
16:55 ドイツ7月失業率
18:00 ユーロ圏7月CPI速報値 ☆
19:00 介入実績公表
21:15 米国7月ADP全国雇用者数 ☆
21:30 米国4〜6月期雇用コスト
22:45 米国7月シカゴ購買部協会景況指数
23:00 米国6月住宅販売保留件数
23:30 週間原油在庫統計
27:00 FOMC結果発表 ☆
27:30 パウエルFRB議長会見 ☆

8月1日(木)
10:45 中国7月MarkIt製造業PMI
16:50 フランス7月製造業PMI
16:55 ドイツ7月製造業PMI
17:00 ユーロ圏7月製造業PMI
17:30 英国7月製造業PMI
18:00 ユーロ圏6月失業率
20:00 英中銀MPC結果発表 ☆
20:30 英中銀総裁会見 ☆
20:30 米国7月チャレンジャー人員削減数

21:30 米国4〜6月期単位労働コスト速報値
21:30 米国新規失業保険申請数
22:45 米国7月製造業PMI
23:00 米国7月ISM製造業景況指数
23:00 米国6月建設支出

8月2日(金)
15:45 フランス6月鉱工業生産
21:30 米国7月雇用統計 ☆
23:00 米国6月製造業新規受注

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

7月22日(月)
週明けのドル円は東京昼過ぎまでは動きが鈍かったものの、後場に入りバイデン大統領が大統領選から撤退しハリス副大統領が候補になるとのニュースから為替市場では大統領選が不透明になってきたとの見方からドル売りとなり、一時156.28レベルの安値をつけました。その後は156円台後半まで買い戻されてもみあいを続けていましたが、NY市場では米金利が上昇した動きもあり157円を回復して引けました。

7月23日(火)
ドル円は終日じりじりとドルが売られる展開となりました。自民総裁選候補のひとりである茂木幹事長が日銀への利上げ催促とも取れる発言をしたことが来週の日銀会合を控えて下げ圧力となりました。先週はトランプ前大統領と河野デジタル相の発言、今週はバイデン大統領の撤退、茂木幹事長発言とイベントや発言が全て円高方向への動きにつながっていて、着実に上値が重たい動きになってきました。

7月24日(水)
日銀の利上げ思惑が強まる中、利上げと大規模な国債購入減額スケジュールの提示といった観測記事が円一段高の動きにつながりました。自民茂木幹事長が円高を支持する発言をしたことも円買い材料となり、NY前場には153.10レベルの水準まで円高が進んだ後、154円近辺で引けました。

7月25日(木)
ドル円は前日までの流れを受け、日銀の利上げ思惑と株安を材料にNY市場まで円買い戻しが続きました。一時151.94レベルとゴールデンウィーク介入後の安値に迫る動きとなりましたが、予想よりも強かった米国GDPに反応して買い戻され、154.32レベルの高値をつけたあと、153円台後半での引けとなりました。

7月26日(金)
ドル円は東京市場ではもみあいが続きましたが欧州市場に入り日経先物が上昇に転じる動きとともに円売りが目立ち、NY市場早朝に一時154.74レベルまで上値を切り上げました。しかしNY市場に入りPCEデフレーターが予想通りだったことを見て米金利が低下、ドル円も153.09レベルの安値をつけた後に153円台後半へと戻して引けました。


注:ポイント要約は編集部

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