トルコリラ円見通し ドル円の反発で戻したものの7月11日以降の右肩下がりの展開範囲
〇トルコ円、7/26のドル円上昇時に4.69まで上昇後4.64へ反落、7/27早朝にかけて4.67近辺で小動き
〇トルコ円は今週の日米金融政策決定会合や米国経済指標を通過して、円高が落ち着くのか見定めるところ
〇対ドル、7/26は概ね33.15から32.70の取引レンジ、安値33.15を付けて最安値に迫る展開続く
〇4.63を上回るうちは上昇余地ありとし、4.69超えからは4.70、4.71を順次試す上昇を想定する
〇4.63割れからは下落再開とみて、4.60前後への下落を想定する
【概況】
トルコリラ円の7月26日は概ね4.69円から4.63円の取引レンジ、27日早朝の終値は4.66円で前日終値の4.67円から0.01円の円高リラ安となり7月23日から4営業日続落した。週間では7月19日終値4.73円から0.07円の円高リラ安、現時点の月間では6月28日終値4.90円から0.24円の円高リラ安となった。
ドル円は7月3日高値161.94円と7月11日未明の10日付け高値161.80円をダブルトップとして7月11日夜と12日夜の覆面市場介入で急落し、日米要人によるドル高けん制や円安けん制及び日銀への追加利上げ要請発言等を背景に7月25日夕安値151.93円まで10円を超える急落となったため、トルコリラ円も7月3日高値4.98円から下落に転じて7月25日安値4.58円まで大幅下落してきた。
ドル円は大幅下落後の修正高で7月26日夜に154.73円までいったん戻したものの、米6月PCEデフレーターが2か月連続で低下してコアPCEもこの間の最低だった5月と同水準としたことで米国のインフレ鈍化と9月利下げ期待が増したために発表後に153.19円へ下落して27日早朝にかけて153円台での推移を続け、トルコリラ円はドル円の上昇時に4.69円まで戻してから4.64円へ反落し、27日早朝にかけては4.67円近辺での小動きとなった。
【日米金融政策決定会合を通過して円高が落ち着くのか見定める】
ドル円は昨年12月28日安値140.24円と今年3月11日安値146.46円等を結んだ上昇トレンドから転落しているが、トルコリラ円も7月11日の急落により3月13日の史上最安値4.52円を起点とした上昇トレンドから転落した後も円高が続いたことで大幅続落してきたために最安値更新への余裕が乏しくなっている。
今週は7月31日の日銀金融政策決定会合、8月1日早朝のFOMC、2日夜の米雇用統計へ向けて注目度の高い米国経済指標の発表も相次ぐため、トルコリラ円としてはドル円が円高イベント通過により反騰期に入れるか、円高がさらに加速するのかを見定めつつドル円の騰落を追いかけることとなるが、ドル/トルコリラも史上最安値近辺での推移が続いているため円高とリラ安が重なる可能性にも注意したい。
【対ドルで取引時間中の最安値に迫る展開続く】
ドル/トルコリラの7月26日は概ね33.15リラから32.70リラの取引レンジ、27日早朝の終値は32.90リラで前日終値の32.95リラからは0.05リラのドル安リラ高だった。週間では7月19日終値32.80リラから0.10リラのドル高リラ安、現時点での月間では6月28日終値32.65リラから0.25リラのドル高リラ安だった。
7月17日に取引時間中の史上最安値を33.17リラへ更新してから7月23日高値32.57リラへ上昇したものの、その後は再びリラ売りが優勢となり、7月25日に33.13リラ、26日に33.15リラを付けて最安値に迫っている。
7月19日に大手格付け機関のムーディーズがトルコ格付けを「B3」から「B1」に2段階引き上げたこと、23日にトルコ中銀が政策金利を50%に据え置いて引き締め政策継続を強調したことが23日までの上昇要因だったが、中国や欧州の景気低迷によりトルコ輸出が伸び悩むとの懸念や米大統領選挙を巡る混迷等によるリスク回避的な新興国通貨への売り圧力が高まっており、7月12日以降は対ドルで南アランドやメキシコペソが売られ、資源通貨の豪ドルも7月11日以降下落基調にあること等がリラへの売り圧力となっている印象もある。
2022年9月から2024年4月まで20カ月連続で史上最安値を更新し、5月は安値更新を回避したものの6月から7月へ2か月連続最安値を更新しているため長期的なリラ安継続感が増している。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、7月23日早朝高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとしてきたが、25日夕へ一段安してから反騰したために26日午前時点では25日夕安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして26日の日中から30日早朝にかけての間への上昇を想定した。
7月26日夜へ高値を切り上げてから反落したものの4.65円割れを買われて下げ渋ったためまだ上昇余地ありとするが、4.63円割れからは弱気サイクル入りとして30日夕から8月1日夜にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では7月26日夜への上昇で遅行スパンが好転して先行スパンからも上抜けたがその後は伸び悩みのため、先行スパンからの転落を回避する内は遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパンから転落する場合は下落期入りとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は7月26日夜の上昇で60ポイント台へ到達した後も50ポイント割れを買われて下げ渋っているため60ポイント台後半への上昇余地ありとするが、45ポイント割れからは下落再開を疑い30ポイント前後への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.63円を下値支持線、4.69円を上値抵抗線とする。
(2)4.63円を上回るうちは上昇余地ありとし、4.69円超えからは4.70円、4.71円を順次試す上昇を想定する。4.70円以上は反落警戒とするが、4.65円を上回っての推移なら30日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.63円割れからは下落再開とみて4.60円前後への下落を想定する。4.60円前後は買われやすいとみるが、4.63円を下回っての推移なら30日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
7月30日
16:00 7月 経済信頼感指数 (6月 95.8)
7月31日
16:00 6月 貿易収支確報 (5月 -65億ドル)
16:00 4‐6月期 海外観光収入 (1-3月 87.8億ドル)
17:30 6月 海外観光客数 前年同月比 (5月 14.0%)
8月1日
16:00 7月 イスタンブール製造業PMI (6月 47.9)
20:30 週次 外貨準備高 グロス 7月26日時点 (7月19日時点 947.0億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 ネット 7月26日時点 (7月19日時点 48.19億ドル)
8月5日
16:00 7月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (6月 1.64%)
16:00 7月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (6月 71.60%)
16:00 7月 コアCPI(食品エネルギー等除く) 前月比 (6月 1.64%)
16:00 7月 コアCPI(食品エネルギー等除く) 前年同月比 (6月 71.4%)
16:00 7月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (6月 1.38%)
16:00 7月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (6月 50.09%)
注:ポイント要約は編集部
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