ドル円 日米金融政策の発表注視、波乱含みの一週間(週報7月第5週)

先週のドル/円相場はドルが大幅安。最大では週高値から5円を大きく超える下落も観測されていた。

ドル円 日米金融政策の発表注視、波乱含みの一週間(週報7月第5週)

日米金融政策の発表注視、波乱含みの一週間

〇先週のドル円、おおむね右肩下がりの展開で一時は151.94まで5円超える下落
〇週末にかけてはやや買い戻しが入り、週末NYは153.70台で越週
〇年初来高値161.96からすでに10円下落、チャートの形状なども短期的な底入れうかがわせる
〇日経平均株価、8営業日連続の下落で年初来高値からの下落率は10%
〇日米中銀の金融政策注視、日本は意見の集約化がなされておらず荒っぽい変動辿ることがほぼ確実視
〇ドル高円安方向、先週末高値154.74含めた155円レベルの攻防に注目。超えれば156円ターゲット
〇ドル安円高方向、先週安値151.94が最初のサポート、150円割り込むとドル安進展の危険性も
〇今週のドル円予想レンジ:151.50-156.50

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場はドルが大幅安。最大では週高値から5円を大きく超える下落も観測されていた。

前週末の最終盤、日本時間では週明け22日未明に、バイデン氏が米大統領選からの撤退を突然表明し話題をさらう。また、自身の後継候補としてハリス氏を支持する考えを示していたことも思惑を呼んでいた。
そうした状況下、週明けのドル/円は157.40円レベルで寄り付いたのち、当初こそドル買い先行。週間高値の157.61円を示現したが、ドルの上値追いはそこまで。以降は週末にかけおおむね右肩下がりの展開で、一時は5月3日安値151.86円に迫る151.94円まで5円を超える下落をたどっていた。ただ、さすがに短期的には行き過ぎの感もあり、週末に掛けてはやや買い戻しが入り、週末NYは153.70円台で取引を終え越週している。
なお、日経平均株価は結局週初から週末までを含め、実に8営業日連続の下落。年初来高値からの下落率は10%にも達してきた。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「米大統領選」と「日本の金融政策」について。
前者は、前週末に米ネットメディアのアクシオスが「党幹部はバイデン大統領が今週末にも大統領選からの撤退を表明するとみている」と報道していたが、先で記したようにそれが現実のものとなった。そのうえで、週明けはさすがに米民主党内に動揺も見られたものの、バイデン氏が後継者に選んだハリス副大統領を同党重鎮や大物議員が次々と支持。たとえば、ペロシ元下院議長やオバマ元大統領なども支持を表明するなか、ロイターが発表した世論調査では「トランプ氏を2ポイント上回った」とされるなど勢いの強さが伝えられている。金融市場だけでなく一般的にも、「もしトラ」どころか「確トラ」などと言われ、圧倒的なトランプ氏の勝利が喧伝されてきたが、むしろ現民主党政権の今後の巻き戻しが期待されつつあるようだ。まだまだ予断を許さないかもしれない。

それに対して後者は、市場で日米金融政策が注視されていることは間違いないが、依然として意見は集約されておらず、要人発言などに一喜一憂する展開だった。実際、日本については週末に発表された7月の東京都区部消費者物価が、生鮮食品を除くコアCPIの前年同月比上昇率で予想をやや下回る内容に。結果を受けて、「日銀の2%物価目標達成はなかなか見えない」などといった指摘が聞かれたうえ、先で指摘したようにここ最近は日経平均などの株価が大幅安、為替は急激な円高進行−−といった利上げに強い逆風が吹いている。「この状況下、本当に利上げに踏み切れるのだろうか」などとする疑問の声も一部市場参加者のあいだでは取り沙汰されていたがどうなるだろうか。

<< 今週の見通し >>

ドル/円相場は、徳俵に足がかかりながらもドル高基調継続を辛うじて維持していた感が当初はあったものの、先週だけで5円超のドル安進行を受けて、その流れは完全に潰えた。トレンドそのものもドル安方向へと転換した感がある。しかし、そんなドル/円は年初来高値161.96円を起点とすればすでに10円も下落、日足チャートの形状なども短期的な底入れをうかがわせる。日米金融政策の発表など、今週は材料も多く予断を許さないが、ドルは週間を通して思いのほか底堅く推移する可能性も否定できない。
今週は注目材料が目白押しだが、なかでもとなると、やはり日米中銀による金融政策をもっとも注視しておきたいところだ。ただ、米国は取り敢えず当月について「利下げ見送り」との見方が有力視されている反面、日本は依然として意見の集約化がなされていない。よって、利上げが実施されても、あるいは見送りとなっても、どちらの結果であれ為替市場は荒っぽい変動をたどることがほぼ確実視されている。また、それ以外では「確トラ」の様相から変化しつつある米大統領選に関するニュースも場合によっては、相場の波乱要因に。

テクニカルに見た場合、ドル/円相場は移動平均や一目均衡表においても、これまでサポートだったポイントを次々に下抜け。ドル安方向へと基調転換したとみられるが、ごく短期で見た場合には先週記録した151.94円が当面の底値になった感もある。とは言え、同レベルは5月安値と非常に近く、しっかり下回ると150円割れに向け、さらなるドル安が進展する危険性も孕んでおり注意を払いたい。
それに対する上値は、少し遠いが90日線や一目均衡表の先行帯の雲の下限が位置する156円レベルはかなり強い抵抗か。短期的には、その手前155円の攻防にも注目したい。

そうしたなか今週は、日米中銀による金融政策の発表がもっとも注目を集めていることは間違いないものの、それ以外でも7月のISM製造業景況指数や同雇用統計といった非常に重要な米経済指標の発表が予定されている。また31日に発表される日銀の「介入実績(外国為替平衡操作の実施状況)」に注目している向きもあるようだ。

そんな今週のドル/円予想レンジは、151.50-156.50円。ドル高・円安については、先週末高値154.74円を含めた155円レベルの攻防にまずは注目。超えれば156円がターゲットに。
対してドル安・円高方向は、先週安値に当たる151.94円が最初のサポートか。あまりドル安が進行するイメージを抱いていないのだが、150円を割り込んでしまうと円急騰の2波が到来するかもしれない。

日米金融政策の発表注視、波乱含みの一週間

ドル円日足


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