トルコリラ円週報『ムーディーズによる格上げやトルコ中銀のタカ派姿勢継続がリラを下支え』（7/27朝）

〇今週のトルコ円、ムーディーズのトルコ格上げ受け週明け4.79まで上昇
〇買い一巡後は株安からのリスク回避ムード、円急騰、トルコ指標の不冴え等に週後半4.59まで下落
〇今週開催のトルコ中銀金融政策決定会合、政策金利50%据え置き、引き締め的スタンスを維持
〇トルコ円、日足の主要テクニカルポイント下抜け、地合い悪化
〇但し、ファンダメンタルズは円キャリー継続観測、トルコ実質金利上昇、海外資金流入期待がサポート
〇引き続き、トルコリラ円相場の一巡後の反発をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ（TRYJPY）：4.55ー4.85

今週のレビュー（7/22−7/26）

今週のトルコリラ円相場（TRYJPY）は、週初4.76円で寄り付いた後、（1）格付け会社ムーディーズによるトルコの格上げ（B3からB1への格上げ）を好感する形で、週明け早々に、週間高値4.79円まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、（2）グローバルな株安に伴うリスク回避ムードの高まり（新興国通貨に下落圧力）や、（3）日銀による追加利上げ観測に端を発した円キャリートレードの巻き戻し（ドル円・クロス円急落→トルコリラ円連れ安）、（4）トルコ7月消費者信頼感指数（結果75.9、前回78.3）の冴えない結果、（5）トルコ7月設備稼働率（結果75.9％、前回76.3％）の冴えない結果、（6）トルコ7月景気動向指数（結果98.7、前回100.5）の冴えない結果が重石となり、週後半にかけて、週間安値4.59円まで急落しました。

もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、引けにかけて持ち直し、本稿執筆時点（日本時間7/26午前1時00分現在）では、4.65円前後で推移しております。尚、今週開催されたトルコ中銀の金融政策決定会合では、政策金利の据え置き（50.0％）が決定されると共に、声明文においても前回同様「インフレリスクに高度な注意を払い続けることを再確認」「インフレ期待が予測範囲に収束するまで引き締め的な金融スタンスを維持」との見解が示されました。

来週の見通し（7/29−8/2）

トルコリラの対円相場（TRYJPY）は、7/3に記録した高値4.99円をトップに反落に転じると、今週後半にかけて、約4カ月ぶり安値となる4.59円（3/18以来の安値圏）まで急落しました。この間、日足ローソク足が主要テクニカルポイント（21日線、50日線、90日線、200日線、一目均衡表転換線、基準線、雲上下限、ボリンジャーミッドバンド）を軒並み下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」「弱気のバンドウォーク」も成立するなど、テクニカル的見て、地合いの悪化が警戒されます。

但し、ファンダメンタルズ的に見ると、（1）トルコリラと日本円の金利差に着目した円キャリートレードの優位性継続（引き締め姿勢を続けるトルコ中銀と、追加利上げに踏み切れない日銀との金融政策格差）や、（2）実質金利上昇に伴うリラ買い圧力（先日発表されたトルコCPI、トルコPPIはいずれも鈍化傾向を示したが、トルコ中銀は依然としてインフレ再燃への警戒姿勢を緩めず→今週もトルコ中銀会合の声明文に「インフレリスクに高度な注意を払い続けることを再確認」「インフレ期待が予測範囲に収束するまで引き締め的な金融スタンスを維持」との見解が示された他、トルコ中銀アクチャイ副総裁からも「利下げサイクルを全く検討していない」「早すぎる金融緩和は遅すぎる緩和よりも大きなリスク」とのタカ派的な発言あり→インフレ鈍化と金融引き締めの組み合わせは実質金利上昇を通じてトルコリラに上昇圧力）、

（3）外国人投資家による資金流入期待（トルコ政府・トルコ中銀の正常化政策を好感する形で外国人投資家によるトルコアセットへの資金流入が増加傾向。直近ではムーディーズがトルコの格付けをB3からB1へと引き上げた他、米債券運用大手パシフィック・インベストメント・マネジメント・カンパニーがトルコリラ建て資産の保有に引き続き積極的である旨を発言）など、トルコリラ円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の一巡後の反発をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週はトルコ7月製造業信頼感指数や、トルコ7月経済信頼感指数、トルコ6月貿易収支等が予定されております。

来週の予想レンジ（TRYJPY）：4.55ー4.85

注：ポイント要約は編集部