トルコリラWeekly トルコ中銀タカ派示すもリラは下落、まずは4.77円水準のリバウンドか(24/7/29)

円が主要通貨に対して全面高となったことからトルコリラも急落し、一時3月19日以来の水準まで下落した。

トルコリラWeekly トルコ中銀タカ派示すもリラは下落、まずは4.77円水準のリバウンドか(24/7/29)

トルコ中銀タカ派示すもリラは下落、まずは4.77円水準のリバウンドか

【先週のトルコリラ】

先週のトルコリラは、トルコ中央銀行(トルコ中銀)が政策金利50.00%を据え置き、月次インフレが持続的に鈍化するまで引き締め姿勢を維持すると表明するなどタカ派姿勢を示したが、円が主要通貨に対して全面高となったことで、下落した。

カラハン・トルコ中銀総裁が率いる金融政策委員会は、政策金利である1週間物レポ金利を50.00%で維持した。トルコ中銀は、月次インフレ率が7月に「一時的に上昇する」との見通しを示し、将来の動きについてタカ派的なガイダンスを示した。声明で「サービスインフレの高水準と粘着性に加え、インフレ期待、地政学的リスク、食料品価格がインフレ圧力を持続させている」と指摘した。

6月の消費者物価指数は、8カ月ぶりに鈍化したが、トルコ中銀が掲げる公式目標の5%を大幅に上回る水準にある。カラハン総裁は、「利下げを議論する前に今年以降のインフレ目標が達成できることを確実にしたい」と述べ、早期の緩和観測を打ち消した。

一方、為替市場では、7月30−31日の日銀金融政策決定会合での利上げ実施観測が強まったことから、日米金利差縮小への思惑で投機筋が円売りポジションの解消が加速。円が主要通貨に対して全面高となったことからトルコリラも急落し、一時3月19日以来の水準まで下落した。

トルコリラ・円(東京時間:7月22日―7月26日)※Investing.comの日足を参照
始値:4.7635円
高値:4.7942円
安値:4.5915円
終値:4.6598円

【先週と今週の重要指標】※時間は東京時間

7月23日
16時00分、7月消費者信頼感指数、前回:78.30、結果:75.90
20時00分、トルコ中銀政策金利、前回:50.00%、市場予想:50.00%、結果:50.00%
7月25日
16時00分、7月設備稼働率、前回:76.3%、市場予想:68.9%、結果:75.9%
8月1日
16時00分、7月製造業PMI、前回:47.9

※予定は変更することがございます。

【今週の見通し】

今週のトルコリラは、目立った経済指標の発表が予定されていないなか、短期的な急落に対するリバウンド優勢の地合いを想定する。

7月26日にCFTCが公表した23日時点の投機筋の円売りポジションは、差し引き10.7万枚と16日時点の15.1万枚比では4.4万枚減少した。4月30日から5月7日の3.4万枚減少を超える今年最大のポジション減少幅となった。24日から25日の円急騰を考慮すると、現時点での円売りポジションは7−8万枚まで減少しているだろう。推測通りであれば、今年1−2月水準まで投資筋の円売りポジションは減少していることから、トルコリラ一段安は回避されると想定。

テクニカル面では、日足の一目均衡表の雲下限を下放れており、下向きの転換線に頭を抑えられた格好となっている。ただ、25日に長い下影を残したことから、いったんは雲下限と100日移動平均線が位置する4.77円水準までのリバウンドが期待できそうな状況か。トレンド悪化のため、4.77円水準まで値を戻せば、その水準でのもみ合いとなろう。

なお、先週の急落相場で埋没した格好だが、米格付け会社ムーディーズはトルコの外貨建て長期債格付けを「B3 」から「B1」に引き上げた。トルコ中銀の金融政策が正常化したことや、対外ポジションの改善(経常赤字の縮小、外貨準備高の増加)などが主な理由とのこと。一方、2028年までの任期中、エルドアン大統領が高金利政策の影響で景気が悪化した場合、金融政策への圧力を再び高まるリスクも指摘しており、「エルドアン大統領リスク」がトルコ金融政策の注目点であることは間違いないようだ。

トルコ中銀タカ派示すもリラは下落、まずは4.77円水準のリバウンドか

トルコリラ円日足

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