日本当局と見られる介入で下落、リバウンドの地合いか
【先週のトルコリラ】
先週のトルコリラは、日本当局と見られる円買い介入に伴う円全面高の影響を受けて、6月5日以来の4.75円水準まで下落した。
11日に発表された米6月消費者物価指数(CPI)は前月比で上昇するとの市場予想に反して、0.1%低下したことから、米連邦準備制度理事会(FRB)が9月にも利下げを開始するとの見方が急浮上。米10年国債利回りは4.1%台まで低下し、ドル・インデックスは104.6から103.7まで低下するなどドルは主要通貨に対して売り優勢となった。
一方、米CPI発表後、円が主要通貨に対して全面高となったことから、市場では日本当局が円買い介入を3.5兆円ほど行ったとの見方が強まっている。トルコリラはこの円全面高の流れや5月鉱工業生産指数の市場予想下振れなどを受けて、4.9円台から4.7円台まで下落した。
なお、11日、カラハン・トルコ中銀総裁とシムシェキ財務相は、経済は持続的なディスインフレの局面に入りつつあるとの認識を示した。イスタンブールで開催されたJPモルガン主催イベントにて、カラハン・トルコ中銀総裁は「トルコが持続的なディスインフレの局面に差し掛かるなか、中銀は引き締まった政策スタンスを維持する」と表明。一方、シムシェキ財務相は同じイベントで、よりバランスが取れて持続可能な成長に向けた「構造改革」の一環として、徴税の近代化と支出の見直しを進めると語った。
シムシェキ財務相は、トルコ産業・企業家協会(TUSIAD)の会合で、経済はディスインフレの道を歩み始めているとし、インフレ率は2024年末には40%を下回る見通しとも語った。
トルコリラ・円(東京時間:7月8日―7月12日)
※Investing.comの日足を参照
始値:4.9177円
高値:4.9380円
安値:4.7523円
終値:4.7800円
【先週と今週の重要指標】
※時間は東京時間
7月10日
16時00分、5月失業率、前回:8.5%、結果:8.4%
16時00分、5月鉱工業生産指数(前月比)、前回:−5.0%、市場予想:3.7%、結果:1.7%
16時00分、5月鉱工業生産指数(前年比)、前回:−0.7%、市場予想:2.5%、結果:−0.1%
7月12日
16時00分、5月経常収支、前回:−54.4億ドル、市場予想:−14.0億ドル、結果:−12.4億ドル
※予定は変更することがございます。
【今週の見通し】
今週のトルコリラは、日本当局によると見られる円買い介入に伴う下落に対するリバウンドを試す展開となりそうだ。5月鉱工業生産指数が市場予想を下振れたが、前月よりは回復した。市場予想が強すぎたとの見方もでき、影響は限定的と考える。
先週のカラハン・トルコ中銀総裁とシムシェキ財務相の発言は、トルコ経済が順調に回復していることを対外的にアピールするポジティブな内容だったと考える。昨年6月以降、エルドアン大統領が財政政策や金融政策面で表立った発言及び方針を示すことがめっきり減ったことも、トルコ金融当局への信認の現れだろう。
今週は目立った経済指標の発表が予定されていないが、一時的なトルコリラ安に対する反発が先行すると想定する。テクニカル面は、日足の一目均衡表の雲下限水準で下げ止まった。リバウンドの地合いとなった場合、雲上限が位置する4.82円水準や50日移動平均線が位置する4.85円水準が意識されよう。
トルコ経済の方向性に対する懸念などが下落要因ではないと考えるので、「当局による介入効果は長続きしない」という見方のもと、リバウンドの地合いに期待したい。
トルコリラ円日足
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今週のトルコリラ円は、週末にかけて下げ足を広げましたが一目均衡表雲下限に確りとサポートされたこと等を踏まえると地合いは崩れていないと判断できます。
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