『上値トライ失敗後に急落するも下値は堅い。一巡後の反発に期待』
〇今週のトルコ円、週初4.94まで上昇後、週末にかけ4.75まで急落
〇トルコ5月鉱工業生産の大幅悪化、ドル円の大暴落等が背景
〇テクニカルには一目均衡表雲下限に確りとサポートされ、地合い崩れず
〇円キャリー継続期待、トルコ実質金利上昇と外国資金流入期待、米早期利下げ観測再燃等がサポート
〇引き続き、リラ買い円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):4.65ー4.95
今週のレビュー(7/8−7/12)
今週のトルコリラ円相場(TRYJPY)は、週初4.91円で寄り付いた後、早々に週間高値4.94円まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(1)7/3に記録した約7ヵ月ぶり高値4.99円を背にした戻り売り圧力や、(2)トルコ5月鉱工業生産(結果▲0.1%、予想+2.6%)の大幅悪化、(3)ドル円相場の大暴落(米CPIの伸び率鈍化+政府・日銀による為替介入観測+ドル円ロング勢の大量清算の組み合わせで、ドル円が161円台後半から157円台前半へと大暴落→トルコリラ円連れ安)が重石となり、週末にかけて、週間安値4.75円まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間7/13午前4時30分現在)では、4.77円前後で推移しております。尚、今週発表されたトルコ5月失業率(結果8.4%、前回8.5%)は前回比改善、トルコ5月経常収支(結果12.4億ドル赤字、予想15.0億ドル赤字)についても予想比良好な結果が示されましたが、市場の反応は限られました。
来週の見通し(7/15−7/19)
今週のトルコリラ円相場(TRYJPY)は週末にかけて下げ足を広げましたが、日足ローソク足が一目均衡表雲下限に確りとサポートされたことや、ダウ理論の上昇トレンドが継続していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは崩れていない(今回の急落はあくまでドル円の下落に連れた一時的なポジション調整であり一巡後に反発する可能性が高い)と判断できます。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)トルコリラと日本円の金利差に着目した円キャリートレードの継続期待や、(2)実質金利上昇に伴うリラ買い圧力(先週発表されたトルコのCPIおよびPPIは伸び率が大幅鈍化→トルコ中銀カラハン総裁とシムシェキ財務相は今週7/11に「経済は持続的なディスインフレ局面に入りつつある」「インフレ率は2024年末には40%を下回る見通し」と発言→加えて、トルコ中銀カラハン総裁は7/12に市場で燻る早期利下げ観測を否定→トルコリラの実質金利に上昇圧力→トルコリラ買い)、(3)外国人投資家による資金流入期待(トルコ政府・トルコ中銀の正常化政策を好感する形でトルコアセットへの資金流入が増加傾向。格付け各社による格上げ実施やFATFによるトルコの「グレーリスト」からの除外決定もこうした流れを後押し)、
(4)中国によるトルコ投資の拡大期待(今週は中国の電気自動車メーカー大手のBYDが「トルコに10億ドルを投じて年間15万台の生産能力を有する工場を建設することでトルコ政府と合意した」旨を発表)、(5)米FRBによる早期利下げ観測の再燃(米CPIの伸び率鈍化を受けて、9月FOMCでの利下げ織り込み度合が急上昇→米長期金利急低下→トルコから米国への資金流出圧力後退)など、トルコリラ円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。以上を踏まえ、当方では引き続き、リラ買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は7/16に予定されているトルコ6月財政収支や、7/19に予定されているトルコ6月中央政府債務に注目が集まります。
来週の予想レンジ(TRYJPY):4.65ー4.95
注:ポイント要約は編集部
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