トルコリラ円見通し ドル円の急落とドル高リラ安で12日午前に4.80円を割り込む
〇トルコ円、ドル円の急落により7/11夜安値4.80を付けてから下げ渋るも、7/12午前序盤4.78へ一段安
〇対ドル、7/11は概ね32.96から32.66の取引レンジ、5日ぶりの反発となるも7/12午前32.97へ再び下落
〇小売売上高は前月からやや改善したものの3か月連続でマイナス圏、外貨準備高は増加
〇4.84超えからは、4.86前後への上昇を想定する
〇4.78割れからは、4.76から4.75前後への下落を想定する
【概況】
トルコリラ円の7月11日は概ね4.92円から4.80円の取引レンジ、12日早朝の終値は4.83円で前日終値の4.92円から0.09円の円高リラ安だった。
7月11日夜の米6月CPIが市場予想よりも鈍化して前月比がマイナスに転じたことをきっかけとして米長期債利回りが低下して為替市場はドル高となりドル円が急落したが、160円を割り込んでから売りの連鎖反応でパニック的な急落商状に陥って11日夜に157.42円をつけ、11日未明高値161.80円からは4.38円の下落幅となった。ユーロやポンド等の上昇規模を超える円高となり、クロス円全般が急落したために市場介入があったのではないかとの声も聞かれている。12日午前序盤に159円台中盤へ切り返してから再び158円を割り込むなど乱調な展開が続いている。
トルコリラ円はドル円の急落により11日夜安値で4.80円を付けてから下げ渋っていたが、12日午前序盤にかけてドル円が乱高下する中でドル高リラ安に圧迫されて4.78円へ一段安している。ドル円と同様に下落規模は4月29日の市場介入時に近い動きであり、市場心理が落ち着いてドル円が切り返しに入ればトルコリラ円も押し目形成として上昇再開ヘ進む可能性があるが、4月29日の介入に続いて5月2日早朝にも追撃の介入が行われた経緯もあるため、今回も市場介入ではなかったとの見方で安心感が持てないうちはもう一段安値へ進みかねず、ドル高リラ安が勢い付く場合はトルコリラ円の下落規模がドル円の下落規模に勝る可能性もあると注意する。
【対ドルでトルコリラは5日ぶり反発するも12日午前に反落、最安値近辺での推移続く】
ドル/トルコリラの7月11日は概ね32.96リラから32.66リラの取引レンジ、12日早朝の終値は32.80リラで前日終値の32.86リラから0.06リラのドル安リラ高だった。
6月28日に33.04リラを付けて取引時間中の史上最安値を更新し、日足終値としては6月26日終値32.92リラを最安値としたところからリラ高へ進んだものの、7月3日高値32.30リラから再びリラ売りの流れとなり、7月5日から10日まで4日連続のドル高リラ安としていた。11日は安値更新を回避して5日ぶりの反発となったものの、12日午前に32.97リラへ再び売られているために7月3日高値以降のリラ安基調は続いている印象だ。取引時間中及び終値ベースでの史上最安値を更新する場合は来週もリラ売りが勢い付く可能性もあると注意する。
【小売売上高は低調、外貨準備高は増加】
7月11日に発表されたトルコの5月小売売上高は前月比0.2%減となり4月の1.9%減からはやや改善したものの3か月連続でマイナス圏に留まった。前年同月比は5.8%増で4月の10.2%増を下回って今年2月の25.8%からは3か月連続の低下となったが、2023年1月以降で最低となりトルコ景気の低調さを示した。
トルコ中銀が発表した週次の外貨準備高は7月5日時点のグロスで897.3億ドルとなり6月28日時点の848.3億ドルから増加し、ネットでは435.6億ドルとなり6月28日時点の394.0億ドルから大幅に増加した。
グロスの準備高は昨年末に975.6億ドルまで増加したところをピークとして今年5月に649.7億ドルまでいったん減少したものの再び増加に転じてこの間の最高を更新している。ネットでは6月に475.2億ドルまで増加して2023年6月のマイナス57億ドル以降の最高としてから前週の394億ドルまでいったん減少していたものの再び増加したことで中銀の準備高増強姿勢は継続していると思われる。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、7月10日夕刻に続落したところから11日早朝に強気転換目安とした4.93円まで戻したため、11日午前時点では10日夕安値を直近のサイクルボトムとしたが、すでにサイクルトップを付けた可能性もあるとして10日夕安値割れからは弱気サイクル入りとした。
7月11日夜に急落して12日午前も続落のため11日早朝高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして15日午後から17日夕にかけての間への下落を想定する。乱調な展開のため4.85円超えからは強気転換注意として4.87円前後への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では7月11日夜の急落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落したため遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下落再開とする。
60分足の相対力指数は7月11日夜に30ポイントを割り込んだ後も40ポイント以下にとどまっている。50ポイント以下での推移中は一段安余地ありとし、50ポイント超えからは反騰入りの可能性ありとみて60ポイント前後への上昇を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.78円を下値支持線、4.84円を上値抵抗線とする。
(2)4.84円超えからは4.86円前後への上昇を想定するが、4.85円以上は反落注意としてその後に4.82円を割り込むとこから下落再開とみる。
(3)4.78円割れからは4.76円から4.75円前後への下落を想定する。4.75円以下は反騰注意とするが、4.84円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
7月12日
16:00 5月 経常収支 (4月 -52.9億ドル)
7月16日
17:00 6月 財政収支 (5月 2194.1億リラ)
7月18日
20:30 週次 外貨準備高 7月12日時点 (7月5日時点 897.3億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 7月12日時点 (7月5日時点 435.6億ドル)
7月19日
23:30 6月 中央政府債務 (5月 7兆6410億リラ)
注:ポイント要約は編集部
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