ご祝儀相場終了か、中銀会合はノーサプライズを予測するも50日線までの調整を警戒
【先週の南アフリカ・ランド】
先週のランドは、他の主要通貨同様、日本当局と見られる円買い介入の影響を受けて、対円では下落する展開となった。
11日に発表された米6月消費者物価指数(CPI)は、前月比で上昇するとの市場予想に反して、0.1%低下したことから、米連邦準備制度理事会(FRB)が9月にも利下げを開始するとの見方が急浮上。米10年国債利回りは4.1%台まで低下し、ドル・インデックスは104.6から103.7まで低下するなどドルは主要通貨に対して売り優勢となった。
一方、米CPI発表後、円が主要通貨に対して全面高となったことから、市場では日本当局が円買い介入を3.5兆円ほど行ったとの見方が強まっている。12日も円高が強まる場面が見られたことから、ランドは11日に8.9846円と7月1日高値を上回った後に下落。8.7円台まで押し下げられた。11日に発表された5月製造業生産高が市場予想を下回り前月比で大幅に悪化したことも影響した。
ランド・円(東京時間:7月8日―7月12日)
※Investing.comの日足を参照
始値:8.8438円
高値:8.9846円
安値:8.7471円
終値:8.7930円
【先週と今週の重要指標】
※時間は東京時間
7月11日
20時00分、5月製造業生産高(前月比)、前回:5.2%、市場予想:−2.0%、結果:−3.2%
7月17日
20時00分、5月小売売上高(前年比)、前回:0.6%
7月18日
未定、南ア中銀政策金利、前回:8.25%、市場予想:8.25%
※予定は変更することがございます。
【今週の見通し】
今週のランドは、連立政権スタートというご祝儀相場が続いていたが、日本当局と見られる円買い介入によって水を差された格好となった。そもそも、民主化した南アフリカ史上初の連立政権ということもありご祝儀相場は長く続かないと見ていたので、日本当局による円買い介入観測という外的要因で上げ一服も仕方ない。ランドは仕切り直しの地合いと考える。
18日に、南アフリカ準備銀行(SARB、南ア中銀)が金融施策会合を開催し政策金利を発表する。市場では7会合連続の金利据え置き(8.25%)が見込まれており、前回の「インフレリスクは、現在、均衡しているとの認識」といった声明内容もさほど変わらないと見られている。5月消費者物価指数の伸び率が前月比で鈍化し、前年比では5.2%増と市場予想をやや下回った。また、5月生産者物価指数の伸び率も前月比では大幅に鈍化し、前年比では4月の5.1%増を大幅に下回る4.6%増と、足元のインフレは鈍化傾向にある。
5月末の前回会合で、目標とする4.5%のインフレ率のターゲットを来年第2四半期と3月時点の来年末から変更したばかりだが、足元のデータを受けて、インフレ率のターゲットを再度前倒しする可能性はある。もっとも連立政権がスタートしたばかりなので、諸々の経済政策などを見極めたいとするムードもSARBにはあるため、再度の変更の可能性は低いと見る。
テクニカルでは、7月1日高値を上回った後に利益確定の流れが強まり、日足の一目均衡表の転換線を下回った。基準線が上向いていることからトレンドは弱まっていないと考えるが、いったん、50日移動平均線が位置する8.6円水準まで下値を試す可能性も残っている。ご祝儀相場は終わったことから、利益確定の意識が強まる展開を意識しておきたい。
南アフリカランド円日足
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