ユーロ高トレンドとなるもユーロ円が上値を抑える
〇先週のユーロドル、週間レンジ105pipsにとどまり鈍い動き続く
〇今週のECB理事会、予想は現状維持で焦点は9月理事会での利下げに対して言及があるかどうか
〇テクニカルには6月高値1.0915レベルを上抜ければ一段高の動きが視野に
〇今週は1.0840レベルをサポート、1.0975レベルをレジスタンスとする週を見る
〇ユーロ円、6月安値と7月高値の半値押し171.46で下げ止まり170円の大台は簡単には割らないか
〇170円の大台をサポート、レートチェックが入った173円をレジスタンスとする展開を考える
今週の週間見通しと予想レンジ
先週のユーロはフランス総選挙後の動きが一巡し、組閣には時間がかかるもののマクロン大統領が描いた極右政権阻止は成功したことで、首相が決まるまではオリンピックムードということになりそうです。またドル円は介入の影響で大きく動いたものの、ユーロドルは米ドルが下げた動きでユーロ高とはなったものの週間レンジは105pipsにとどまり、相変わらず鈍い動きを続けています。
そうした中で主要国の先頭を切って今週はECB理事会が開かれます。6月に利下げに動いたことから今回はECB関係者、市場参加者ともに現状維持を見ているため、焦点は9月理事会での利下げに対して何か言及があるのかという点です。前回の理事会以降、ラガルドECB総裁をはじめECB関係者からはインフレの改善に対する言及も多く、インフレが完全に収まったとは言えないものの現在の利下げの影響を見ながら9月理事会で考えると、具体的な緩和への言及は無いように思えます。
米国の経済指標がCPIをはじめ弱い数字が増えてきたことからFRBが9月に利下げに動く可能性が高まってきたことを考えると、ECBも9月に追加利下げに動きそうではありますが、言及しないであろうとの見方がユーロ高のひとつの要因となっていたと見てもよいでしょう。今週はFRB関係者の発言が多いため、ドルの動きがどうなるかもありますが、先週金曜にはユーロ円のレートチェックも入ったため、様々な要因がありユーロドルの見通しを難しくさせています。
テクニカルにはいつもの日足チャートをご覧ください。
ユーロドルは中期的な三角もちあい(青)となっていましたが、先週木曜の上抜けをトライし明確に抜けたとまでは言えませんが、6月高値1.0915レベルを上抜ければ一段高の動きが視野に入ってきます。いっぽうで4月安値からの上昇N波動(ピンク)の78.6%エクスパンションが1.0912となっていることも重なって1.09超えの水準はいったん引っかかりやすい水準でもあります。
ECB理事会を前に若干の調整を挟み、ECB理事会で9月緩和についての言及が無ければ上昇N波動の100%エクスパンション1.0980が3月高値と一致することから考えて、次のターゲットとして意識される水準になってくると考えられます。ここでは弱めの押しを挟んでからの一段高というシナリオに沿って、今週は1.0840レベルをサポートに1.0975レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。
今週のコラム
今週は史上最高値を更新したこともあってレートチェックが入ったユーロ円を見ておきましょう。
ユーロ円は175.43レベルの高値をつけた後に介入を受けて大きく下落、その後ユーロ円でのレートチェックが入ったことで、これまでと違って安易にユーロ円も買えないという流れになっています。それでも現状は6月安値と7月高値の半値押し171.46で下げ止まっていることから、ここから更に下がっても170円の大台は簡単には割らないという見方で良いかと思います。
当面は170円の大台をサポートに、レートチェックが入った173円をレジスタンスとする展開を考えておきます。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
7月15日(月)
18:00 ユーロ圏5月鉱工業生産
7月16日(火)
18:00 ドイツ7月ZEW景況感
18:00 ユーロ圏7月ZEW景況感 ☆
18:00 ユーロ圏5月貿易収支
7月17日(水)
15:00 英国6月CPI ☆
18:00 ユーロ圏6月CPI
7月18日(木)
15:00 英国6月失業率
18:00 ユーロ圏5月建設支出
21:15 ECB理事会 ☆
21:45 ラガルドECB総裁会見 ☆
7月19日(金)
08:01 英国7月消費者信頼感
15:00 ドイツ6月PPI
15:00 英国6月小売売上高
前週のユーロレンジ
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
7月8日(月)
ユーロドルはフランス総選挙結果で左派連合が第1党となり政局が流動的となることを嫌気した売りが先行したものの、極右の政権とは異なり連立政権はまとまりやすいとの思惑もあった様子で、すぐに買い戻され金曜高値圏でのもみあいを続けました。NY朝方に1.0845レベルまで買われた後にやや押して引けました。
7月9日(火)
ユーロドルはドル円同様にユーロ安(ドル高)の流れとなりましたが、終日のレンジはわずか28pipsにとどまりました。フランスの連立政権の行方がわかるまではユーロ買いに動きにくい状況が続くという見方が強まった結果でした。
7月10日(水)
ユーロドルはドル円とともにユーロ円が高値を更新する動きとなったことでじり高、ただ終日のレンジはわずか21pipsとレンジを狭め全く動意の見られない1日でした。
7月11日(木)
ユーロドルはNY市場まで緩やかな上昇となっていましたが、CPIを受けたドル安の動きから一時1.0900レベルの高値をつけ、引けにかけては1.08台半ばへと押す動きが見られました。ユーロ円は最高値を175.43レベルまで伸ばし、その後介入を受けて171円台へと急落しました。
7月12日(金)
ユーロドルは東京市場では全く動かず、ユーロ円はレートチェックの影響で前日安値をわずかに下回りました。欧州市場に入り全般的にドルの上値が重たい流れからユーロドルはじり高の動きとなり、NY市場で前日高値を上抜けると仕掛けっぽいユーロ買いも入り1.0911レベルまで上昇後、そのまま高値圏での引けとなりました。
注:ポイント要約は編集部
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