『トランプリスクと南ア中銀のハト派化を受けて約1カ月ぶり安値圏へ急落』
〇今週の南ア円、週初の高値8.80から週後半にかけ一時8.53まで下落
〇トランプ氏狙撃後の新興通貨安、株・金・プラチナの下落、南ア政策決定会合のハト派な結果等が背景
〇週末持ち直すも戻り鈍く、8.60近辺で越週
〇南ア円、21日線、転換線、基準線等を下抜けるも、下方に一目均衡表の厚い「雲」、地合い崩れず
〇ファンダメンタルズも円キャリー優位性維持、政局安定化期待、南ア経済復調期待がサポート
〇南ア中銀予測のインフレ鈍化シナリオ実現の可能性は低いと思われ、南ア円の一巡後の反発を予想
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):8.50ー8.75
今週のレビュー(7/15−7/19)
今週の南アフリカランド円相場(ZARJPY)は、週初8.79円で寄り付いた後、早々に週間高値8.80円まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(1)トランプ前大統領の狙撃事件に端を発したリスク回避ムードの高まり(トランプ氏再選確率上昇→米中対立激化懸念台頭→中国と経済的な結び付きの強い南アフリカにも影響が及ぶとの警戒感浮上)や、(2)南ア主要株価指数(ヨハネスブルグ40)の大幅下落、(3)南アフリカの主要産品である金・プラチナ価格の急反落、(4)南ア中銀金融政策決定会合のハト派的な結果(南ア中銀は政策金利を据え置きつつも、政策委員会メンバー6名の内、2名が25bpの利下げを主張→全会一致とならなかったのは昨年9月以降で初→南ア中銀による年内利下げ観測浮上)が重石となり、週後半にかけて、週間安値8.53円(6/14以来、約1カ月ぶり安値圏)まで下落しました。週末にかけて持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間7/20午前0時40分現在)では、8.60円前後で推移しております。
来週の見通し(7/22−7/26)
南アランドの対円相場(ZARJPY)は、7/11に記録した高値8.98円をトップに反落に転じると、今週後半にかけて、約1カ月ぶり安値となる8.53円まで急落しました(この間、市場参加者に意識されていた21日移動平均線、一目均衡表転換線、一目均衡表基準線、ボリンジャーミッドバンドを下方ブレイク)。但し、ダウンサイドから一目均衡表の分厚い雲が切り上がってくることや、強い買いシグナルを示唆する「強気のパーフェクトオーダー」「一目均衡表三役好転」「ダウ理論の上昇トレンド」が継続点灯していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは崩れていない(トレンド転換は生じていない)と判断できます。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)南アフリカランドと日本円の金利差に着目した円キャリートレードの優位性継続や、(2)南アフリカの政局安定化期待(外国人投資家による資金流入に繋がるとの期待感)、(3)南ア経済の復調期待(今週発表された南ア5月小売売上高は前年比+0.8%と、市場予想の前年比+0.6%を上回る良好な結果)など、南アランド円相場の反発を期待させる材料が揃っています。今週は南ア中銀イベントを経て、早期利下げ観測が高まりましたが、現実的には米FRBに先行して南ア中銀が利下げに転じることは難しく、また、インフレについても、直近の数字を見る限り、南ア中銀が予測しているような鈍化シナリオが実現する可能性は低いと見られることから、当方では引き続き、南アランド円相場の一巡後の反発をメインシナリオとして予想いたします(南ア中銀の早期利下げ観測は早晩解消される公算大)。
尚、来週は7/24に予定されている南ア6月消費者物価指数と、7/25に予定されている南ア6月生産者物価指数に注目が集まります。市場予想を上回る結果となれば、上述で示した通り、南アフリカのインフレ懸念残存→南ア中銀による早期利下げ観測後退の経路で、南アランド買いに繋がりそうです。
来週の予想レンジ(ZARJPY):8.50ー8.75
注:ポイント要約は編集部
南アフリカランド円日足
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