『史上最安値圏で上値重く推移。トルコ中銀による早期利下げ観測もリラの重石』
○今週のトルコ円、4ー6月期GDPの好結果などに、週明け4.35円まで上昇
○トルコ中銀の利下げ観測が強まるなどし、週末にかけ史上最安値4.16円まで急落
○トルコ円、強い売りシグナルが複数点灯する等、地合いは極めて弱い
○ファンダメンタルズも、地政学リスクやトルコ経済の先行き不透明感等トルコ円相場下落材料が増加
○来週の予想レンジ(TRYJPY):4.05ー4.35
今週のレビュー(9/2−9/6)
今週のトルコリラ円相場は、週初4.29円で寄り付いた後、(1)トルコ4ー6月期GDP(結果+0.1%、予想▲0.5%、※前期比)の市場予想を上回る結果(※前年比ベースでは市場予想を下回る結果)や、(2)トルコ8月製造業PMI(結果47.8、前回47.2)の前月比改善、(3)株式市場の堅調推移(リスク選好ムード)が支援材料となり、週明け早々に、週間高値4.35円まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(4)上記1のトルコ4ー6月期GDPの前年比の数字に頭打ち感が見られたこと(金融引き締めの影響が顕在化し始めたとの解釈)や、(5)トルコ8月消費者物価指数(結果+51.97%、予想+51.86%、前回+61.78%)の伸び率鈍化、(6)トルコ8月消費者物価コア指数(結果+51.56%、予想+50.10%、前回+60.23%)の伸び率鈍化、(7)トルコ8月生産者物価指数(結果+35.75%、前回+41.37%)の伸び率鈍化、
(8)上記5、6、7を背景としたトルコ中銀による利下げ観測(市場では11月や12月の会合で利下げに踏み切るとの見方が台頭→インフレ鈍化は実質金利上昇を通じてトルコリラの支援材料になり得るとの見方もあるが、今週は上記4を背景にトルコ中銀が早期利下げに追い込まれるとの見方が広がったことでリラ売り圧力に拍車がかかる展開)、(9)ドル円相場の大幅下落(トルコリラ円連れ安)が重石となり、週末にかけて、史上最安値4.16円まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間9/7午前2時10分現在)では、4.19円前後で推移しております。尚、今週はユルマズ副大統領より、2025ー2027年の中期経済計画が発表され、2026年までにインフレ率を一桁台に引き下げ、2027年までに経済成長率を5%に引き上げる方針が示されましたが、市場の反応限られました。
来週の見通し(9/9−9/13)
トルコリラの対円相場は史上最安値圏での冴えない動きが続いています。日足ローソク足が主要テクニカルポイントの下側で推移していることや、強い売りシグナルを示唆する「弱気のパーフェクトオーダー」「一目均衡表三役逆転」「ダウ理論の下落トレンド」が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは極めて弱いと判断できます。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)エルドアン大統領による親ハマス路線の明確化とそれに伴う地政学的リスクの高まり(西側諸国との関係悪化懸念)や、(2)上記1を背景とした外国人投資家による資金流出圧力、(3)トルコ経済の先行き不透明感(1年超に亘る急ピッチな金融引き締めの影響でトルコ経済に頭打ち感が出始めたとの警戒感)、(4)トルコ中銀による早期利下げ観測台頭(上記3で示した通り、トルコ経済には既に頭打ち感が出てきているため、トルコ中銀による利下げ開始が後手に回っているのではないかとの警戒感)など、トルコリラ円相場の下落を連想させる材料が増えつつあります。来週予定されているトルコ7月失業率や、トルコ7月鉱工業生産が冴えない結果を示す場合には、上記3、4の影響でもう一段下落圧力が加わるシナリオも想定されるため、当方では引き続き、トルコリラ円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします。
来週の予想レンジ(TRYJPY):4.05ー4.35
注:ポイント要約は編集部
トルコ円日足
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