円高収まらず4営業日続落、終値で史上最安値を更新
〇トルコリラ円、4営業日続落、9/7早朝終値は4.18、週間では8/30終値4.29から0.11の円高リラ安
〇米雇用統計後、4.18に下落後に4.23へ上昇、深夜に4.17へ一段安する波乱
〇円高ドル安基調に異変ない限り、戻り売り有利の展開で推移しやすいか
〇対ドル、9/6は概ね34.06から33.71の取引レンジ、リラ安一服で1ドル34リラ挟んだ持ち合い
〇中期経済計画発表、2026年までにインフレ一桁目指す、フィッチはトルコ格付け引き上げ
〇4.21前後は戻り売り有利とし、4.21超えから続伸の場合は4.22前後試しとその後の反落を想定
〇4.16割れからは4.14、4.12順次試して行く下落を想定、4.20以下で推移中は安値試し続けやすい
【概況】
トルコリラ円の9月6日は概ね4.24円から4.17円の取引レンジ、7日早朝の終値は4.18円で前日終値の4.22円から0.04円の円高リラ安だった。
9月3日からはドル円と共に4営業日続落となり、8月28日午前の一時的急落時に付けた取引時間中の史上最安値4.16円割れには至らなかったものの4.17円へ下落して最安値に迫り、日足の終値ベースでは史上最安値を更新した。週間では8月30日終値4.29円から0.11円の円高リラ安だった。
9月6日夜の米雇用統計で非農業部門就業者数が予想を下回り直近2カ月分が大幅下方修正される一方で失業率が改善してインフレ指標の平均時給伸び率が予想を上回る加速となり、9月FOMC(9/17、18)における利上げ幅への思惑が交錯した。ドル円は発表直後の142円割れから143.89円へ反騰したものの早々に141.76円へ一段安する乱高下となり、トルコリラ円は4.18円へ下落後に4.23円へ上昇し、深夜に4.17円へ一段安する波乱となった。
ドル円もトルコリラ円も9月5日夜の反発時高値には届かずに右肩下がりの展開で9月3日以降の安値を更新しており、円高基調が厳しくなる中でトルコリラ円も最安値更新を繰り返す流れに陥っている印象だ。
今週は米CPIに注目が集まるが、予想以上に鈍化して他の米経済指標も弱ければ9月大幅利下げ期待及び年末への3会合連続利下げ期待で円高ドル安が勢い付く可能性もあるため、トルコリラ円は円高ドル安基調に異変ない限り戻り売り有利の展開で推移しやすいと思われる。
【ドル/トルコリラはリラ安一服、1ドル34リラを挟んだ持ち合い】
ドル/トルコリラの9月6日は概ね34.06リラから33.71リラの取引レンジ、7日早朝の終値は33.95リラで前日終値の33.92リラからは0.03リラのドル高リラ安だった。
8月28日に34.41リラへ取引時間中の最安値を大幅に更新した後は最安値更新を回避し、終値ベースでは8月27日から30日まで1ドル34リラ台で推移して8月30日終値34.07リラを最安値としたが、9月2日以降は安値で繰り返し34リラ台を覗いたものの終値で1ドル34リラを下回っての推移を続けた。
週間では8月30日終値34.07リラから0.12リラのドル安リラ高で前週までの5週連続での史上最安値更新が途切れた。
【トルコ中期経済計画、2026年までにインフレ一桁を目指す】
トルコのユルマズ副大統領は9月5日に中期経済計画(2025-27年)を発表した。同計画では2026年までにインフレ率を一桁台に引き下げて2027年までにGDPを5%へ引き上げるとした。
ユルマズ氏は「計画の主目標はインフレ率を徐々に1桁台まで低下させ、ディスインフレのプロセスに沿って潜在成長率を向上させることにある」とし、構造改革を通じ生産性に基づく投資・雇用・生産・輸出の増加を目指し、金融・財政・所得政策の強力な協調を実現してインフレ対策に優先的に取り組むとした。
インフレ率見通しを2024年の41.5%、2025年を17.5%、2026年を9.7%とし、GDP伸び率の見通しは2024年を3.5%、2025年を4.0%、2027年を5.0%とした。観光収入見通しは2024年の559億ドルから2027年に741億ドルへ拡大させ、輸出は2024年の2556億ドルから2027年に3196億ドルへ増加させるとした。
【フィッチがトルコ格付けを引き上げ】
大手格付け機関のフィッチ・ レーティングスは9月6日にトルコの長期外貨建て発行体デフォルト格付け(IDR)を「B+」から「BB-」に引き上げ、見通しを安定的とした。実質金利のプラス、経常収支赤字の低さ、外貨建て預金の秩序ある緩やかな減少が引き上げの根拠とされた。フィッチは今年3月8日に「B」から「B+」に格付けを引き上げて見通しを「安定的」から「ポジティブ」に修正していた。
格付け動向では、S&Pが5月3日にトルコの格付けを「B」から「B+」に引き上げ、7月19日にはムーディーズが「B3」から「B1」に引き上げている。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラの概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、9月5日夜に4.25円までいったん戻したために6日午前時点では5日午前安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとしたが、トップ形成期を5日夜高値も含めて10日午前にかけての間とし、5日午前安値割れからは新たな弱気サイクル入りとした。
9月6日夕刻に5日午前安値を割り込み、6日夜の乱高下では5日夜高値に届かずに一段安したため5日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして10日午前から12日午前にかけての間への下落を想定する。乱調な展開が続く可能性もあるので4.22円超えからは強気転換注意とするが、5日夜から6日夜へ高値を切り下げた右肩下がりの展開範囲では戻り一巡後で反落しやすいとみる。
60分足の一目均衡表では9月6日の乱高下後に一段安したために遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落しているので遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下げ再開とし、強気転換は先行スパン突破からとする。
60分足の相対力指数は9月6日夜の上昇時に60ポイントに迫ったもののその後に40ポイントを割り込み50ポイント以下で週を終えたためまだ一段安余地ありとし、35ポイント割れからは20ポイント台前半への低下を想定する。強気転換には50ポイントを超えて続伸する必要があると思われる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.16円を下値支持線、4.21円を上値抵抗線とする。
(2)4.21円前後は戻り売り有利とし、4.21円超えから続伸の場合は4.22円前後試しとその後の反落を想定する。
(3)4.16円割れからは4.14円、4.12円を順次試して行く下落を想定する。4.15円以下は買い戻しも入りやすいとみるが、4.20円以下での推移が続く内は10日も安値試しを続けやすいとみる。
【当面の主な予定】
9月10日
16:00 7月 鉱工業生産 前月比 (6月 -2.1%)
16:00 7月 鉱工業生産 前年同月比 (6月 -4.7%)
16:00 7月 失業率 (6月 9.2%)
9月11日
16:00 7月 小売売上高 前月比 (6月 1.7%)
16:00 7月 小売売上高 前年同月比 (6月 8.6%)
9月12日
16:00 7月 経常収支 (6月 +4.1億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 9月6日時点 グロス (8月30日時点 893.3億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 9月6日時点 ネット (8月30日時点 408.9億ドル)
9月13日
16:00 9月 トルコ中銀ビジネスサーベイ(年末CPI、ドル/トルコリラ予想集計)
9月16日
17:00 8月 財政収支 (7月 967.8億リラ)
9月19日
20:00 トルコ中銀 政策金利・週間レポレート (現行 50.0%、予想 50.0%)
20:30 週次 外貨準備高 9月13日時点
注:ポイント要約は編集部
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