ドル円 ドル売りは継続の公算、日米金融政策を注視(週報9月第2週)

先週のドル/円相場はドルが一段安。週末には8月安値141.68円に迫る局面も。

ドル円 ドル売りは継続の公算、日米金融政策を注視(週報9月第2週)

ドル売りは継続の公算、日米金融政策を注視

〇先週のドル円、強保ち合いの後、週央以降はドル売り・円買いに傾斜
〇146円レベルを割り込むと週末にかけ緩やかに下落、週末に141.75を示現
〇米雇用データの悪化、日銀高田委員の利上げ発言が背景
〇市場は来週実施される日米の中銀会合を注視
〇今週は米8月CPI、9月ミシガン大学消費者信頼感指数等の発表予定
〇ドル高・円安方向、短時間足のチャートでは144円レベルをめぐる攻防にまずは注目か
〇ドル安・円高方向、先週安値を含めた141.70前後かがなり強いサポート
〇今週のドル円予想レンジ:140.00-144.50

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場はドルが一段安。週末には8月安値141.68円に迫る局面も。

前週末には、防衛省から「中国海軍測量艦が8月31日に鹿児島沖で領海侵入」との発表が聞かれ思惑が広がるなか、実施されたドイツ東部州議会選で、「ショルツ首相率いる連立与党が敗北」などと伝えられ、こちらも物議を醸していたようだ。
そうした状況下、ドル/円は146.20円前後で寄り付いたのち、しばらくは強保ち合い。一連の過程のなかで週間高値の147.20円を示現している。しかし、週央以降は逆にドル売り・円買いに傾斜。146円レベルを割り込むと、そのまま週末にかけ緩やかな右肩下がりの展開に。145円、144円、143円と次々に節目を割り込むと週末はついに141円台へ。週末NYは小戻した142.30円前後で取引を終え越週となった。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「米雇用情勢」と「日本の金融政策」について。
前者は、先週の為替市場が連日発表される米雇用データをめぐり右往左往。3日に発表された8月のISM製造業景況指数に含まれる同雇用指数が回復傾向を示したものの、翌4日の7月のJOLT雇用動態調査、そして5日発表された7月のADP雇用統計と連日で失望を誘う数字だった。ドルの売り要因に。そうしたなか、週末6日にいよいよ真打ちともいえる8月の雇用統計が発表されたが、こちらも予想を裏切る結果に。非農業部門雇用者が悪化したうえ、ただでさえ減速していた前月分のデータが、さらに下方修正されたことも失望を誘っていたことは間違いない。ドル/円は1ヵ月ぶりの安値でもある週間安値141.75円を示現している。一方、一連の米雇用データを受け、週末にはウォラーFRB理事から「適切であれば大幅な利下げを提唱する」、「データが連続利下げを裏付けるなら、それが適切だろうと私は考えている」−−などとした弱気コメントも聞かれていた。

対して後者は、日本に金融政策について、ここ最近は植田日銀総裁からのタカ派発言が目に付くなか、5日東京時間に実施された高田日銀審議委員の講演が話題に。「当面は株式・為替動向を注視し見極めが必要」と金融市場への配慮を見せつつも、「価格転嫁の継続など前向きな企業行動の持続性が確認されれば、その都度、もう一段のギアシフトを進める」と述べ、今後も段階的に利上げを進める必要があるとの考えを示していた。先で指摘した、植田発言を基本的には踏襲したもので、為替市場においてはドル売り・円買いの一助にも。少しずつ日銀の追加利上げ期待が強まりつつあるようだ。

<< 今週の見通し >>

ドル/円相場は、先週末に掛けドルの下値リスクが顕在化してきた。実際、週末には141.75円を付け、8月安値に一時面合わせしている。少し遠い存在と考えていた8月安値の141.68円を目先ターゲットとして認識しつつ、それを下回ると今年のドル安値140.80円が意識されそうだ。今年ドルが7月に161.96円まで上昇した動きすべてをチャラにする100%戻しは果たして達成されるのだろうか。そして、それも割り込むようだといよいよ140円が意識されかねないだろう。

市場は来週実施される日米の中銀会合を注視。そこで如何なる金融政策が発表されるのかへの関心がともかく高い。日本については、利上げにバイアスを掛けつつも「金利据え置き」を予想する声が少なくないが、問題は米国。「0.25%の利下げ」は最低限のこととして、さらにプラスされた内容となるのか否かで意見がまだわかれているようだ。たとえば、一部では「0.5%の利下げ」を予想する声もある。いずれにしても、そんな来週の米FOMCを視野に入れたうえで、今週も発表される米指標に一喜一憂する展開か。先週は米雇用データが相場の波乱要因となったが、今週はむしろインフレデータが相場情勢を左右することになるかもしれない。

テクニカルに見た場合、ドル/円相場はドルの下値リスク強いことに間違いないが、若干気になるのは先週示現した安値141.75円が「ダブルボトム」の要件を一応揃えていること。したがって、ドルの弱気派としては出来るだけ早いタイミングでのしっかりとした底割れを期待したい。
なお、安値141.75円あるいは141.68円を下回った場合には今年最安値の140.80円や140.26円、さらには140円などがターゲットに。

そうしたなか今週は、8月の消費者物価指数や9月のミシガン大学消費者信頼感指数などの重要な米経済指標が発表される予定となっている。また米大統領選候補者の討論会など、日米中それぞれの政治ファクターにも一応注意しておきたいところだ。

そんな今週のドル/円予想レンジは、140.00-144.50円。ドル高・円安については、時間足など短めのチャートをみると144円レベルをめぐる攻防にまずは注目か。超えると145円程度までの戻りは意外に早いかもしれない。
対してドル安・円高方向は、先週安値を含めた141.70円前後はかなり強いサポートだ。とは言え、下回ればいよいよ140円割れも見えてくる。

ドル売りは継続の公算、日米金融政策を注視

ドル円日足


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