トルコリラ円見通し ドル円の急落による波乱は一服しているが下げ渋り程度に留まる
〇トルコ円、7/12午前に4.78へ下落して7/11夜の急落時安値4.80を割り込み、7/12夜4.76まで続落
〇7/15午前4.80まで戻した後は安値更新を回避したものの、下げ渋り型の持ち合い推移に留まる
〇対ドル、7/12は概ね33.07から32.69の取引レンジ、7/15は概ね33.14から32.90の取引レンジ
〇7/12は取引時間中・終値ともに史上最安値を更新、7/15は取引時間中の最安値をさらに更新
〇トルコ中銀、6月CPIが予想を下回り鈍化したものの、引き締め姿勢継続を強調
〇4.81超えからは、4.83手前への上昇を想定する
〇4.76割れからは、4.74前後への下落を想定する
【概況】
トルコリラ円の7月12日は概ね4.84円から4.76円の取引レンジ、13日早朝の終値は4.78円で前日終値の4.83円から0.05円の円高リラ安だった。7月11日の前日比0.09円の円高リラ安からの大幅続落で7月3日に付けた3月13日以降の最高値4.98円からの下落継続感が強まり、週間では7月5日終値4.91円から0.13円の円高リラ安だった。
7月15日は概ね4.80円から4.76円の取引レンジ、16日早朝の終値は4.78円で先週末終値と変わらなかった。
ドル円は7月11日未明に161.80円を付けて7月3日夜高値161.94円に迫ったものの、11日夜の米6月CPI鈍化をきっかけとしたドル売りに加えて市場介入と思われる大量のドル売り円買いにより11日夜に157.42円へ急落して11日未明高値からの下げ幅は4.38円となり、12日午前にはユーロに対する日銀のレートチェック報道で158円を割り込んでから159円台へ戻す波乱となり、12日夜は米PPI通過後のドル安により157.37円を付けて11日夜安値を割り込んだ。
7月15日朝はトランプ氏銃撃事件でやや上昇したもののその後は軟調推移となり、パウエルFRB議長が9月利下げ期待を高めたことによるドル売りで一時157.17円まで安値を切り下げたが、157円台序盤に対する突っ込み警戒感から16日朝には158円台へ戻している。
ドル円の波乱に加えて12日に対ドルでトルコリラが取引時間中及び終値ベースの史上最安値を更新したため、トルコリラ円は12日午前に4.78円へ下落して11日夜の急落時安値4.80円を割り込み、12日夜には4.76円まで続落した。7月15日はドル円が16日未明へ一段安してから戻す乱調な展開を続ける一方、対ドルでトルコリラが取引時間中の史上最安値を2日連続で更新したことに圧迫される展開だったため、15日午前に4.80円まで戻した後の下落では安値更新を回避したものの下げ渋り型の持ち合い推移に留まった。
ドル円の市場介入は前回が4月29日(祝日)と5月2日早朝の二回であり4月29日の介入時から5月3日安値まで8円を超える規模の下落だったため、今回も7月11日夜に続いて追撃的な介入もあり得るところと注意したい。対ドルでのリラ安再開もあるため円高とリラ安が重なる場面ではトルコリラ円への売り圧力も大きくなりかねないと注意したい。
【対ドルでトルコリラは2日続けて取引時間中の史上最安値を更新】
ドル/トルコリラの7月12日は概ね33.07リラから32.69リラの取引レンジ、13日早朝の終値は33.02リラで前日終値の32.80リラから0.22リラのドル高リラ安で、週間では7月5日終値32.64リラから0.38リラのドル高リラ安だった。
7月15日は概ね33.14リラから32.90リラの取引レンジ、16日早朝の終値は32.97リラで先週末終値から0.05リラのドル安リラ高だった。
6月28日安値33.04リラへ取引時間中の史上最安値を更新したところから7月3日高値32.30リラまでドル安リラ高で推移したものの、7月5日から10日まで4日連続のドル高リラ安とし、11日は安値更新を回避したもののリラ安の流れは変わらず、12日は6月28日安値を超えて取引時間中の史上最安値を更新し、終値としても6月25日終値32.92リラを超えて初めて33リラ台へ乗せた。15日は終値で33リラ台を維持できなかったものの取引時間中の最安値をさらに更新しており、7月3日高値を起点とした下落基調が続いている。
7月12日に発表されたトルコ5月経常収支は12.4億ドルの赤字で赤字は2023年10月から8か月連続となったが、赤字額は4月の52.9億ドルから改善して市場予想の15億ドルを下回った。
7月15日に発表された6月のトルコ自動車生産は前年同月比5.3%減で5月の10.1%減に続いてマイナスとなり、年累計では前年同期比15.8%減で5月の3.7%減から悪化した。
【トルコ中銀は引き締め姿勢継続を強調】
トルコ中銀のカラハン総裁は7月11日にイスタンブールの銀行関連会合において利下げ再開時期について言及せず、当面は「慎重な姿勢を維持する必要がある」と述べた。
トルコ中銀の予想ではCPI上昇率が2024年末に38%へ低下し、2025年には14%、2026年には9%へ減速してゆくとしていたが、6月のCPIが予想を下回る鈍化を見せたことにより市場では年内利下げの可能性もあるとの声が聞かれている。しかしカラハン総裁は「6月のインフレ率は予想よりも速いペースで減速したものの、低下傾向が十分に大きく持続可能だと結論付けるのは時期尚早」とし、7月の電気料金や公共料金の値上げにより7月のCPIが再上昇すると予想されることも踏まえて当面は引き締め姿勢を継続することを強調した。利下げ期待が増すようだとリラ売りが勢い付いて通貨インフレによるCPIの押し上げにもつながるために市場をけん制したともいえる。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、7月10日夕安値で直近のサイクルボトムを付けたものの11日早朝高値ですでにサイクルトップを付けた可能性もあるとして10日夕安値割れからは弱気サイクル入りとし、7月11日夜の急落で底割れしたために12日午前時点では11日早朝高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして15日午後から17日夕にかけての間への下落を想定した。
7月12日夜へ続落した後も下げ渋り程度のためまだ一段安余地ありとするが、ドル円が乱調な展開のため4.81円超えからは強気転換注意として4.83円前後への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では7月11日夜の急落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落したが、12日夜以降の下げ渋りで遅行スパンが好転しているので、遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、先行スパンを上抜き返せないうちはその後に遅行スパンが悪化するところから下落再開とする。
60分足の相対力指数は7月11日夜の急落から12日夜へ一段安した際に指数のボトムが切り上がっているものの乱調な展開が続く可能性も懸念されるため、60ポイント前後は売られやすいところと注意し、45ポイント割れからは下げ再開とみて30ポイント前後への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.76円を下値支持線、4.81円を上値抵抗線とする。
(2)4.81円超えからは4.83円手前への上昇を想定するが、4.82円以上は反落注意としてその後に4.79円を割り込むとこから下落再開とみる。
(3)4.76円割れからは4.74円前後への下落を想定する。4.74円以下は反騰注意とするが、4.78円以下での推移なら17日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
7月16日
17:00 6月 財政収支 (5月 2194.1億リラ)
7月18日
20:30 週次 外貨準備高 7月12日時点 (7月5日時点 897.3億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 7月12日時点 (7月5日時点 435.6億ドル)
7月19日
23:30 6月 中央政府債務 (5月 7兆6410億リラ)
7月22日
16:00 トルコ中銀ビジネスサーベイ(年末CPI、ドル/トルコリラ等予想集計)
7月23日
16:00 7月 消費者信頼感指数 (6月 78.30)
20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 50.0%)
注:ポイント要約は編集部
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