ドル円見通し 市場介入とみられる7月11日夜の急落後も売り圧力続き16日未明へ安値を更新(24/7/16)

16日未明に157.17円を付けてこの間の安値を更新した。

ドル円見通し 市場介入とみられる7月11日夜の急落後も売り圧力続き16日未明へ安値を更新(24/7/16)

市場介入とみられる7月11日夜の急落後も売り圧力続き16日未明へ安値を更新

〇ドル円、7/12夜は米6月PPI通過後のドル安により157.37へ下落、7/11日夜安値157.42を若干割り込む
〇7/15日中は158円を挟みの揉み合い、夜からドル安となり7/16日未明157.17を付けてこの間の安値更新
〇7/11に今年三度目の市場介入が行われた可能性
〇米6月PPI上昇率は予想を上回る結果、ミシガン大消費者信頼感とNY連銀景況指数は悪化
〇米10年債利回りは低下一服、米株価は上昇
〇158.50以下での推移中は一段安余地ありとし、157.50割れからは157円前後試しとする
〇158.50超えからは、159円手前を試す上昇を想定する

【概況】

ドル円は7月11日夜の米6月CPI上昇率が予想以上に鈍化したことをきっかけとした米長期債利回り低下とドル安により発表前の161.60円近辺から22時台安値157.42円へ急落したが、材料を伴った急落だったもののユーロドルやポンドドル等の上昇と比較して急落規模が大きくクロス円全般も急落したために政府・日銀による市場介入だったのではないかとの見方が強まった。
7月12日午前に159.44円までいったん戻したところで日銀によるユーロ円へのレートチェックがあったとの報道から一時157.73円へ反落し、159円台序盤へ戻したものの12日夜は米6月PPI通過後のドル安により157.37円へ下落して11日夜安値を若干割り込んだ。
7月15日朝はトランプ氏銃撃事件によるリスク回避的なドル高でやや戻したものの日中は158円を挟んだやや右肩下がりの揉み合いにとどまり、夜はパウエルFRB議長発言が利下げへ傾斜しているとの見方によるドル安から16日未明に157.17円を付けてこの間の安値を更新した。

【今年三度目の市場介入だった可能性】

市場介入の現場責任者である神田財務官や政府関係者は市場介入についてコメントしないとしているが、一部メディアは11日に為替介入したと政府関係者が明らかにしたと報じ、日銀が12日に公表した7月16日の当座預金増減では短資による予想と大幅に乖離しており、凡そ3兆円から3.5兆円規模の市場介入が行われた可能性が高いと受け止められている。
7月11日の下落は未明高値161.80円から夜安値157.42円まで4.38円の下げ幅であり、4月29日の介入時に当日高値160.16円から154.50円までの下げ幅5.66円や、5月2日早朝の二度目介入時における直前高値157.58円から153.01円までの下げ幅4.47円に匹敵する動きだったが、4月29日からのドル円の下落は5月3日安値151.85円まで続いて合計の下げ幅は8.31円だったことを踏まえると、追撃的な介入ないし介入警戒感からの売り連鎖により162円手前だった水準に対して8円規模の下落幅に発展することも警戒しておく必要があると思われる。

【米6月PPI上昇率は予想を上回ったがミシガン大消費者信頼感とNY連銀景況指数は悪化】

7月12日に発表された米6月PPI(生産者物価指数)上昇率は全体の前月比が0.2%となり5月の0.0%(-0.2%から上方修正)から再上昇して市場予想の0.1%%上回り、前年同月比は2.6%で5月の2.4%(2.2%から上方修正)及び市場予想の2.3%を大幅に上回った。コアPPI上昇率は前月比0.4%で5月の0.3%及び市場予想の0.2%を上回り、前年同月比は3.0%で5月の2.6%(2.3%から上方修正)及び市場予想の2.5%を大幅に上回った。
ミシガン大の7月消費者信頼感指数は66.0となり5月の68.2から悪化して市場予想の68.5を下回り、期待インフレ率は1年先で2.9%(6月は3.0%)、5年先で2.9%(5月は3.0%)と低下した。
7月15日に発表されたニューヨーク連銀の7月製造業景況指数はマイナス6.6となり6月のマイナス6.0から悪化して市場予想のマイナス6.0を下回った。

パウエルFRB議長は7月15日の会合で、6月の米CPIが鈍化したことは「幾分進展した。非常に良いペース」とし「(利下げへ向けた)確信が若干増した」と述べた。9月利下げ開始期待については「何らかのシグナルを今日は出さない」としたものの、ECB等が利下げに踏み切ったことに関して「金融緩和開始のタイミングに関してほとんど(ECBなどと)違いはない」と述べて利下げ判断が近い印象も与えた。

【米10年債利回りは低下一服、ダウは連騰で史上最高値更新】

7月15日の米長期債利回りはトランプ氏銃撃事件によりトランプ政権誕生の可能性が高まったとして10年債や30年債が上昇したものの7月11日へ低下して以降の下げ渋り程度にとどまり、FRBの利下げ期待から2年債は横ばいに留まり一時は4月末以降の最低を更新した。
長期金利指標の10年債利回りは7月11日に米CPI鈍化で前日比0.08%低下して一時4.16%をつけて年初来ピークである4月25日につけた4.74%以降の最低を更新し、12日は前日比0.03%低下の4.18%で週を終えたが、15日は先週末比0.05%上昇の4.23%で下げ渋りがみられた。
30年債利回りは7月11日に前日比0.06%低下して一時4.38%をつけ7月1日の4.66%以降の最低とし、12日は前日比0.02%低下の4.40%で週を終えたが、15日は先週末比0.06%上昇の4.46%だった。

政策金利動向に敏感な2年債利回りは7月11日に前日比0.10%低下して一時4.49%をつけて4月30日の年初来ピークである5.05%以降の最低とし、12日は前日比0.06%低下の4.46%へ続落した。15日は先週末と変わらずの4.46%で終了したが一時4.44%をつけてこの間の最低を更新した。米金利先物市場における9月利下げ開始と年内追加利下げへの期待度は9割を超えている。

一方で米国株式市場はトランプ氏銃撃事件と同氏政権誕生の可能性が高まり、規制緩和等が進むとして買い優勢となり、NYダウは先週末比210.82ドル高と上昇して7月10日から3連騰として取引時間中及び終値の史上最高値を更新した。ナスダック総合指数は11日に史上最高値を18671.07まで切り上げてから利食いに押されて前日比364.04ポイント安と下落したが15日は74.12ポイント高と上昇した。規制緩和が進むとの期待で金融、医療保険、国境の壁建設工事が増えるとの連想で建機メーカー等が買われ、再生エネルギー関連が売られたようだ。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は7月3日夜高値161.94円と7月11日未明高値161.80円をダブルトップとして急落したが、11日夜安値からいったん反騰して12日夜、16日未明へと安値を更新しているので、11日午前高値を起点として新たな下落期に入っていると仮定して16日夜から18日夜にかけての間への下落を想定するが、乱調な展開が続いているので158.50円超えからは反騰期に入る可能性があるとみて159円前後への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では7月11日夜に急落した後も乱調な展開のため遅行スパンは実線との交錯を繰り返しているものの先行スパンから転落した状況が続いているので先行スパンからの転落状況が続く内は一段安余地ありとして遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。先行スパンへ潜り込んで徐々に高値を切り上げ始める場合は先行スパンの上限に迫る可能性があるとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、その後に先行スパンから再び転落する場合は下落再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は7月11日夜の急落時に10ポイント台へ低下したが、その後の安値更新では徐々に底上げをして50ポイント近辺へ戻している。乱調な展開のため55ポイント超えからは60ポイント台前半への上昇を想定するがその後の反落注意とし、40ポイント割れからは下落継続とみて20ポイント前後への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7月16日未明安値157.17円を下値支持線、158.50円を上値抵抗線とする。
(2)158.50円以下での推移中は一段安余地ありとし、157.50円割れからは157円前後試しとする。157円前後は買い戻しも入りやすいとみるが、157円割れから続落の場合は156円台中盤(156.65円から156.35円)へ下値目途を引き下げる。
(3)158.50円超えからは159円手前を試す上昇を想定するが、159円手前では売られやすいと注意し、その後に158円を割り込むところから下げ再開と考える。

【当面の予定】

7/16(火)
休場 パキスタン
13:30 (日) 5月 第三次産業活動指数 前月比 (4月 1.9%、予想 0.1%)
18:00 (独) 7月 ZEW景況感 (6月 47.5、予想 42.3)
18:00 (欧) 5月 貿易収支・季調済 (4月 194億ユーロ 、予想 181億ユーロ)
18:00 (欧) 5月 貿易収支・季調前 (4月 150億ユーロ、予想 125億ユーロ)
21:30 (米) 6月 小売売上高 前月比 (5月 0.1%、予想 -0.3%)
21:30 (米) 6月 小売売上高・除自動車 前月比 (5月 -0.1%、予想 0.0%)
21:30 (米) 6月 輸入物価指数 前月比 (5月 -0.4%、予想 -0.1%)
21:30 (米) 6月 輸出物価指数 前月比 (5月 -0.6%、予想 -0.1%)
23:00 (米) 5月 企業在庫 前月比 (4月 0.3%、予想 0.4%)
23:00 (米) 7月 NAHB住宅市場指数 (6月 43、予想 43)
27:45 (米) クーグラーFRB理事、閉会挨拶

7/17(水)
休場 インド、パキスタン
07:45 (NZ) 4-6月期 CPI(消費者物価指数) 前期比 (1-3月 0.6%、予想 0.6%)
07:45 (NZ) 4-6月期 CPI(消費者物価指数) 前年同期比 (1-3月 4.0%、予想 3.5%)
15:00 (英) 6月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (5月 0.3%、予想 0.1%)
15:00 (英) 6月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (5月 2.0%、予想 2.0%)
15:00 (英) 6月 コアCPI 前年同月比 (5月 3.5%、予想 3.5%)
15:00 (英) 6月 RPI(小売物価指数) 前年同月比 (5月 3.0%、予想 2.9%)
18:00 (欧) 6月 HICP(調和消費者物価指数)・改定値 前年同月比 (速報 2.5%、予想 2.5%)
18:00 (欧) 6月 コアHICP・改定値 前年同月比 (5月 2.9%、予想 2.9%)

21:30 (米) 6月 住宅着工件数・年率換算 (5月 127.7万件、予想 130.5万件)
21:30 (米) 6月 住宅着工件数 前月比 (5月 -5.5%、予想 1.8%)
21:30 (米) 6月 住宅着工許可件数・年率換算 (5月 138.6万件、予想 138.5万件)
21:30 (米) 6月 住宅着工許可件数 前月比 (5月 -3.8%、予想 -0.3%)
22:00 (米) バーキン・リッチモンド連銀総裁、講演
22:15 (米) 6月 鉱工業生産 前月比 (5月 0.9%、予想 0.3%)
22:15 (米) 6月 設備稼働率 (5月 78.7%、予想 78.6%)
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
23:35 (米) ウォラーFRB理事、講演
27:00 (米) 米地区連銀経済報告(ベージュブック)


注:ポイント要約は編集部

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