政局不安とオリンピックでもみあいか
〇先週のユーロドル、週を通して仏総選挙決選投票に向けたポジション調整のユーロ買いが目立つ
〇週前半は、ドル円とともにユーロ円での円売りも強まったこともユーロ下支えの要因
〇本日早朝、連立の行方懸念したユーロ売りがギャップダウンの形で見られるも買い戻される
〇政局が流動的なことによるユーロ売りと五輪によるユーロ買いで、短期的にはバランス取れる動きか
〇ユーロ円、174.51が目先高値でターゲット達成と見て若干の下げか横方向のもみあいとなる可能性高い
〇今週は1.0760レベルをサポート、1.0880レベルをレジスタンスとする週を見る
今週の週間見通しと予想レンジ
先週のユーロはフランス総選挙の決選投票に向けてポジション調整のユーロ買いが週を通して目立ち、週初の1.07台前半から週末には1.08台半ば近くまでじりじりとユーロ買いが進んだ週となりました。ただ、ポジション調整はあったものの、週前半はドル円とともにユーロ円での円売りも強まったこともユーロを下支えしていた要因だったと考えられます。
決選投票では事前の予想では極右RNが第1党で過半数もうかがう展開ではないかと見られていましたが、蓋を開けて見ると左派連合が第1党、与党連合が第2党となり、RNは第3党へと大きく後退する結果となりました。1回目投票後の与党連合と左派連合との選挙協力が功を奏した結果ですが、右派政権誕生を阻止するためだけに第3位の人が降りて逆転を可能としたというのも、決選投票が当たり前のフランスでは違和感が無いのでしょうが、外野からすると今回のような結果に繋がることもあり、独特のシステムだと思います。
左派連合の主張が国民に受け入れられたということもありますが、4日にルモンドに出たロシアはRNを支持しているという記事が、反ロシアの枠組みを崩すのではないかといった懸念もあり、決選投票直前の同記事も悪影響があったのではないかという印象でした。
マクロン大統領の思惑が成功したと言えますが、それでも与党連合は大幅に議席減、左派連合も過半数には届かずということで、連立の行方を懸念したユーロ売りが週明け早朝にはギャップダウンの形で見られましたが、その後は買い戻され先週の金曜欧州市場の水準で欧州市場が始まるのを待っている状態です。
また7月26日からはパリ・オリンピックが始まりますが、多くの選手、マスコミ、観光客がフランスを訪れることはユーロ買いにつながると見られ、政局が流動的なことによるユーロ売りとオリンピックの影響(過去のオリンピックでも開催国の通貨が買われたことがあった)によるユーロ買いとで短期的にはバランスが取れる動きになるのではないかという見方も出来るでしょう。
テクニカルにはいつもの日足チャートをご覧ください。
ユーロドルは長中期的に三角もちあいとなっていますが、週足ではダイヤモンド型のもみあいパターンとなっていて超短期ともにもみあいというチャートになっています。6月高値と6月安値の78.6%戻しが1.0862、レジスタンスラインが1.0885レベルと1.08台後半がレジスタンスゾーン、いっぽうで1.07台半ばを上抜けてから買いが強まったので、同様に38.2%戻しの1.0761がサポートと考えてよさそうです。
今週は1.0760レベルをサポートに1.0880レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。
今週のコラム
今週も史上最高値を更新したユーロ円を見ておきましょう。
ドル円の週報ではドル円は161.95レベルで目先の高値をつけたという見方を示しました。ユーロ円もドル円の影響が大きいことを考えると先週の174.51が目先の高値となったと見ることも出来そうですし、テクニカルにも5月安値を起点とした上昇N波動の100%エクスパンションとなる174.38と重なりました。
いったんターゲット達成と見て、若干の下げか横方向のもみあいとなる可能性が高いと考えています。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
7月8日(月)
15:00 ドイツ5月貿易収支
7月9日(火)
08:01 英国6月小売売上高
23:00 パウエルFRB議長議会証言(上院)☆
7月10日(水)
17:00 ドイツ連銀総裁講演 ☆
23:00 パウエルFRB議長議会証言(下院)☆
7月11日(木)
08:01 英国6月住宅価格
15:00 ドイツ6月CPI
15:00 英国5月貿易収支
21:30 米国6月CPI ☆
7月5日(金)
15:45 フランス6月CPI
前週のユーロレンジ
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
7月1日(月)
ユーロドルは選挙結果が予想通りであったことから買い戻しが先行してのスタートとなりましたが、東京後場に1.0776レベルで頭打ちし、その後はドル高の動きも重なって金曜高値圏まで押した後にやや戻して引けました。
7月2日(火)
ユーロドルは東京から欧州市場序盤までは下げ、その後買い戻されての行ってこいとなりましたが、終日レンジはわずか37pipsと週末のフランス決選投票に向け積極的な取引は手控えられている様子でした。
7月3日(水)
ユーロドルはNY市場まではドル円とともに強いユーロ円の動きを受けじり高、NY市場ではドル売りの動きから一段高となり一時1.0817レベルの高値をつけました。引けにかけてはユーロ円が底堅い動きとなっていたこともあり、下値は限定的な引けとなりました。ユーロ円は最高値を更新し174.52レベルをつけました。
7月4日(木)
ユーロドルは雇用統計、そしてフランス決選投票を控えて米国が休場だったこともあり終日のレンジはわずか32pipsと動意薄の1日で終わりました。
7月5日(金)
ユーロドルは金曜もじり高、米国雇用統計直後に乱高下は見られたものの、順調にユーロ買いが進行する流れから1.0843レベルをつけ高値圏での引けとなりました。しかし、フランス決選投票を控えていることもあり値幅は狭いまま終わりました。
注:ポイント要約は編集部
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オーダー/ポジション状況
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