ドル円 目先の高値を見て下方向の調整が入りやすい(週報7月第2週)

先週のドル円は、週前半は円全面安の動きから高値161.95レベルと162円近いレベルまで円安が進行しましたが、ほぼ週初の水準に押しての引けとなりました。

ドル円 目先の高値を見て下方向の調整が入りやすい(週報7月第2週)

目先の高値を見て下方向の調整が入りやすい

〇先週のドル円、162円近くまで円安進行するも、弱い米指標をきっかけに週後半じり安に
〇7/5米雇用統計直後に乱高下するも、ほぼ週初の水準に押して引ける
〇今週のFRB議長議会証言と米CPIの結果次第では、もう一段の調整が入るか
〇現状の動きが続く場合、当面介入はなさそう(現在は2週間で2%程度の変動率)
〇売りが先行する場合は戻しは弱く、買いが先行する場合はイベントをきっかけとした下げになるか
〇今週は、159.10レベルをサポートに、161.00レベルをレジスタンスとする週を見る

今週の週間見通し

先週のドル円は、週前半は円全面安の動きから高値161.95レベルと162円近いレベルまで円安が進行しましたが、水曜の一連の弱い米国経済指標をきっかけに週後半はじり安となり、米国雇用統計直後の乱高下はあったものの、ほぼ週初の水準に押しての引けとなりました。

材料的には米国雇用統計以外にそれほど目立ったものは無かったため、今週のパウエルFRB議長議会証言と米国CPIを見た上で、先週高値が当面の高値となるのか、あるいは改めて円安を試す流れとなるのかを判断するという展開になりそうです。パウエル議長の議会証言では6月FOMCと直近のECBフォーラムでの講演内容から外れる内容にはならないでしょうから、インフレ率の高止まりに懸念しつつも雇用の鈍化は将来的な利下げに向けての環境整備といった内容になると見られます。

また週後半には米国CPIもありますので、議会証言とCPIの結果次第ではもう一段の調整が入ると見られます。今回の円安も6月4日の安値以降ほぼ1か月調整らしい調整が見られないままに一方向に動いてきたことを考えると、短期的な調整は1か月前後で入ってきたことを考えると、調整が入りやすいタイミングになってきたとも言えるでしょう。

最近、介入が出るとしたらいつ、どの水準なのかという質問が多いのですが、「いつ」ということは全くわかりませんが、神田財務官の退任とは関係無いと見ていた方が良いでしょうし、「水準」についても特定の水準は考えていないということは繰り返し言われてきました。それでも3月に2週間で4%の変動はなだらかとは言えないという変動率についての言及はありましたが、2週間で4%というのはよほどの動きでないと考えられません。

目先の高値を見て下方向の調整が入りやすい

上のチャートのサブチャートには2週間の変動率を示し、4%のところに水平線を引いてみました。こうして見ると最近で4%を超えたのは、まさに4月29日の介入が入った日であったことがわかります。現在は2%程度で落ち着いていますので2週間で4%という変動はまず無い、つまり現状の動きを続けているならば当面は介入は無いという見方で良いでしょう。

テクニカルにはいつもの日足チャートをご覧ください。

介入後安値と6月安値を結んだサポートラインとそれに平行に引いたライン(高値を先週高値に変えました)とで構成される平行上昇チャンネル(青)の中でドル高の流れを続けていると見てよいでしょう。押しが入るとすれば6月安値と先週高値との38.2%押しとなる159.10ですが、1990年高値160.35を抜けて以降は同水準がサポートとなっていて現在はその水準にかなり近いところにいます。このまま反転上昇はさすがに無いと思うのですが、もしそのような動きが出る場合には162円トライは必至という流れになっていきます。

ここでは、調整が続いている局面で159円台前半を試しやすいというシナリオでいきます。その場合、戻りは161円水準になってくると考えられます。今週は、大台160円を割り込んで159.10レベルをサポートに、161.00レベルをレジスタンスとする週を見ておきますが、売りが先行する場合は戻しは弱く、買いが先行する場合はイベントをきっかけとした下げになるのではないでしょうか。

目先の高値を見て下方向の調整が入りやすい 2枚目の画像

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。
また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2024年FOMCメンバー(ニューヨーク、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

7月8日(月)
08:50 本邦5月貿易収支(国際収支)
15:00 ドイツ5月貿易収支

7月9日(火)
08:01 英国6月小売売上高
09:30 豪州7月消費者信頼感
10:30 豪州6月企業景況感
23:00 パウエルFRB議長議会証言(上院)☆
**:** NATOサミット

7月10日(水)
10:30 中国6月CPI・PPI
17:00 ドイツ連銀総裁講演 ☆
23:00 パウエルFRB議長議会証言(下院)☆
23:00 米国5月卸売売上高
27:30 ボウマンFRB理事 ☆、(シカゴ連銀総裁)講演

7月11日(木)
08:01 英国6月住宅価格
15:00 ドイツ6月CPI
15:00 英国5月貿易収支
21:30 米国6月CPI ☆
21:30 米国新規失業保険申請数
24:30 アトランタ連銀総裁講演 ☆
26:00 (セントルイス連銀総裁講演)

7月5日(金)
15:45 フランス6月CPI
21:30 米国6月PPI ☆
23:00 米国7月ミシガン大消費者信頼感速報値 ☆

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時−NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

7月1日(月)
週明けもドル円は底堅い動きを継続、フランス総選挙1回目投票の結果を受けてユーロ円が上昇したこともドル円を一層底固くしていました。NY市場に入り米金利が上昇する動きとともに一段高となり、161.73レベルまで高値を伸ばしました。ドル円での円安だけでなくクロス円でも円全面安となる中で更なる円安を見込む向きが増えてきました。

7月2日(火)
ドル円は東京後場に161.75レベルと前日高値をわずかに上回る場面は見られたものの162円近い水準では介入警戒感が残っていること、いっぽうで押し目では買いが入ってくることもあって横方向のもみあいが中心となりました。NY市場ではパウエルFRB議長のECBフォーラムでの講演でディスインフレの軌道に戻りつつあると発言したことで一時的に押しは入ったものの引けにかけては東京朝方の水準へと戻して引けました。

7月3日(水)
ドル円はNY市場までじり高、東京後場に前日高値を上抜けると仕掛けの買いも加わってNY市場が始まる前には161.95レベルの高値をつけました。しかし雇用関連の数字を含め軒並み経済指標が予想よりも弱かったことから160.77レベルへと急反落したものの、引けにかけては改めて買いが強まり161円台半ばで引けました。

7月4日(木)
ドル円はNY市場までじり安、米国市場が休場となる中で米国雇用統計を前に前日の弱い経済指標を材料にしたポジション調製の売りが出た様子でした。NY市場は休場でほとんど動きが見られず若干戻した程度で終わりました。

7月5日(金)
ドル円は米国雇用統計と週末を控えて円売りポジション調整を中心とした動きが続き、東京昼過ぎまではドル売りが先行後は160円台後半でもみあいを続けました。雇用統計はNFPが予想よりも強かったものの前月分が大きく下方修正、失業率も悪化したことから一時160.33レベルの安値をつけましたが、すぐに反発し東京朝方の高値圏に迫る動きを見せました。引けにかけては改めて週末前のポジション調整から160円台後半へと押して引けました。

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