ユーロ ユーロの年初来安値トライは必至(週報6月第4週)

先週は改めてフランスの政局不安がユーロの上値を抑えて引けた週となりました。

ユーロ ユーロの年初来安値トライは必至(週報6月第4週)

ユーロの年初来安値トライは必至

〇先週のユーロドル、週間レンジは90pipsにとどまる
〇米欧のPMI速報値の方向性の違いや、仏政局不安がユーロの上値抑える
〇総選挙で極右が最大に近い議席確保し共和党の半数程度が合流して連立の場合は拡大財政路線に
〇その場合、フランス国債の下げ、フランス株安、ユーロ安というトリプル安を見に行くか
〇金融市場的にはリスクが大きい方向に動いていく展開
〇年初来安値1.0600レベルをサポートに、1.0750レベルをレジスタンスとする週を見る
〇次のターゲットは3月高値を起点に逆N波動の100%エクスパンションとなる1.0535

今週の週間見通しと予想レンジ

先週はフランス総選挙に向けての不安がある程度消化されたことで週間レンジは90pipsにとどまりましたが、週後半の米欧のPMI速報値の方向性の違いや6月30日のフランス総選挙1回目投票に向けての世論調査などから改めてフランスの政局不安がユーロの上値を抑えて引けた週となりました。

1回目の投票は6月30日と1週間後に迫りましたが、この選挙で上位2候補が7月7日の決選投票に進みます。現時点で極右のRNが36%とリード、左派連合が27%、マクロン大統領率いる再生は20%というのが直近の世論調査です。このままで行くと選挙区にもよるものの極右が地滑り的な勝利を収める可能性が高いものの単独過半数の289議席には届かないというのが現状です。

現時点で極右の議席数は最大で270議席程度と見られていて、第2勢力の左派連合と連立を組むわけは無く、現与党の再生と組むこともないでしょう。そうなると、カギを握るのは与党と同じ中道右派の共和党と組むかどうかですが、極右との協力を呼び掛けた党首が除名される事態となっていて、現与党が連立での組閣を成功させる可能性は残されています。マクロン大統領はここに賭けたのでしょうが、果たして1回目の投票でどの程度再生が残ることが出来るのか、もし議席数が下振れして80議席程度にとどまると組閣自体が困難です。

もっともあり得そうなのが、極右が大健闘して最大に近い議席を確保、共和党が分裂して極右に半数程度が合流して連立というところでしょうか。これにも極右が予想の最大議席数を確保と上振れする必要がありますが、勢いはあるようです。そして、この組み合わせが見えてくると極右は拡大財政を進めることとなり、改めてフランス国債の下げ、フランス株安、ユーロ安というトリプル安を見に行くこととなりそうです。

最終結果まではわからないとはいうものの、金融市場的にはリスクが大きい方向に動いていく展開となりそうです。ユーロ安の場合のターゲットをテクニカルに考えます。いつもの日足チャートをご覧ください。

ユーロの年初来安値トライは必至

現状は4月安値と6月高値との78.6%押しの水準で下げ止まっていますが、ここを下抜けるのは時間の問題と見てよいでしょう。そうなると4月安値(=年初来安値)1.0600が最初のターゲット、1回目の投票後だとは思いますが、次のターゲットとしては3月高値を起点に逆N波動(ピンク)を考えた場合の100%エクスパンションとなる1.0535です。

今週のところは最初のサポートをターゲットに、1.07台半ばから上では戻り売りが控えていると見ています。今週も年初来安値1.0600レベルをサポートに、1.0750レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

今週のコラム

先週はドイツ10年債とフランス10年債の利回り差を見ましたので、今週はフランスの株価指数であるCAC40を見ておきましょう。日足チャートです。赤の階段状のラインは20週移動平均線でこの線を2週連続で下抜けたことで現在は下降トレンドにあると見ています。

ユーロの年初来安値トライは必至 2枚目の画像

現状は昨年10月安値と今年5月高値との半値押し水準で下げ止まりましたが、投票日に向けて改めて売りが広がると61.8%押し7341.23が次のターゲットとなるでしょう。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

6月24日(月)
17:00 ドイツ6月企業景況感
19:10 ドイツ連銀総裁講演 ☆
21:30 フランス中銀総裁講演 ☆
24:30 シュナーベルECB理事講演 ☆

6月25日(火)
18:00 ギリシャ中銀総裁講演

6月26日(水)
15:00 ドイツ7月消費者信頼感
15:45 フランス6月消費者信頼感
19:00 パネッタECB理事講演 ☆
19:40 レーンECB理事講演 ☆

6月27日(木)
18:00 ユーロ圏6月消費者信頼感
18:00 ユーロ圏5月PPI ☆
**:** EUサミット(〜28日)

6月28日(金)
15:00 英国1〜3月期GDP改定値
15:45 フランス6月CPI速報値 ☆
15:45 フランス5月PPI ☆
16:55 ドイツ6月失業率
19:00 フランス中銀総裁講演

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

注)上記表の始値は全て東 京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

6月17日(月)
週明けのユーロドルは東京市場では動かず、欧州市場では前週後半の下げに対して調整の買い戻しが入りました。ユーロドルよりもユーロ円の買いの方が目立ちましたが、フランスの政局に対する不安はしばらく続くことに変わりはなく、買われたところでは売りが出てくるという流れになっていくと見られます。

6月18日(火)
ユーロドルは前日はフランスの政局不安がやや緩んだことから買い戻しが出ていましたが、再び上値が重たい展開からスタートしました。NY市場まではじり安の展開を続けましたが、小売売上高発表後のドル売りで1.0762レベルまで反発後やや押して引けました。

6月19日(水)
ユーロドルは前日終値付近で横方向のもみあい、英中銀MPCを控え米国市場も休場となることから目立った変化が出にくい流れとなっていました。

6月20日(木)
ユーロドルはドル高の動きから1.07目前の水準まで下げましたが、NY市場では為替報告書を受けた円売りがユーロ円でも見られたため、ユーロドルの下げ幅はそれほど大きくはなりませんでした。

6月21日(金)
 ユーロドルは東京後場までは底堅い動きを続けていましたが、欧州市場序盤に発表された欧州主要国のPMI速報値が弱かったことから下げに転じ、一時1.0671レベルの安値をつけました。その後も上値は重たかったものの円安の動きがユーロ円にも波及したことから下値も固く、もみあいでの週末クローズとなりました。


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