トルコリラ円見通し 6月4日夜への急落解消後は上値重く、今夜の米雇用統計待ちへ(24/6/7)

トルコリラ円の6月6日は概ね4.86円から4.79円の取引レンジ、7日早朝の終値は4.83円で前日終値の4.84円から0.01円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し 6月4日夜への急落解消後は上値重く、今夜の米雇用統計待ちへ(24/6/7)

トルコリラ円見通し 6月4日夜への急落解消後は上値重く、今夜の米雇用統計待ちへ

〇トルコリラ円、6/6夜にかけてのドル円上昇局面で4.86を付けて、6/4午前からの下げ幅を解消
〇6/7早朝にかけてはドル円の反落に圧されて4.81近辺へ下落
〇今夜の米雇用統計をきっかけに、ドル円が上昇できるか再び下落に転じるのか見極めたいところ
〇対ドル、6/6は概ね32.34から31.95の取引レンジ、31.95まで上昇してから32台序盤へ押し返され終了
〇再び1ドル32リラを挟んだ揉み合い推移に回帰した印象
〇トルコ外貨準備高の増加続く
〇4.79を上回るうちは一段高余地ありとし、4.86超えからは4.88前後への上昇を想定する
〇4.79割れからは、4.76前後への下落を想定する

【概況】

トルコリラ円の6月6日は概ね4.86円から4.79円の取引レンジ、7日早朝の終値は4.83円で前日終値の4.84円から0.01円の円高リラ安だった。
6月3日から4日深夜にかけてドル円が急落したことと対ドルでトルコリラが急落して終値ベースの史上最安値を更新したことが重なったため、トルコリラ円は6月3日終値4.85円から4日終値4.75円へ急落して前日比0.10円の円高リラ安となり安値で4.73円をつけたが、5日午前序盤からドル円が反騰入りしたことと、対ドルでリラが反騰して前日の下落幅をほぼ解消したために6月5日のトルコリラ円は前日の下落解消へ向けて反騰した。
6月6日はドル円は156円を挟んで凡そ1円幅の騰落を繰り返す持ち合いで推移する中、トルコリラ円は6日夜にかけてドル円が上昇した局面で4.86円を付けて6月4日午前からの下げ幅を解消したが、7日早朝にかけてはドル円の反落に圧されて4.81円近辺へ下落した。

ドル円は5月30日未明高値157.70円から6月4日深夜安値154.54円まで下げ幅3.16円の大幅下落となったが5日深夜高値156.46円へ切り返した。6日午前に155.36円まで反落したところから6日夜高値156.43円まで戻したものの5日深夜高値を超えられずに7日早朝に155.50円を割り込むなど156円を挟んで1円強の値幅による騰落を繰り返している。6月4日夜への下落は米経済指標が冴えず9月利下げ期待が高まり米長期債利回りが連日低下したことが背景であり、5日深夜への反騰は売られ過ぎ警戒感からの買い戻しだったが、日銀が来週の金融政策決定会合で国債買い入れ減額に踏み込むとの観測報道と米長期債利回り低下による円高圧力もあり上値が重くなっている印象だ。

トルコリラ円はドル/トルコリラの動きが落ち着いたためにドル円の騰落を追いかけるところだが、6月4日に円高とリラ安が重なって急落した後だけに、さらに一段高へ進むには新たな強気材料が欲しいところであり7日の日中はやや慎重な動きになるのではないかと思われる。今夜の米雇用統計をきっかけとしてドル円が上昇できるか再び下落に転じるのか見極めたいところだ。

【ドル/トルコリラは6月4日の下落解消で32リラ挟んだ揉み合いを再開】

ドル/トルコリラの6月6日は概ね32.34リラから31.95リラの取引レンジ、7日早朝の終値は32.23リラで前日終値と変わらなかった。
6月4日に一時32.63リラへ急落して4日終値32.57リラで終値ベースの史上最安値を更新したが、5日は32.67リラへ安値を切り下げてから反騰に転じて6月4日の下落幅を解消し、6日は31.95リラまで高値を伸ばしてから32リラ台序盤へ押し返されて終了した。
6月4日の一時急落はトルコ外相のBRICS加盟希望をロシア大統領府が歓迎するとした一連の発言による地政学的リスクを意識したリラ売りや、トルコ最高裁が中銀総裁らの任期中解任を認めた大統領令を無効としたことによるエルドアン大統領の反発懸念等をきっかけとし、32リラを挟んだ膠着状態から下抜けたことによるテクニカルな売りを誘ったことが背景と思われるが、6月2日のメキシコ大統領選挙後にメキシコペソが急落したことで新興国通貨全般が売られたことの影響も見受けられる。しかしリラの下落は短期的なものに留まり再び1ドル32リラを挟んだ揉み合い推移に回帰した印象だ。

【トルコ外貨準備高の増加続く】

6月6日夜に発表されたトルコ中銀の外貨準備高は5月31日時点のグロスで839.1億ドルとなり5月24日時点の827.7億ドルから増加し、ネットでは454.6億ドルとなり5月24日時点の403.5億ドルから大幅に増加した。
グロスの外貨準備高は2023年5月の565.2億ドルから2023年12月に975.6億ドルまで大幅増加したところをピークとして減少に転じ、ネットの外貨準備高も2023年6月にマイナス57億ドルまで悪化したところから2023年12月の400.9億ドルへ増加したところをピークとして低下してきたが、グロスでは5月序盤の649.7億ドルを最低として再び増加し、ネットでは前週時点で昨年末の水準を超えて今週も大幅増加した。

トルコの金融政策正常化が続いていることとS&Pによるトルコ格付けの引き上げ及び欧米の金融大手によるトルコ国債買い推奨等が海外投資家のトルコ投資を回復させていることが最近の外貨準備高増加に反映されている。ドル/トルコリラの中長期的な下落は継続するとのコンセンサスは変わらないが年初と比較すればリラの下落水準が縮小されており、高金利通貨としての魅力が再認識されているようだ。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、6月3日午後高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとして6月4日午後から6日夕にかけての間への下落を想定したが、5日午前時点では4.78円超えから強気サイクル入りとし、5日午後に4.78円を超えて6月6日早朝に4.85円へ急伸したため、6日午前時点では5日未明安値を直近のサイクルボトムとして強気サイクル入りとしてサイクルトップ形成期を6日午後から10日午後にかけての間とした。
6月6日夜へ高値を切り上げてから反落したものの6日午前安値4.79円割れを回避しているのでまだ一段高余地ありとするが、6日午前安値割れからは弱気サイクル入りとして7日深夜から12日未明にかけての間への下落を想定する。ただし、いったん弱気転換した後に米雇用統計等をきっかけに一段高する場合は新たな強気サイクル入りとして10日夜から12日深夜にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では6月7日早朝への下落で遅行スパンが悪化したものの先行スパンを上回っているので遅行スパン好転からは高値試し優先とするが、先行スパンから転落する場合は下落期入りとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は6月6日早朝高値から6日夜高値への一段高に際して指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられるため、60ポイント超えからは反騰継続とするが、次に40ポイントを割り込むところからは20ポイント台への低下へ進むとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.79円を下値支持線、4.86円を上値抵抗線とする。
(2)4.79円を上回るうちは一段高余地ありとし、4.86円超えからは4.88円前後への上昇を想定する。4.88円以上は反落警戒とするが、4.83円を上回っての推移なら週明けも高値試しを続けやすいとみる。
(3)4.79円割れからは4.76円前後への下落を想定する。4.76円以下は反騰注意とするが、下げ足が速まる場合は4.73円前後へ下値目途を引き下げ、週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

6月7日
 23:30 5月 財務省現金残高増減 (4月 -2369.8億リラ)
6月10日
 16:00 4月 鉱工業生産 前月比 (3月 -0.3%)
 16:00 4月 鉱工業生産 前年同月比 (3月 4.3%)
 16:00 4月 失業率 (3月 8.6%)
 16:00 4月 経常収支 (3月 -45.44億ドル)
6月11日
 16:00 4月 小売売上高 前月比 (3月 0.0%)
 16:00 4月 小売売上高 前年同月比 (3月 19.4%)
6月13日
 20:30 週次 外貨準備高 グロス 6月7日時点 (5月31日時点 839.1億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 ネット 6月7日時点 (5月31日時点 454.6億ドル)
6月14日
 16:00 トルコ中銀ビジネスサーベイ



注:ポイント要約は編集部

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