ドル円見通し 156円挟んで凡そ1円幅の持ち合い、米雇用統計待ち
〇ドル円、6/6午前155.36まで下げ、夜156.43まで戻したものの高値切り上げヘ進めず
〇6/7早朝155.46まで失速、156円を挟んで凡そ1円規模の騰落を繰り返す持ち合い
〇今夜は米雇用統計発表、結果次第では米長期債利回り低下・ドル安反応によりドル円も下落しかねない
〇日銀の国債買い入れ減額へ向かう流れ、徐々に強まっている印象
〇ECBは4年9カ月ぶりの利下げを決定、連続利下げには慎重な姿勢示す
〇米長期債利回りは下げ渋り、NYダウは3連騰、ナスダックは取引時間中の史上最高値更新するも下げる
〇155.36を上回るうちは一段高余地ありとし、156.46超えからは157円前後への上昇を想定する
〇155.36割れからは、6/4深夜安値154.54を試す下落を想定する
【概況】
ドル円は6月3日の米ISM5月製造業景況指数の悪化と4日の米4月JOLTS求人件数の大幅減少等による米長期債利回り低下及び日銀が来週の金融政策決定会合で国債買い入れ減額に踏み込むとの報道により6月4日深夜に154.54円まで下落したが、大幅下落一巡で5日午前に155円台を回復して5日深夜には156.46円まで戻した。
米国の9月利下げ期待が増していることと日銀の政策修正への警戒感から6月6日午前に155.36円まで下げ、6日夜に156.43円まで戻したものの高値切り上げヘ進めずに7日早朝に155.46円まで失速したため、156円を挟んで凡そ1円規模の騰落を繰り返す持ち合いにつかまっている。
6月5日のカナダ中銀利下げに続き6日はECBが利下げを決定したために米国も9月利下げに踏み込みやすくなった印象もあるが、いずれも事前予想通りだったことで市場の反応は鈍かった。
今夜は米5月雇用統計の発表があるが、今週のJOLTS求人件数の減少やADP民間雇用者数が予想を下回る増加数だったことや昨夜の米新規失業保険申請件数が2週連続で増加しているため、雇用統計が低調な内容なら米長期債利回り低下・ドル安反応によりドル円も下落しかねないところだ。6月4日深夜安値を押し目底として上昇再開へ向かうのか6月4日深夜安値を割り込んで5月3日以降の上昇一巡による下落期入りへ進むのか、重要な分岐点と思われる。
【日銀の国債買い入れ減額姿勢】
日銀の植田総裁は6月6日の参院財政金融委員会で「大規模な金融緩和からの出口を進めていく中で国債購入額を減額することが適当であると考えている」と述べた。早ければ6月13−14日の金融政策決定会合で長期国債買い入れ減額の具体的方針が示されるのではないかとの報道もあり、減額計画とその規模に市場の関心も集まっている。6月11−12日には米FOMCもあるため、FOMCの姿勢が前回会合よりもハト派的となり9月利下げ期待度が増した上で日銀のタカ派姿勢が示される場合には円高圧力も大きくなる可能性がある。
日銀の中村審議委員も6日に「来週の金融政策決定会合で追加利上げの決定をするのは尚早だ」とした上で、来週の会合では「追加利上げや国債買い入れの減額といった話題も出るとは思う」と述べている。国債買い入れ減額については「経済の回復状況に応じて出口に向けて時間をかけて減額を進めていくことが適当だ」として緩やかな政策修正姿勢を示したが、減額へ向かう流れは徐々に強まっている印象だ。
【ECB利下げ決定、連続利下げには慎重】
6月6日に欧州中銀(ECB)は政策金利を0.25%引き下げ、2019年9月以来4年9カ月ぶりの利下げを決定した。民間銀行がECBに資金を預け入れる際の中銀預入金利は3.75%、主要政策金利は4.25%となった。
ラガルド総裁は「賃金の伸びは依然高いもののインフレは減速傾向にある」としたが、「金利の先行きについて事前に確約しない」と述べて連続利下げに慎重な姿勢を示した。今回の利下げによってもインフレ率を2%目標に戻すための景気抑制的な政策金利水準としている。
【米経済指標は弱め】
6月6日に米労働省が発表した新規失業保険申請件数は6月1日までの週間で前週比8000件増の22万9000件となり2週連続の悪化で市場予想の22万件増を上回った。失業保険受給者総数は5月25日までの週間で179万2000人となり前週から2000人増加して市場予想の179万人を若干上回った。
米商務省による4月の米貿易赤字は前月比8.7%増の745億5800万ドルとなり2か月振りに拡大して2022年10月以来の高水準となった。輸入は2.4%増で2022年6月以来の高水準となり輸出は0.8%増だった。
米労働省による2024年第1四半期の非農業部門労働生産性改定値は年率換算前期比0.2%上昇となり速報値の0.3%上昇から下方修正されたが市場予想の0.1%上昇を上回った。単位労働コストは前期比4.0%上昇で速報値の4.7%及び市場予想の4.9%上昇を大幅に下回り、前年同期比は0.9%上昇で3年ぶりの低水準だった。
【米長期債利回りは下げ渋り】
6月6日の米長期債利回りは前日までの大幅低下が一服して小幅上昇ないし横ばいだった。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.01%上昇の4.29%で終了した。5月30日から6月5日まで5営業日連続の低下となり5日に4.28%をつけて5月16日の4.31%を割り込んで4月25日に付けた昨年末以降のピークである4.74%以降の最低を更新したが、7日夜の米雇用統計を控えて6日は低下一服の動きとなった。
30年債利回りは前日比0.01%上昇の4.44%、2年債利回りは前日と変わらずの4.73%だった。
NYダウは9月利下げ期待を背景に前日比78.84ドル高と上昇して6月4日から3連騰とし、ナスダック総合指数は前日比14.79ポイント安と下げたものの取引時間中の史上最高値を17235.73へ伸ばしており米株式市場の騰勢は続いている。
【60分足、サイクル・一目均衡表分析】
ドル円は6月3日午後高値157.47円を起点とした下落期入りとして6月4日夜から6日夜にかけての間への下落を想定していたが、6月4日夜安値154.54円へ大幅続落してから5日午前序盤に155円到達まで戻したために5日午前時点では5日の日中から10日午前にかけての間への上昇を想定した。
6月5日深夜高値156.46円と6日夜高値156.43円がダブルトップ気味となって失速しているので戻り一巡からの下落期入りを警戒し、6月6日午前安値155.36円を割り込む場合は7日夜から11日深夜にかけての間への下落を想定する。ただし、7日夜の米雇用統計を前後して一段高入りする場合は直前安値を起点とした新たな上昇期とみて10日夜から12日深夜にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では6月5日深夜以降は156円を挟み1円前後規模の騰落を繰り返す持ち合いのため、6月5日夜高値156.46円超えからは持ち合い上放れとして遅行スパン好転中の高値試し優先とし、6月6日午前安値155.36円割れからは持ち合い下放れとして遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は6月5日深夜高値と6日夜高値がほぼフラットなのに対して指数のピークが大きく切り下がる弱気逆行がみられるため、50ポイント台回復からは上昇再開の可能性ありとするが、50ポイント以下での推移中は下向きとして20ポイント前後への低下へ進むとみる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、6月6日午前安値155.36円を下値支持線、6月5日深夜高値156.46円を上値抵抗線とする。
(2)155.36円を上回るうちは一段高余地ありとし、156.46円超えからは157円前後への上昇を想定する。157円前後は反落警戒とするが、156円台を維持して週を終える場合は週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)155.36円割れからは6月4日深夜安値154.54円を試す下落を想定する。154円台後半は買われやすいとみるが、155.36円以下での推移で週を終える場合は週明けも安値試しへ進みやすいとみる。米雇用統計をきっかけに急落する場合は154円割れへ進む可能性もあると注意する。
【当面の予定】
6/7(金)
未 定 (中) 5月 貿易収支(米ドル建て) (4月 723.5億ドル、予想 730.0億ドル)
14:00 (日) 4月 景気先行指数CI・速報値 (3月 112.2、予想 111.6)
14:00 (日) 4月 景気一致指数CI・速報値 (3月 113.6、予想 114.5)
15:00 (独) 4月 鉱工業生産 前月比 (3月 -0.4%、予想 0.3%)
15:00 (独) 4月 鉱工業生産 前年同月比 (3月 -3.3%、予想 -3.0%)
15:00 (独) 4月 貿易収支 (3月 223億ユーロ、予想 226億ユーロ)
18:00 (欧) 1-3月期 GDP・確定値 前期比 (改定値 0.3%、予想 0.3%)
18:00 (欧) 1-3月期 GDP・確定値 前年同期比 (改定値 0.4%、予想 0.4%)
21:30 (米) 5月 非農業部門就業者数 前月比 (4月 17.5万人、予想 18.5万人)
21:30 (米) 5月 失業率 (4月 3.9%、予想 3.9%)
21:30 (米) 5月 平均時給 前月比 (4月 0.2%、予想 0.3%)
21:30 (米) 5月 平均時給 前年同月比 (4月 3.9%、予想 3.9%)
23:00 (米) 4月 卸売売上高 前月比 (3月 -1.3%、予想 0.5%)
25:00 (米) クックFRB理事、挨拶
28:00 (米) 4月 消費者信用残高 前月比 (3月 62.7億ドル、予想 110.0億ドル)
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
関連記事
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:田代 昌之
2024.11.21
東京市場のドルは154円台後半で推移、今晩も要人発言で上下に動く可能性アリ(24/11/21)
東京時間(日本時間8時から15時)のドル・円は、時間外の米10年債利回りも上げ一服となったことでドルは一時154円台を付ける場面も見られた。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:斎藤登美夫
2024.11.21
ドル円 地政学リスクくすぶるも再びレンジの様相に(11/21夕)
東京市場は一転してドルが弱含み。とくに終盤下げ足を速めている。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.06.07
ドル円、上下しつつも方向感を見出せず。本日は米雇用統計がメインイベント(6/7朝)
6日(木)のドル円相場は上下しつつも方向感を見出せず。
-
みんなのFX トレイダーズ証券
みんなのFXはスワップもスプレッドも高水準!口座開設とお取引で最大1,010,000円キャッシュバックキャンペーン中!
取引は1,000通貨からOK、手数料も無料!eKYCで最短1時間後に取引可能
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。