ドル円、上下しつつも方向感を見出せず。本日は米雇用統計がメインイベント
〇ドル円、日銀関係者のハト派的発言と円金利低下等に156.44まで上昇するも155円台半ばに反落
〇米新規失業保険申請件数の冴えない結果、米5月雇用統計を控えたポジション調整が重石に
〇ECB予想通り0.25%利下げを実施、追加利下げのコメント無く、ユーロドルは一時1.0902まで上昇
〇ドル円、「雲」上限を維持できず、時間足では売りシグナルも点灯、テクニカルの地合い弱い
〇ファンダメンタルズはキャリートレード長期化期待、日本政府の財政悪化懸念等がドル円をサポート
〇本日米雇用統計強い場合には、再びドル上昇圧力高まる可能性も
〇本日の予想レンジ:154.75ー157.00
海外時間のレビュー
6日(木)のドル円相場は上下しつつも方向感を見出せず。アジア時間朝方にかけて、安値155.38まで下げ幅を広げるも、一巡後に下げ渋ると、(1)中村日銀審議委員による「現時点でのデータに基づくと当面は現状の政策維持が妥当」とのハト派的な発言や、(2)植田日銀総裁による「現実のインフレ予想、まだ2%達するには少し距離がある」とのハト派的な発言、(3)円金利低下に伴う円売り圧力、(4)欧米株の堅調推移(リスク選好の円売り圧力)が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値156.44まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(5)市場参加者に意識されている156円台半ばに位置するレジスタンス(6/4高値156.49、6/5高値156.49)を背にした戻り売り圧力や、(6)米新規失業保険申請件数(結果22.9万件、予想22.0万件)の冴えない結果、(7)重要イベント(米5月雇用統計)を控えたポジション調整が重石となり、本稿執筆時点(日本時間6/7午前6時00分現在)では、155.57前後まで値を崩す動きとなっております。
6日(木)のユーロドル相場は上下しつつも方向感を見出せず。(1)ECB理事会を控えたポジション調整が重石となる中、欧州勢参入後に、安値1.0862まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(2)ECB理事会にて予想通り25bpの利下げ(※ECBは2019年9月以来、約4年9ヵ月ぶりに中銀預金金利を4.00%から3.75%へ引き下げ)が決定されつつも、追加利下げを示唆する文言が声明文の中に盛り込まれなかったこと(連続利下げ観測の後退→年内利下げは後1回との見方が市場コンセンサス)や、(3)欧州債利回り上昇に伴うユーロ買い圧力、(4)米新規失業保険申請件数(結果22.9万件、予想22.0万件)の冴えない結果が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値1.0902まで反発しました。もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、引けにかけて反落し、本稿執筆時点(日本時間6/7午前6時00分現在)では、1.0892前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は振れを伴いながらも方向感を見出しづらい時間帯が続いています(5/29高値157.79→6/4安値154.54→6/5高値156.49→現在155.65)。一目均衡表雲上限が位置する156.05を死守できなかったことや、1時間足や4時間足等の下位足で強い売りシグナルが点灯していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは弱いと判断できます。但し、ファンダメンタルズ的に見ると、(1)日米金利差に着目した円キャリートレードの長期化期待(昨日は日銀当局者によるハト派的な発言を受けて円金利が低下→米国も年内1回の利下げが市場コンセンサス→日米金利差は当面縮まらないとの見方からドル円ロングに安心感)や、(2)日本政府の財政悪化懸念(日銀が仮に金融引き締めに動いたとしても、円金利上昇が素直に円買いに繋がる公算は小さく、むしろ、日本政府の利払い負担増加への連想から財政悪化の円売りに繋がる可能性大)、(3)日本政府・日銀による為替介入のやりづらさ(イエレン米財務長官による度重なる牽制を受けて、日本政府・日銀は余程強烈な投機的な円売りが出てこない限り為替介入に踏み切りづらい)など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。
本日予定されている米5月雇用統計(非農業部門雇用者数:予想19.0万人、失業率:予想3.9%、平均時給:予想0.3%)が力強い結果を示す場合には、米FRBによる利下げ開始時期の後ずれ観測→米金利上昇→米ドル買いの経路で、ドル円に強い上昇圧力をもたらす展開が想定されることから、当方では引き続き、ドル買い・円売りトレンドの再開をメインシナリオとして予想いたします。
本日の予想レンジ:154.75ー157.00
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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