今週も基本は横ばい、イベントで多少の振れはあるか
〇先週のユーロドル、一週間レンジは100pips、前週と同様に対ドルよりも対円の動きが目立った週
〇1.08台後半を二度トライするも反落、下値も底堅く前週安値を下回ったところから本格的に反発
〇6/6のECB理事会、利下げはほぼ確定
〇ECB関係者・市場参加者ともに、次回利下げは9月以降がコンセンサス
〇テクニカルには、フィボナッチ・リトレースメントの水準に挟まれる横方向の動きを継続中
〇ECB理事会と米国雇用統計を受けて1.08割れは買い、1.09近くは売りのコアレンジから多少上下するか
〇今週は1.0775レベルをサポートに、1.0925レベルをレジスタンスとする週を見る
今週の週間見通しと予想レンジ
先週は前週よりは動きが出たものの一週間のレンジは100pipsにとどまり、市場の主役はドル円、その動きとともにクロス円が動いていることからユーロも対ドルよりも対円の動きが目立った週は変わりません。また今週のECB理事会を控えて、利下げはほぼ確定、問題はその後で、連続利下げとはならずに夏休み明けまで様子を見て次回は9月以降という見方がECB関係者、市場参加者ともコンセンサスとなってきました。
ユーロドルは連続利下げの可能性が低下し始めてから時間も経っていること、また5月後半以降の1.09水準の上値の重さから先週も1.08台後半を二度トライしましたが反落、しかし下値も思いのほか底堅く前週安値を下回ったところから本格的な反発を見せました。このあたりの動きを米独金利差から見てみましょう。
ローソク足がユーロドル日足(左軸)、ラインチャートが米独金利差をドイツ10年債利回りから米10年債利回りを引いて(右軸)方向性を揃えたものです。日米金利差とドル円ほどの相関は無かったのですが、4月中旬以降の相関は高く、相関係数も0.9前後での動きが続いていましたが、先週後半はドイツの利回りが高止まりしていたことからユーロドルの動きとの相関がやや低下していました。
今週のECB理事会における利下げは織り込み済み、次回以降の利下げについてタカ派的な発言が出てくるのではないかといった見方がドイツ金利の高止まりに繋がったと思いますが、単に月末要因であった可能性もあり、ECB理事会で次回以降の理事会におけるヒントが出てくるかどうか、というところです。ただ、ドル円と同様に金利差の示す方向に後からユーロドルが追随することも多く、そこからするとユーロドルは底堅そうというイメージです。
テクニカルにはいつもの日足チャートをご覧ください。
パターン的には中期的(ピンク)にも短期的(青)にも拡散型のウェッジという方向感が定めにくいチャートパターンを見せていますが、シンプルにこれまで同様にフィボナッチ・リトレースメントの水準に挟まれる横方向の動きを継続中と見てよいでしょう。
そうなると、今週も1.08割れは買い、1.09近くは売りとなってしまいますが、ECB理事会と米国雇用統計もありますので、このコアレンジから多少は上下を見ておいたほうが良さそうです。今週は1.0775レベルをサポートに、1.0925レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。
今週のコラム
今週もユーロ円の日足チャートです。
12月安値からの上昇チャンネルの中での動きを継続中ですが、先週も上昇圧力が強く一時170.80レベルをつけ、週明けの本日は僅かではあるものの先週高値を更新してきました。そろそろ介入前の年初来高値171.56レベルを試しに行く流れかもしれませんが、ドル円での円安だけでなくユーロドルの上昇にも注意しておきましょう。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
6月3日(月)
16:50 フランス5月製造業PMI
16:55 ドイツ5月製造業PMI
17:00 ユーロ圏5月製造業PMI
17:30 英国5月製造業PMI
6月4日(火)
08:01 英国5月小売売上高
16:55 ドイツ5月失業率
6月5日(水)
15:45 フランス4月鉱工業生産
16:50 フランス5月サービス業PMI
16:55 ドイツ5月サービス業PMI
17:00 ユーロ圏5月サービス業PMI
17:30 英国5月サービス業PMI
18:00 ユーロ圏4月PPI ☆
6月6日(木)
15:00 ドイツ4月製造業新規受注
17:30 英国5月建設業PMI
18:00 ユーロ圏4月小売売上高
21:15 ECB理事会 ☆
21:45 ラガルドECB総裁会見 ☆
6月7日(金)
15:00 ドイツ4月鉱工業生産、貿易収支
15:45 フランス4月貿易収支
16:00 ドイツ連銀総裁講演 ☆
17:00 シュナーベルECB理事講演 ☆
17:00 オーストリア中銀総裁講演
18:00 ユーロ圏1〜3月期GDP確報値
21:30 米国5月雇用統計☆
前週のユーロレンジ
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
5月27日(月)
週明けのユーロドルはLDN、NYとも休場となることから若干の上下は見られたものの一日の値幅は26pipsと動かない1日となりました。
5月28日(火)
ユーロドルはNY市場までは最近のECBの緩和ペースが後退するとの見方から買い戻しが継続、1.0889レベルまで上昇しました。しかしNY市場では米金利上昇によるドル買いの動きからユーロドルは行って来いとなり、前日NY終値水準へと押して引けました。ユーロ円は一時的な押しはあったものの高値を切り上げ、高値170.80レベルまで上昇しました。
5月29日(水)
ユーロドルも前日の流れを受けユーロ売りが先行、欧州市場では1.08台半ばでのもみあいを挟みましたが、NY市場では米金利上昇によるドル買いの動きからユーロドルは1.0800レベルまで下押しして安値引けとなりました。
5月30日(木)
ユーロドルは東京市場ではドル円とともにユーロ円が下げた動きから上値が重く、1.0788レベルの安値をつけて海外市場入り。その後はドル円とともにドル売りの動きが強まり1.0845レベルまで反発し若干押して引けました。
5月31日(金)
ユーロドルは東京市場では若干上値が重く1.0811レベルまで下げたもののそこまで。欧州市場序盤までは底固めの動きを続け、ドル円の円安の動きにユーロ円が引っ張られたことからユーロドルも上昇の動きが強まりました。NY市場の朝方にはドル売りの動きも重なり1.0882レベルの高値をつけましたが、月末のドル買いの動きから1.0840レベルまで反落後、もみあいのまま引けました。
注:ポイント要約は編集部
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